見出し画像

《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その23 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑰ 机の上のもの払い落とすのは、自分で解決したつもり

事例17 やりたいことが出てくると、他のことは
    どうでもよくなる

 中学校1年生。先生が数学の解説したあと、計算プリントを配った。Q君は、計算が得意なので早くやりたい。しかし、机の上が、今の数学でだけなく前の時間の使っていた教科書やらノートまでが山のようになっている。
 プリントを置いて、計算に取り掛かる隙間がない。そこでQ君は、机の上のものをどうしようかと考えた末、両手で床に払い落してから計算を始めた。

画像1

    ➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗➗

【解説】Q君は、片付けられない子ではなく、やりたいことを優先するので、片付けが後回しになり机の上がいっぱいになるタイプです。
 だから、育てるためには次のことを教えましょう

  ・「~してから、~する」ということを教える
  ・それを積み重ねて、計画的に生活する方法を説明してあげる

「自分で解決する」に対しては、次に2つを説明しましょう。
  
  ・自分流に、むちゃくちゃするのが「解決する」ではない
  ・人に聞いたり、頼んだりして解決しても「自分で解決する」になる

【セリフ】
先生「大きな音がしたね。あらあら、教科書を全部落としたんだね。」

Q君「計算が、早くやりたい。」

先生「それはいいことだね(「共感」)でも、床の上に物を置くことと授業
  中に大きな音を立てることはルール違反だね(「覚えて」)。だから、
  床の上のものを片付けてからでないと、プリントはできないよ(「覚え
  て」
)。」

Q君「・・・」

先生「とりあえず、床の上のもの片付けましょう。先生も手伝います。だか
  ら、お願いしてください。なんといいますか?」

Q君「手伝ってください。お願いします(「すみません」)。」

先生「分かりました。急いでやりましょう。それから、みんなに『大きな音
  を立てて、ごめん』と謝っておいた方がいいね。」

みんなに謝って、大急ぎで、机の中に片付ける。

先生「さぁ、片付いたからプリントやりましょう。次から大事なのは『勉強
  が終わったら、片付けてから休憩する』だよ(「覚えて」)。そうした
  ら、机の上がいつもきれいからね。分かったら、1回言ってみて。」

Q君「片付けてから、休憩する。」

先生「そうですね。頑張ってください。なにかやるためには、プランとか段
  取りとか手順がいるんだよ。今回は、片付けてから休憩するだね、そう
  すれば、机の上はいつもきれいだよ。そしたら、いつでも自分の使いた
  いように使えるよね(「覚えて」)。『計画してから、行動する』も、
  覚ておきましょう。」

Q君「分かりました。」

この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

業界あるある

本好きです。本を買います。余暇のための本ではなく、勉強のための本を買います。よろしくお願いします。