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受け入れの方法とスキル 第2段階  その8

 散歩から帰ったら、すぐに給食になりました。みーちゃんは、今週は牛乳当番です。結構気に入って、頑張っています。
 
先生「さぁ、みーちゃん、エプロンとマスクを付けてください。通常学級
  に、牛乳を配りに行きますよ。」

 みーちゃんは、浮かない顔をしています。そして、近くにあった折り紙の泥船を見ています。前の時間に、そうちゃんが作ったようです。

折り紙の泥船

先生「どうしたの?泥船が作りたいの?(「想像」)。」

みー「作る。」

先生「分かりました。では、今日は牛乳配りをパスしましょう。担任の山本 
  先生に断りにいきましょう(「すみません」)。そして、山本先生が
  『いいよ』と言ったら、給食が始まるまで、折り紙で泥船をつくりまし
  ょう(「共感」)。」

 いつもなら「いいよ」となって、山本先生にお願いに行くのですが、今日は、みーちゃんは動こうとしません。伊藤先生は少し手を引いてみました。しかし、抵抗して動こうとしません。
 伊藤先生が「山本先生にお願いしないと、折り紙はできないよ」と言うと、久しぶりに伊藤先生の腕を叩いてきました。そこで、伊藤先生は、「これは、折り紙がしたいんじゃないな」と考えました。そして、想像しました。

先生「分かった。みーちゃんは散歩に行って疲れたじゃない(「想像」)?
  そうでしょう。だから、泥舟作りたいと言っているだ。そして、支援学
  級のここで、休憩しようと思っているでしょう(「想像」)。そうでし
  ょう(「共感」)?」

 みーちゃんは、やっと穏やかな顔になって笑いました。伊藤先生の「想像」が当たったようです。

先生「みーちゃん、そういうときはね。『疲れた』とか『休憩』とか言うん
  だよ。そしたら、先生が『いいよ。先生が、牛乳配りをお断りしてくる
  ね』って言うからね(「覚えて」)。覚えた?『きゅ・う・けい』だ
  よ。』言ってみて。」

みー「きゅ う けい。」

先生「はい。わかりました。休憩しましょう(「共感」)。先生は山本先生
  に『今日は、当番しません』って言ってくるね。みーちゃんは、折り紙
  を出しておいて下さい。折り紙がしたくなければ、そこのクッションに
  寝っ転がっててもいいよ。どちらかしてください。」

 伊藤先生は、「みーちゃんは、要求を行動や違う言葉で言うことがあるので『変だな』と思ったときは、いつでもすぐ「想像」を使わないとけないな」と改めて思いながら、1年1組に急ぎました。


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