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第4ステップは、「こんなとき、どうするんですか?」を目指す その5

 今日は朝から、体育館に全校生徒が集合して全校朝礼です。まだの
終わりの朝なのに、もう猛暑です。
 よし君は、気温に敏感で体温が上昇し安いタイプです。心配していた通り、気分が悪くなってきました。校長先生の話に続いて、保健係が舞台で虫歯について発表しています。よし君は、周りを見渡しましたが、村内先生はいません。
 仕方なくよし君は、床に寝転んでほっぺたを床にくっつけました。床が冷たくて、体温が下がり気持ちが良いのです。周りのみんなも慣れたもので、よし君の行動ににビックリする子どもは誰もいません。逆に配慮して、隙間を開けてくれてます。

体育館で全校朝礼

 そんなよし君を、隣の組の竹田先生が見つけました。竹田先生は、これが「あのよし君だな」とすぐ分かりました。この間の学年会議で、よし君とのコミュニケーションの取り方を、村内先生から学んだところです。
 竹田先生は、よし君に近づいて肩に手を置きながら(「愛着」)小さな声で聴きました。

竹田「あれ、よし君いま、今、朝礼中ですよ。寝転んだらだめですね(「覚
  えて」)そんなこと、知ってるよね(「共感」)。でも、先生、思う
  に、ほぺったを床につけているから、うーーん、暑いのかな?暑いから
  冷やしてるんじゃないのかな(「想像」)。」

 よし君は、怒られるかなと思ったのに、意外と自分の気持ちを聞いてくれたので嬉しくなりました。そこで、正直な気持ちなって、小さな声で答えました。

よし「そう、暑いから顔を冷やしている。こうすると、気持ちいがいい。」

竹田「それは、気持ちがいいんだ(「共感」)。」

よし「立ってたら、吐きそうだった。」

竹田「吐きそうだったんだね(「共感」)。でもね、床に顔をつけると汚い
  し、周りのみんなも迷惑だと思いますよ。」

よし「迷惑?」

竹田「そりゃそうでしょう。朝礼のときに一人だけ寝っころがっている子が
  いたら迷惑でしょう。」

よし「じゃ、暑いんだけど、どうしたらいい?」

顔を洗うと体温が下がる

竹田「そうだね。外の水道で、顔を洗ってきたらどうかな?スッとするんじ
  ゃない?」

よし「いいの?」

竹田「先生に、ちゃんとお断りしてからなら大丈夫ですよ。」

よし「誰に言えばいいの?」

竹田「私でいいよ。どうぞ、お願いしてくだい。」

よい「暑くて気持ち悪いので、顔を洗わせてください(「すみませ
  ん」)。」

竹田「いいですよ。朝礼中だから、そっと行ってください。それから、5分 
  くらいで帰ってきてくださいね。」

よし「分かった。ありがとう。」

竹田「どういたしまして。5分は、守ってね。」

よし「うん。」

竹田「『うん』は、だめですね。丁寧に。」

よし「はい。」

竹田「私も村内先生と同じで、いい先生でしょう(「愛着」)」

よし「いい先生だ。」

 よし君は、約束を守ってそっと体育館の外に顔を洗いに行きました。そこへ村内先生が、竹田先生にそっと近づいてきて「なかなか上手に関わっていだだいて、ありがとうございます」と言いました。竹田先生は、満足そうな顔をして自分のクラスに帰っていきました。

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