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《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その25 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑲ 遅刻してきて、理由を言わないのは《自分ルール》

事例19 遅刻して来て、黙って座るのは
    《自分ルール》

 5年生のS君は、遅刻して2時間目の途中にやってきた。算数をやっているところだった。S君は、黙ったまま静かにカバンを片づけると、教科書を出して勉強に参加してきた。
 S君は最近不登校気味だったので、先生は「がんばって、よく来たね」と声掛けした。S君は「バカじゃなにの」という顔で先生を睨んだ。

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【解説】不登校気味の子どもが、頑張って登校てきたのはいいことだと思います。しかし、厳密に言うとルール違反です。学校は8時半までに登校して、1時間目参加するのが、ルールです。
 他の子どもたちは全員それを守って、目の前に座って授業を受けています。その子達が褒められないで、遅刻してきた子どもが褒められるのは、やはりバランスがおかしいです。

 このバランスをとるためには、遅刻してきた子どもに「すみません」がいります。そうすることによって、S君の《自分ルール》も集団適応に向けて少し緩んでくるのです。
 S君が変な顔をしているのは、本人に頑張ったつもりが全然ないからです。この点でも、先生は「想像」を間違えています。

【セリフ】
先生「S君。おはよう。少し遅れてしまいましたね。」

S君「・・・」

先生「挨拶をして欲しいな(「覚えて」)。まぁ、それはいいとして、遅れ
  た原因はありますか?」

S君「別に。」

先生「夜ふかしして、朝が起きられなかったのかな(「想像」)。それな
  ら、とりあえず『遅れてきて、すみません』と言ってから座ってくださ
  い。それが学校のルールです(「覚えて」)。急に黙って教室に入って
  きたら、みんなも、びっくりするし、授業もこうやって止まってしまっ
  しね。どうぞ。」

S君「遅れました。すみません。」

先生「はい、分かりました。遅刻したのに、学校に来るのってエネルギーい
  るよね(「共感」)。よく頑張りました。登校して、静かにカバンを片
  付けて教科書を出しのも偉かったね(「共感」)。
  さぁ、みんな、待たしたね。S君も来て全員揃ったから、ちょっと前か
  ら説明し直すね。S君も、準備いいですか?」

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