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T2が使う、学校で愛着を形成していくための5つのスキル 

 家庭での不適切な養育(マルトリートメント)で、愛着が形成されていない子どもと関わるときに使う、5つの方法を説明します。教室にT2での入り方の説明を始める前に、書いておきます。T2は、絶えずこのスキルを使います。

1.マルトリートメントについて

 まず、マルトリートメントについて、説明します。

発達が伸びていく仕組み

 発達は、前回説明したように、大人と「やりとり」しながら伸びていきます。その際、同時に愛着も形成されて行きます。その愛着の関係がさらに「やりとり」を促して、また発達が伸びていくという循環になります。
 この時、大人の側(イラストではお母さんですが、大人は誰でもいい)に不適切な養育があると、「やりとり」がうまくいかず発達に凸凹が生じます。その大人の不適切な養育をマルトリートメントと言います。
 マルトリートメントの代表は、虐待とネグレクトですが、その他に、次のようなものもマルトリートメントです。
  ・できるもことでも、親がやってしまう過保護
  ・仕事が忙しくて、子ども構って上げる時間がない(経済的貧困)
  ・子どもをうまく育てる能力がない(発達に凸凹があるなど)
  ・心無い言葉を浴びせる(「産まなければよかった」など)
  ・しつけと言いながら、体罰する
  ・兄弟を比べて差別する
  ・スマフォに子育てさせる(困るとすぐスマフォを見せる)
  ・子どもの前で、夫婦喧嘩をする
  ・ドメスティック・バイオレンス(DV)

2.愛着の形成について

 マルトリートメントによって、形成されなかった愛着ははどうなるのでしょうか?心理学では、

  いつでも、誰でも、1対1で関わることによって形成することができる

と言われています。だから、学校に来たときに、うまく愛着が形成されていなければ、誰かが、愛着の形成を行えばようにのです。つまり、「T2の最初の仕事は、愛着の形成」なのです。

3.学校で、愛着を形成するための5つの方法

 愛着が形成されていない子どもに、愛着を形成するには、「安心、安全を感じさせる関わりをする」というのが原則です。学校でできるその具体的方法を、5つ説明します。

 ①話す   1対1で、その子どもの好きな話をする時間を取る。
      食事(給食)を一緒に食べながら話すと効果的。
     ➪「子どもの好きな話」というのがポイント
      小言や説明ではダメ 

 ②遊ぶ  大人も楽しみながら遊んでいく
      指相撲、腕相撲、相撲、オセロ、トランプ                       
       鬼ごっこ(ひょうたん鬼、エイリアン鬼、ひまわり鬼)など
     ➪大人が遊ばせるより、一緒に遊んだ方が効果的
     ➪遊び方は、『元発達相談員の育て直し日記《小学校
      遊び編》』というマガジン参照

 ③褒める  行動 結果 感情 を分けて褒められるところを褒める
      仕事を頼んで、やってくれたら感謝しつつ褒める      
      ➪行動が間違っていても、心根正しければそこを褒める
      ➪本人が、あまり好まない仕事をやってもらうのがコツ
       やりたがる仕事は「頼ませたてから」させてあげる

 ④スキンシップ どんな場面でも、さり気なくスキンシップする
       ➪頭をなでる 肩を叩く 握手する ハイタッチする
       (セクハラ疑惑があるので、最近はやりにくい)

 ⑤いい人アピール 「こんなことしてあげる、◎◎先生は、いい先生だと
           思わない?」と言って「いい先生」と言ってもらう        
      ➪少し不自然で恥ずかしいが、意外に効果がある
       凸凹タイプは、1回口に出すとそれが自分の思いに
       変わっていくから。      

いよいよ、次回から、T2が教室に入るときの方法を解説します。


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