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《注意集中に課題があるタイプ》のアセスメントとその支援の方法  その15 具体的な支援の方法⑭

 《注意集中に課題があるタイプ》が困ることへの支援について、③から解説を続けます。

③  忘れ物が多い 約束を忘れる

 《注意集中に課題があるタイプ》の子どもは「忘れ物する」のと「約束を忘れる」のが特徴です。忘れ物をして先生に叱られ、約束を忘れて友達をなくしていきます。
 これを「しないようにする」というのは至難の業です。だから「忘れないような仕組みを作る支援」「忘れたときに、どう取り戻すかの支援」に取り組むが必要があります。

 ⑴忘れないような仕組みを作る支援
  
・忘れないためには、メモ取るという習慣を付ける必要があります。で
   も「メモを取ったたらいいよ」ではだめです。定着しません。定着す
   るためには、次の4つのことを教えてあげる必要があります。これに
   は、家庭の協力も必要です。

    1.メモ帳を買って、常に小さいエンピツ(キャップをつけて)
      ポケットに入れる(筆記用具なら、なんでもいい)
    2.メモの取り方を教える 簡略化
     「明日、図工のために牛乳パックを持ってくる」=図 牛パック
     「帰ったら、4時に神社に集まって遊ぼう」=4時 神社
     「漢字ドリルの34の①から⑤まで宿題です」=漢ド34 ①から⑤
    3.家に帰ったら、ランドセルを降ろすと、すぐにメモを見る習慣
      をつける 
    4.メモを実行したら線で消す
   
      ※《注意集中に課題があるタイプ》は、このメモをなくすこと
        も多いので、プラスチックのバネの鎖がついたタイプのメ
        モを買って「なくさない工夫」をした方がいいでしょう。  

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 ⑵忘れたときに、どう取り戻すかの支援     
  ・忘れるのは仕方がないので「忘れたときの借り方」を教えて覚えても
   らいましょう。「先生に借りる場合」と「友だちに借りる場合」があ
   ります。

    ➪先生は、必ず《忘れも子ども用のもの》を用意しておく
    ➪「すみません。~を忘れたので貸してください。次からは
      忘れないようにします」と頼ませてから貸してあげる
    ➪友達には 
     「悪い。~を忘れたから貸してくれない?今度なんかおごるね」
      と頼んでお礼をすることを教える  

  ・「約束を忘れたら、どうしたらいいか」を教えて覚えてもらう。

    ➪忘れていたことをメモ等で思い出したら、すぐ連絡する
    ➪とりあえず、謝る
    ➪今から、取り返せるなら遅れてでも約束を果たす
    ➪もう、無理なら後日、約束をし直して約束を果たす


④  テストなどで、ケアレスミスが多い

 《注意集中に課題があるタイプ》は、できることを不注意で間違うこと、つまりケアレスミスが多いのも特徴です。これも、なかなか治らない特徴です。
 だから、ケアレスミスをするのは前提で、「やったことは、かならず見直すように習慣づける」ことを教えてあげればいいでしょう。見直すときに、さらにケアレスミスをしたりもするので、そのためには「見直しの方略」を教てあげましょう。
 
少し、例を上げておきます。

  e.g. テストなどは、逆から見直す。6番から1番へ見直していく。
     (行きの道の景色と帰りの道の景色はは違うように見える)
  e.g. テストで簡単にできたものは、もう1回やってみる。
  e.g. 正解だと思っても。違う解き方で解いてみる。
  e.g. 書いた文章は、聞こえないくらいの声に出して読んでみる

⑤  身体が常に動く、離席する、走り回る
   しゃべリすぎる、待てない、乱暴する

 アセスメントの解説の最後にも書きましたが、純粋に「注意集中だけに課題がある」子どもは、大変少ないのです。見る、聞く、興味がないが原因で《注意集中に課題があるタイプ》に見えている子が結構多いのです。

  注) 愛着に問題がある子どもも、《注意集中に課題があるタイプ》
    と同じような特性を示すことがあります。

 この「純粋に、注意集中にだけ課題がある」子ども見つけて、育てたり支援したりしても、あまり効果がでない場合があります。動き回るのや、しゃべるのが止まらないのです。学年が上がってくると、暴言・暴力がひどくなってきたりします。そ言うときは、医療の利用を勧めましょう。

 「医療を勧める」のは、保護者との信頼関係がかなり強くないと難しいので、間接的な方法を考えましょう。失敗すると、先生と保護者の関係が壊れるからです。
 例を上げておきます。市町村や学校によって事情が違うでしょう。

  ・個人懇談にコーディネイターに入ってもらって話してもらう。
  ・ケース会議に保護者に出席してもらって勧める。
  ・保護者と相談して、発達相談係を呼ぶ。(市町村にあれば)
  ・専門家による巡回参観のときに話してもらう。
  ・ADHD系の研修や勉強会に保護者に一緒に参加しないかと誘う。
  ・よく似た子どものことを書いた、新聞記事や論文を読んでもらう。

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