《見たことをまとめるのが苦手なタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その9 集団生活の支援の方法①
《見たことをまとめるのが苦手なタイプ》は、「集団生活」で次のようなことに困ります。どれも、学校生活でトラブルになるようなことばかりです。
一つずつ、解説していきます。➪以降は、支援のまとめです。
① 状況把握が苦手のため、勘違いして行動する
相談員をしているとき、クラスメイトとのトラブルの相談はよくありました。発達の凸凹タイプのトラブル原因には、この状況把握の苦手が多かったです。いわゆる「空気を読めない」と世間では言われているものです。
事例をあげて説明します。
A君が教室に入ると、みんながどっと笑った。彼はなぜ笑われたか分からなかったが、腹がたった。「なぜ、笑うんだ!」「俺が、なにかしたか?」「許せない!」と叫びながら、近くにあった机をみんなん向かって投げつけた。たまたま、女の子の頭にあたって入院騒ぎになった。
実は、B君ががギャグを言っていみんなが笑ったときに、たまたまA君が入ってきただけだった。
A君にそのように説明したが「違う。俺を笑っていた」「俺の方を見て笑っているやつもいた」と納得しなかった。そのため、謝らなかったので、親を巻き込んで大事になった。
凸凹タイプの子は、一度思い込むと思考の柔軟性の弱さ(頑固 こだわり)が出てきて、なかなか思いを修正できません。それより「それが、実際に起こった事実だ」と思い込む場合も多々あります。
上記の事例では、子どもの言葉を信じたA君の親が教育委員会に「いじめがあった」と訴え、女の子の親が「治療費を払え」とA君の親を訴えて大変なことになりました。
どのような支援をしてあげればいいのでしょう。「何か分からないこと」「変だなと思うこと」「腹が立つこと」などがあったら人に聞きなさいと教えてあげることです。もちろん、指示するのではなく「覚えて」(凸凹タイプの子に使う4つの関わり方の一つ)を使います。
上記のケースの場合でも、すぐ側の子にでも聞けばよかったのです。「なにを笑っているの?俺のこと笑ってる?」そうしたら「違うよ。B君が笑かしているんだよ。A君は関係ないよ」と教えてくれて一件落着です。
➪『「分からないこと」「変だなと思うこと」「腹が立つこと」など
があったら人に聞く』と覚えておきなさい
これをトラブルあるたび、いえ、日常的に復唱させていくことが、最大の支援になります。
【参考】
「空気が読めない」という特性は、悪い面だけではありません。良い面もあります。それは「組織の中で、なにか改革するとき」や「何にか、常識を超えたアイデアが必要なとき」などに有用です。
だから、「空気が読めない」という特性を、消して決してしまうような支援をしてはいけません。上手に使えば貴重な特性だからです。空気が読めないけれど、人に状況を聞きながら集団生活できるように支援して上げればいいのです。
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