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初耳率100%だった「あいさつの理由」

割引あり

心をつなぐためとか、心に近付く手段だとか
あいさつの理由はよく耳にするのだが、
どれもこれも、抽象的な説明や定義が多い。
これまで出会った若者全員に初耳だった私の説明を
ここで紹介したい。

私は高校の教員をしている55歳。
若者の発想は常に私に教訓を与え、
常に私をアップデートしてくれる。
そのおかげか、初対面の人々からも、生徒からも
髪の毛が少ない外見とは裏腹に
決まって40代だと言われる。
この職業に、そして何より共に学校生活を送る
若者に感謝せずにはいられない。

しかし、そうだからこそ、そんな輝ける若者、
特に成人間近の高校生にどうしても身につけて欲しい力がある。
それは、「なぜ?」を突き詰める姿勢だ。

「なぜ?」を伝えぬ大人と求めぬ若者

どこの学校にもそれなりの校則やら、しきたりやらが存在し、
それにまことしやかな(実際には薄っぺらい)理由がある。
染髪、ピアス、化粧、ツーブロックなどの禁止
スカート丈、制服の着こなし、果ては下着の色まで
よく「ブラック」と呼ばれるこれらが、
生徒や保護者にどれだけ理解されているのだろう。
そして、理解できる説明をどれだけの学校が行っているのだろう。

これらは普通高校と職業高校で異なったり、
地域によっても異なるだろう。
単に「だらしない」とか「高校生らしくない」などという
甚だ合理性に乏しい理由で学校は押しきっていないだろうか。
そして、若者は押し切られていないだろうか。
規則に従えない者(悪者)と思われたくないからと
若者は諦めていないだろうか。
そして若者が諦めざるを得ない状況を
オトナが作ってないだろうか。

高校生にもなれば、話せばわかる。
但し、それは、合理的で納得できるものに限る。
「規則だから」は、
それ以上の反論を受け付けずに済む便利な理由だ。
「なぜその規則なのか」の理解が必要だ。
学校にそこを掘り下げて説明できる準備があれば
表面的にはブラックに見える規則さえも
意味あるものと理解したり、
有意義な議論が可能になるだけの思考を、
若者たちはできると信じている。

だから若者は「なぜ?」という疑問を発するべきで
さらに大人は「なぜ?」と言える環境を作り、
「なぜ?」に答えて欲しい。

それなのに、
ほとんどの学校の校則にもなく、
思想・信条の自由を保障されている社会で
人の内面に切込んで、
幼い頃から当たり前のこととして、
意味も朧げで、十分な納得もしていないにもかかわらず
ほぼ全ての若者・教員・社会人・親が口を揃えて
何の疑問もなく「大事だ」と認識しているルールがある。

それが、「あいさつをしなさい」という常識だ。

なぜあいさつするの?

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