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受け入れの方法とスキル 第3段階  その4

 4時間目の『室内遊び』で、みーちゃんは、「ボーリング」を選びました。2週間ほど前、支援学級のクラスメイトがやっているのを見て、やりたちという気持ちになったのです。その後、気に入って、時々やっています。

 先生「さぁ、4時間目です。4時間目は、ボーリングをすることになっているね(「覚えて」)。休み時間にちゃんとトイレに行った?」
 
みー「行った。」

先生「そう。それは偉かったね(「共感」)。じゃ、共同おもちゃ箱から、ボーリングセットを出してください。そこの棚の一番下だね(「覚えて」)。」

算数準備のボーリング

 教室には、ビニールテーブで10個の印がついています。ピンを並べて、さっそく区ゲーム開始です。レーンは、大型ブロックを並べて作ります。

 みーちゃんは、プラスチックのボールを投げました。上手になっているので、ヘッドピンに当たっています。

先生「一番まえのピンに当たったね、上手(「共感」)。みーちゃんは、ち  
  ゃんと狙っているようだね(「想像」)。さて、何本倒れたか、数えて
  みましょう。」

 伊藤先生が、一つ一つぴんをどけていきます。

先生「1、2、3、4、…7。7本倒したね。みーちゃんも言って(「覚え
  て」)。」

みー「ななほんたおした。」

先生「そうだね。じゃあとは、1、2、3本で全部倒したことになるね。」

みー「あと、3本」

先生「そうだよ。じゃ、黒板に、先生が薄く7と3を書くから、みーちゃんはそれをなぞって書いてください。」

 みーちゃんは、どちらかというと嬉しそうに、7と3をなぞってくれました。

先生「うまく書けたね(「共感」)。では、2回目を投げみようか。あと、
  3本倒すぞ!!」

 みーちゃんは、2投目でみごと3本を倒しました。

先生「やった、みーちゃん。全部倒れたね(「共感」)。すごいね。これ
  は、前にも教えたけど『スペア』と言うんだよ(「覚えて」)。」

みー「スペア」

先生「そう、スペア。この頃、先生が『言って』と言わなくても、繰り返し
  ていってくれるようになったね。先生、嬉しいわ、ありがとう。」

 そのあと、左近先生が投げましたが、2回投げて9本でした。

先生「残念。9本しか倒れなかった。あと1本残ってしまった。残念!」

みー「あと1本。」

先生「そうだね。じゃ、同じように9と1と黒板に書くよ。いい?それが書
  けたら、次はまた、美咲ちゃんの番だよ。2回目だね。ちょっと難しい
  けど第2フレームと言うんだよ(「覚えて」)。」

みー「・・・」

先生「そうだね。難しいね。だんだん覚えていきましょう。」

 支援学級のルールでは、ストライクはプラス10点。スペアは5点もらえるというルールです。計算は、まだみーちゃんにはまだ無理なので、伊藤先生が黒板に書いて計算していきます。
 最終合計は、95対79でみーちゃんの勝ちでした。みーちゃんは、まだ、ワンフレームごとに自分が倒した数が多いと喜ぶ段階ですが、一応、最終結果も、ちゃんと褒めておきます。

先生「95対79で、みーちゃんの勝ち!!!」

 みーちゃんの手を持ち上げて、祝福します。近くにいた先生たちも、協力して拍手してくれました。みーちゃんは、よく分からないようですが、それでも嬉しそうです。褒められているのは、分かるからです。


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