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百合JKよ、「日常の小さな幸せ」を忘れるな。浮気なんて止めておけ!|『ファーゴ』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ファーゴ」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ファーゴ」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ファーゴ」は、生活感漂う妊娠中の女性警官が、血生臭い殺人事件に挑む物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ファーゴ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案①」は……ズバリ!「『ファーゴ』 ~『百合JKの浮気』編」です。


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嘉村 百合JK!


三葉 ええ。「登場するJKが総じて女の子好き」という百合百合作品です。

嘉村 ほぉ……。

三葉 まずは、「ファーゴ」との比較表をご覧ください。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……舞台は日本の高校(女子校)です。ある日、1人の生徒(以下、Aさん)が別の生徒(以下、Bさん)に誘惑され、浮気してしまう。

嘉村 あらあら……。

三葉 Aさんは、一度限りの火遊びのつもりだった。Bさんも同様だと思っていた。ところが……違った!Bさんは本気だったのです。かくしてBさんは、Aさんに付きまとうようになる。初めは何とかわかってもらおうと誠実に対応していたAさんですが、次第に鬱陶しくなり、やがて苛立ちを感じる。そして「今日こそはきつく言わなきゃ!」と考え、Bさんを旧校舎に呼び出した。

嘉村 旧校舎ですか……?

三葉 ええ。随分前に使用されなくなった校舎です。Aさんは人気のない場所で、きっちり話をつけるつもりだったのです。

嘉村 なるほど。

三葉 ところが……Aさんの思い通りには進まない。Bさんは強情です。彼女は、「いまのパートナーと別れて私と付き合って!」と叫ぶ。さらに、「さもなければ、浮気したことを告げ口してやるわ!」とまで言う。Aさんのイライラは頂点に達し、思わずBさんを突き飛ばす。

嘉村 ほぉ。

三葉 Bさんがよろける。運悪く、彼女の足元には廃材が落ちていた。Bさんは廃材につまづき、バランスを崩す。体がぐらりと揺れる。そしてひっくり返り……廃材から飛び出た釘が、Bさんのうなじに突き刺さった!

嘉村 釘!

三葉 ええ。しかもそれは、ただの釘ではありません。釘は釘でも、8寸釘です。8寸といえばおよそ24cm。釘はBさんの頭部を斜めに貫いた。Bさんの眉間の辺りから釘の先端が覗いている。

嘉村 うえっ……。

三葉 ほとんど出血はありません。しかし、Bさんの目を見ればわかる……重症だ!命に関わる重傷だ!Aさんはショックを受ける。腰が抜け、その場にへたりこむ。彼女は呟く「わざとじゃないわ……わざとじゃないのよ……」。

嘉村 おお……。

三葉 そこへやってきたのが、札付きの不良JK3人組。彼女らは旧校舎をたまり場にしており、AさんとBさんのいざこざの一部始終を窓から見ていたのです。不良JKがAさんに言う「あんたは悪くないよ。浮気を浮気と捉えられず、しつこく付きまとったこの女が悪いのさ」。Aさんは震え声で呟きます「私、どうしたらいいの……」。不良JKは、Aさんの頭を撫でてやる。そして耳元で囁く「私たちに任せておきな」。「えっ……」「餅は餅屋ってね。こういうトラブルは私たちの得意分野さ」。不良JKが優しく微笑む。まさに地獄で仏とはこのことです。「なっ。任せておきなって」「うっ、うん……」。Aさんは不良JKの言葉に従い、すぐにその場を離れる。そして考える「大丈夫……きっとBさんは助かるわ。そうよ。すぐに手当てを受ければ、きっと助かるに違いないわ!」。

嘉村 ふーむ……不良JK3人組の優しさが気になりますね。絶対に裏があるでしょ、これ……。

三葉 おっしゃる通りです。悪魔は天使の顔をして現れるなんて言いますからね。

嘉村 うーむ……。

三葉 翌日の放課後、Aさんは不良JK3人組に呼び出された。彼女らは、にこやかにAさんを出迎える。そして、昨日の「後始末」の様子を話して聞かせた。……Aさんは絶句する。聞けば、あの後彼女らはBさんにとどめを刺し、山に埋めたと言う。

嘉村 山に埋めたって……。

三葉 Aさんが叫ぶ「びょ、病院に連れていってくれたんじゃないの!?」。

嘉村 ……そりゃ、叫びますよ。

三葉 しかし、不良JKは苦笑します「おいおい。あんたは警察に捕まりたいのかい?あんたは、同級生の頭に8寸釘を打ち込んだんだよ?そんなことが公になったら、あんたの人生はジ・エンドさ。わかってんのかい?」。確かにその通りです。「でも……」「でももヘチマもないの」「でも!あれは事故だし……」「事故っつったって、あんたが8寸釘を打ち込んだことに変わりはないだろ?」「そんな……それにしたって、とどめを刺して山に埋めるなんてムチャよ……」「あたしらは、あんたのために手を汚したんだよ?それなのに、そんな批判的な目をされちゃたまんないなぁ」「……」「でも、あんたがどうしてもって言うなら、これから警察に出頭しようか?あたしらもあんたも、まとめて人生捨ててみるかい?」「そっ、それは……」。Aさんは頭を下げる「ごめんなさい」。……「とどめを刺す」だの「山に埋める」だの、メチャクチャだ!そんなことを頼んだ覚えはない!……が、しかし……すべての元凶が自分だということに間違いはない。

嘉村 ふむ。

三葉 そしてその後、Aさんは悪の道に堕ちていきます。

嘉村 「弱みを握られたAさんは、不良JKらに逆らえなかった」ということでしょうか?

三葉 ええ、それもあります。ただ、強烈な罪悪感や恐怖に怯えるAさんが自ら堕ちていったという側面もたぶんにある。

嘉村 ほぉ。

三葉 彼女は忘れたかった!すべてを忘れてしまいたかった!かくしてAさんは、不良JK3人組との乱交やら、ドラッグやらに手を出した。

嘉村 なるほど。

三葉 さて……ここに至って、いよいよ主人公が登場します。

嘉村 ふむふむ。

三葉 「案①」の主人公は、映研(映画研究同好会)の部長です。彼女は、探偵映画の大ファンだった。ハンフリー・ボガート、もしくは明智小五郎、あるいは江戸川コナンのように活躍することを夢見ていた。そんな彼女が「Bさんがふいに失踪した」というニュースを小耳に挟み、じっとしていられるだろうか。否、いられるはずがない!彼女は、誰に頼まれることもなく捜査に乗り出したのです。

嘉村 ふむ。

三葉 そして探偵映画で身につけた推理力をフル活用し、真実に近づいていく。捜査の途中、養護教諭(いわゆる「保健医」)に誘惑されてフラフラっと浮気しかけることもあるが……グッと堪える。

嘉村 なるほど。主人公は浮気を堪えるんですね。

三葉 そして彼女は真相を解き明かし、ラストシーンに至ります。……映研の部室で、主人公が百合パートナーを抱きしめる。パートナーがクスッと笑う「どうしたのよ、急に」。主人公が呟く「火遊びって怖いもんだね」。パートナーが言う「そうよ。あなたが浮気したら、私、あなたの額に8寸釘を打ち付けてやるからね」……で、物語は幕を閉じる。

嘉村 つまり、「浮気を堪え、パートナーとの『日常』にとどまった主人公」と、「浮気し、そして転落していったAさん」の対比……「ファーゴ」に見られた「日常の中の小さな幸せ」と「非日常」の対比という構図ですね。

三葉 ええ、その通りです。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「『ファーゴ』 ~『陸上部員のドーピング』編」です。


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嘉村 今度は、ドーピング!

三葉 ええ。まずは、「ファーゴ」との比較表をご覧ください。


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三葉 基本的なストーリー構造は、「ファーゴ」や「案①」同様です。……まず、舞台は日本の高校(共学)。

嘉村 女子校ではなく共学ですね。

三葉 はい。そして物語は、陸上部の部員(以下、Cくん)がドーピングするところから始まります。……彼は勝ちたかった。何としても勝ちたかった。彼自身のためにも、そしてチームのためにも負けるわけにはいかなかった。彼は札付きの不良に頼み、興奮剤を入手する。

嘉村 なるほど。

三葉 かくして彼は素晴らしい成績を残します。ところが……とある女子部員がドーピングに気づいてしまう。女性部員は「見損ないました!」と糾弾する「学校に報告します!」。Cくんは動揺する。そこへ例の不良がやってくる。不良はCくんの真っ青な顔を見て、「オレに任せておけ」と言う。Cくんは藁をもすがる思いでうなずく。そして翌日……不良が女子部員を拉致監禁していることを知る。

嘉村 おおっ……。

三葉 Cくんは叫びます「じょ、冗談だろ!?」。しかし、不良は言う「お前が『何とかしてくれ』って言うからやったんだ。それをゆめゆめ忘れるなよ」。放課後、町外れの廃工場を訪れると……手足を拘束され、目隠しされた女子部員がぐったりしていた。頬に青あざがついている。Cくんは呆然とする。不良はニヤッと笑って、「さっ、お前もやれよ」。「やるって……一体何を?」「決まってんだろ。ああ、処女はオレが貰ったぜ。今回の報酬代わりだ。悪く思うなよ」。

嘉村 拉致監禁の上、レイプですか……。

三葉 さて……ここで主人公をご紹介しましょう!「案②」の主人公は新聞部の部長です。彼はのんびりした性格で、幼馴染の恋人がいた。周囲からは「カップルっていうか、熟年夫婦だな」なんて言われている。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そんな彼が「陸上部の女子部員が失踪した」と聞き、取材に乗り出す。途中、学校一と噂される美少女に誘惑され、「浮気」というダークサイドに堕ちかけますが……しかしグッと堪え、やがて真実にたどり着く。そして主人公は思う「早く恋人に会いたい。温かいお茶でも飲みながら、いつものように他愛もない会話をしたい」……で、おしまい!

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『ファーゴ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!



続きはこちら!!

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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