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《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その17 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑪               衝動的な聞き返しに、答えない

事例11 聞きのがしたから、衝動的に聞き返す
    のは《自分ルール》

 3年生の算数の時間。先生が「88ページの2番を見てください」と指示を出した。少しボーっとしていたK君は、はっとしてすぐさま大きな声で「先生、何ページですか?」と聞き返した。先生は「88ページよ。しっかり聞いててよ。ぼーっとしてちゃだめよ」と答えてあげた。

 それ以来、K君は分からないことが出てくるたび、大きな声で「先生、~?」と聞いてくるようになった。授業の邪魔なので、先生が「もう、あなたの質問には答えません」と言ったら、K君はすごく怒り出した。そして、家に帰って、お母さんに「先生が、僕の質問答えないと言った」と訴えた。

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【解説】これは、先生が最初の質問のときに失敗をしています。K君は、明らかにルール違反をして質問したのに、それを咎めることなく親切に答えてしまっています。先生は、あとで「しっかり聞いててよ」と咎めた気になっていますが、後の祭りです。

 K君の「聞きそびれたことは、すぐ聞きたい」という《自分ルール》に対して、クラスルールに違反している(授業中に勝手に発言してはいけない)ことを知らせないといけません。そして、聞き返すためには「頼まないといけない」ことを教える必要があります。

【セリフ】
K君「先生、何ページですか?」

先生「K君。『何ページ?』と聞くということは、ぼーっとしてたのかな
  (「想像」)でも、分からないことがあったら、すぐ聞いてくるのはい
  いことだね(「共感」)。でも、今回はルール違反だよ。」

K君「ルール違反なの?」

先生「そうだよ。いつも言っているでしょう。『授業中は、喋ってはいけま
  せん』『発言するときは、手を上げてください』この2つに違反してる
  よ。じゃ、聞き逃してしまったときとかどうしたらいいだろうね。分か
  る?」

K君「・・・」

先生「知らないね(「共感」)。教えておくね。まず、黙って手を上げま
  す。そして、先生が『K君どうしました』と当てたら『すみません。聞
  き逃したので、何ページかもう1回言ってください』と頼むんです
 (「覚えて」)。覚えた?2つあるんだよ。」

K君「覚えた。」

先生「じゃ、言って見て。」

K君「手を上げる。『もう1回言ってください』と頼む。」

先生「正解です(「共感」)。よく覚えました。次から使ってください。さ
  っき先生が言ったのは、『88ページの2番』と言いました。」

K君「分かった。」

先生「『分かった』じゃなく『ありがとうございます』だね。」

K君「ありがとうございます。」

先生「それからね、頼まなくてもいいように、普段からしっかり聞いといて
  ください。いいですか!」

K君「はい。」


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