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【手塚マンガ】アマゾン評価数ランキング11位~30位

今回は「アマゾン評価数ランキング」をお届けいたします。

ルールは単純に「評価」の数です。
①高評価、低評価関係なく評価数のみのカウント。

②キンドル作品のみをカウント。
手塚作品は出版社別の単行本が多くすべてカウントしきれないのでキンドル作品のみを対象としています。

③1作品につき最も多い巻数を1冊だけ選択
例えば火の鳥なら全エピソードを足していくのではなく最も評価数の高い作品をチョイスしてカウント。
ブラックジャックのような巻数の多い作品も最も評価数の多い巻数を対象としています。…でないと巻数の多い作品が有利になってしまいますので。

以上、作品の質、量、面白さなど全く関係なく
シンプルに読者が何らかのアクション、評価を下した数値による乱暴なランキングスタートです。

この記事の最後にランキング一覧と過去記事の紹介しておりますので是非ご覧になってください。



30位 「鉄腕アトム」(146評価)

いきなりどうゆうことですか。コレ???
日本を代表するマスコットキャラクターである天下のアトムがこの順位ですか。これはちょっと驚きです。前回15位からの大幅ランクダウン。
やはり知名度はあれど児童マンガという先入観があるのか、マンガを日常的にたしなむ文化になった現代では読まれなくなったマンガになったという証なのでしょうか。
アトムって手塚先生が手塩にかけて育てた可愛い子供のような作品ですが、反対にあまりにも人気が巨大になりすぎたために
自分の手元から離れて国民のキャラクターになってしまった葛藤を抱えてしまったという矛盾をはらんだ作品で、その辺りの作家の精神性が後半はめちゃくちゃ出てるんでその辺りを意識して読むとめちゃくちゃ面白いんです。

ファンの期待と自らのイメージとのギャップに耐えられなくなりアトムを描くことが苦痛な時期があったほど悩まされたこともあったそうです。
それほどまでに巨大になってしまった国民的キャラクターアトムと
真の手塚治虫の描きたかったことを今一度お子さんと体験してほしい。

単なる児童マンガに留まらない日本漫画史に間違いなく残る傑作!
ぜひご家族で読んで欲しいですね。
しかし超絶代表作、手塚治虫作品の中で最も発行部数の多い作品が30位ってどんなスタートなんですか。
ちょっと末恐ろしいランキングの幕開けであります。


29位 「七色いんこ」(148評価)

演劇好きの手塚先生が描く演劇名作を題材にした手塚後期の人気作です。
全体的にはマイナーな部類に入ると思うんですけど
29位にランクインしてきました。
「七色いんこ」は振り返ると結構伏線が張られていて物語が進むことで解明されていく楽しみがあるところがポイントで、さらに毎回題材となる演劇の原作を知ることで2倍も3倍も楽しめる要素が盛り込まれています。
その辺りの構成力はさすが、映画、演劇好きの手塚先生って感じです。
非常に奥行きと深みのあるエンタメ活劇といえますね。


28位 「ファウスト」(151評価)

これ来ますか。
世界的名作ゲーテの「ファウスト」を漫画化した意欲作
レビューを見ますと「残念、がっかり、書き切れていない」といったマイナス要因が結構見受けられるのですが確かにその要素があるのは否めません。

ただ1950年当時にこれをマンガ化したっていう歴史を感じて欲しい。
戦後まもなくの状況でマンガ自体にそこまでの文化や土壌もありません。
名作文学を読む環境も整っていなかったし、
読んでも理解できる人も少なかったと思います。
そんな作品を子供にも分かるように楽しい娯楽に変換するなんて
無謀そのもの。

そこを強行突破して出版するというド変態度。
それほどまでに惚れ込んだこの作品は、なんと自身の漫画家生活の中で3度も漫画化するほどまさに狂気じみたストーカー作。
手塚治虫をして悪魔的魅力の作品と語る「ファウスト」
今改めてこの時代に読んでみてはいかがでしょうか。


27位 「サスピション」(154評価)

なかなかに凄まじい作品がランクインしてきました。
手塚治虫お得意の短編集ですが全体的にシニカルな内容が多い短編です。
どれも大人向けサスペンスで卓越した衝撃的なラストは短編のお手本とも言える作品群。

以前に本編収録の「雨のコンダクター」を取り上げたことがありますが
これは泥沼のベトナム戦争がようやく終結を迎え戦争の「勝利」を祝う米国の記念演奏会コンサートの裏でバーンスタインという指揮者が
「平和のためのコンサート」を無料で行った時の記録であります。

このコンサートは、あえて豪華絢爛な政府の記念式典にぶつけてきた市民たちの反戦メッセージなのでありますが、この夜に行われた二つの対照的なコンサートこそ、当時のアメリカの社会情勢を表した出来事なのです。

戦争を推進したアメリカ政府と、反戦を訴える国民との「音楽の闘い」
それをシニカルに描いた巨匠手塚治虫の業が炸裂した短編。
なかでもオーケストラを演奏するシーンは圧巻であります。
ぜひこちらの過去記事もご覧になってみてください


26位 「ロストワールド」(158評価)

出ました。
手塚治虫の本格的な登場を知らしめる作品であり
若き天才の片鱗が垣間見れる記念碑的作品。
技術はまだ粗削りでディズニーの影響を色濃く受けていますが
そこを自身のオリジナリティとして昇華させているのはさすがです。
なによりこのマンガに影響を受けた漫画家が何人いるかってことですよね。
日本のマンガ業界、SF業界に多大なる影響を与えた
まさに日本マンガ史に残る記念碑的作品であります。


25位 「陽だまりの樹」(161評価)

日本の歴史上最大の変革期と言われる幕末
その激動に揺れる日本の夜明けを医療という側面から描いた傑作。

これは幕末マンガによくある単なるチャンバラ時代劇ではないのでしっかり時代背景理解して読むことオススメします。
ボク自身が何の予備知識もなく読んだ時は正直面白く感じませんでした。しかし大人になって改めて読み返してみると
マジでめちゃくちゃ面白い!
なので、ある程度の時代背景を知っておくことでより深く作品の没入できますので一定の理解を持った上で読むことをオススメします。
歴史、幕末好きなら必読!
晩年の手塚治虫の円熟の極みというべき作品が楽しめます。


24位 「三つ目がとおる」(177評価)

有名作がこの順位でランクイン
怪奇、オカルト、ミステリー、そして超常現象といった当時の流行りを詰め込んだ後期手塚のファンタジー傑作。
同時期に掛かれていた作品群が実に強烈
「火の鳥」「ブッダ」「ブラックジャック」など綺羅星作品がズラリ。
まさに晩年にして円熟期にあった作品は先生自身がノリに乗っている事が見ていて非常に気持ちいい。
エロ要素もちょっぴりあって実に手塚治虫らしい作品であります。


23位 「SFミックス」(179評価)

「着想と展開の見事さが「短編マンガ」のお手本みたいなSF短編集」という意見もあれば反面、「完成前」という意見も多くかなり両極端な感想を与える短編集です。

当時、この作品を理解できる少年は皆無だったんじゃないか?と思えるほど斬新なテーマのオンパレード。
それにしても「人間牧場」は斬新すぎ。
「「人間牧場」だけを読みたくて改めて購入」とのコメントも見られるようにこの作品は秀逸。


22位 「I.L」(180評価)

人間の狂気、欲望、願望、を鋭くエグッた手塚治虫の
アダルトファンタジーの傑作!
レビュー見てもらえれば分かりますが賛否両論の異色作です。
それもそのはず執筆時は先生自身が相当病んでいた時代の作品なので容赦ないダークサイドの手塚作品が拝めます。
作中でも精神を病んでいたり、焼け死んだり、自殺したりの連続、
問答無用のダーク&エロチカが炸裂するとんでもない作品集です
是非その目でお確かめください


21位 「新選組」(186評価)

萩尾望都先生が幼少時代に読んで、大感動を受けて漫画家になる決意をした作品として有名、もうこの一言に尽きます。
作品自体は残念ながら今見ると時代の流れを感じざるを得ない作品ですが当時の昭和30年代の状況下では
この作品が斬新極まりなかったとして見ていくと面白いかも知れません。

そもそも当時の幕末の歴史観が今と全然異なっていたということを理解して頂きたい、現代の幕末の歴史観は司馬遼太郎の『龍馬がゆく』の影響が大きく本作は、司馬遼太郎の『龍馬がゆく』以前に掛かれた幕末史であることが非常に貴重な資料として見る価値あるのではと思います。


20位 「アポロの歌」(194評価)

この作品はただもんじゃないですよ
1968年の「ハレンチ学園」の登場によって性描写や裸の描写といった過激な表現が徐々に世間に認知され性描写が単なる刺激物になってしまったことに対抗して描かれた手塚治虫の性教育マンガです。

…にも拘わらずこの作品は後に有害図書に指定されてしまうというとんでもないマンガなんですけど(笑)
決して他のお色気エロマンガと同じではありません。

性行為を生命の営み的描写としているので直接的、根源的表現に見て取れるところもありますが本質は愛と性の根幹を描いた傑作であります。



19位 「ジャングル大帝」(213評価)

至極ですね。
70年前の奇跡。若干19歳の天才作家が描いた一大スペクタルロマン。
日本漫画史に刻む屈指の名作。
日本初のカラーアニメ作にして今のジャパンアニメーションの先駆者。
某ネズミ王国もパクった日本エンタメの記念碑的作品。
語るまでもない大傑作です。以上!


18位 「メタモルフォーゼ」(310評価)

変身=手塚治虫
この構図こそ主旋律にして手塚治虫の原点
ヒューマニズムなんかクソくらえと言わんばかりの猟奇的な美学
背徳の黒手塚よろしくの爆裂短編集。
紛れもない変態作家の変態性が突き抜けたら芸術になっちゃった的作品集は
読者の目ん玉をひんむかせる超ド級のラインナップ。
一読の価値あり。


17位 「火の山」(341評価)

なぜこれ?…ってランキングですね。 
「手塚ヒューマンドラマの傑作中短編、人間を描く天才、ドラマチック.
鬼才、天才、奇人どれもあてはまる偉大な漫画家(創作者)
さすが手塚治虫である。」

…と、どれも良いコメントばかりです。
「人に物語りありの隠れた良作、
15分もあれば読めてしまう短編でこんなに感動するとは思わなかった」


などシンプルに褒めちぎるコメントが多いのは驚き。
「多様な作風を描き分けられるふり幅の広さこそ手塚治虫の真骨頂。」
まさにその一面が表れた評価と言えるでしょうね。
こんなアダルト短編がここまで評価高いとは恐れ入りました。


16位 「きりひと讃歌」(357評価)

これぞ手塚治虫の真骨頂といえる傑作。個人的には大好きな作品です。
医療マンガの走りであり医学会の権威主義に対する厳しい批判が本作のテーマになっております。

地位、名声、名誉を守るためだけに力を注ぐ医者の姿
明らかな医療ミスも闇に葬り去ってしまう組織体制
そのいびつな構造の中で巻き込まれていく主人公、マジで面白いです。

手塚先生曰く
「医療現場の本質を描くのあればどうしたってこうなってしまう」とさえ言わしめたアダルトサスペンスの傑作。
ベスト10入りして欲しかった。必読!


15位 「MW」(376評価)

来ましたね。
手塚マンガ史上でも間違いなくトップクラスの悪党のお話であります。
手塚先生自身も
従来の手塚カラーを打ち破りたかったと意識して描いただけあってこれまでとは真逆に位置する容赦ない黒手塚ワールドが炸裂しております。
暴力、裏切り、強姦、政治悪、なによりそこに絡まる「同性愛」
人間の本性、底なしの欲望に絡みつくエロス
混じりっけなしのドス暗いドラマが縦横無尽に展開していく様は必見中の必見!本作における最大の見どころでもあります。
この衝撃の設定を40年以上も前に描いていたのは驚き、今見ても全然古びていないのでぜひ改めてこの時代にこそみて欲しい一作です。


14位 「メトロポリス」(378評価)

日本のSF界の未来を決定づけたといっても決して過言ではない大傑作。
発表はなんと1949年、戦後焼け野原の日本でこれほどまでの近未来を想像できた日本人はいなかったと思います。
事実、本作に衝撃を受けて漫画家を志した学生、クリエイターは多く
今の日本のSF業界の発展に特大級の功績を残した記念碑的作品です。

恐るべきはその先進性で、この時点ですでに科学の抱える問題点、科学の暴走、文明社会への警鐘という類のテーマを描いていたのは
にわかに信じられません。
高度経済成長も始まっていないどころか、戦争終結わずか4年後ですよ。
当時の日本人の多くが
この若き天才の描く世界観に夢と希望を見たのは言うまでもありません。


13位 「ばるぼら」(385評価)

手塚エロティックアダルトの代表作のひとつ。2020年に実写映画化もされましたので直近ではある程度の話題性もあるかと思います。
人間の持つ色んな異常性をマンガで表したようなテーマなのでありますがこの時期の手塚先生自身病んでおられたので作品自体も相当病んでます(笑)

性的倒錯、精神倒錯、とにかくぐちゃぐちゃに潜在欲求が絡みついておりとんでもない爆裂作に仕上がっています。
解釈が人それぞれ異なる作品ですが、本質は手塚先生が人間の心の内面を猟奇的にエロティックに描いた意欲作です。


12位 「ザ・クレーター」(419評価)

このランキングは驚きました。みなさん結構短編集がお好きなのでしょうか。それとも手塚治虫の短編が人気あるのでしょうか。
手塚短編って暗くダークなものが多いんですけどその系統の需要があるようでちょっと驚きですね。「世にも奇妙な物語」的なダークオムニバスが
人気あるようにこの手の作品集も人気あるんですね。

本作は総合的に見て多彩なテーマを盛り込んだ異色短編であり
明らかに異質な余韻の残る作品群なので統一感もないし読後感もよくありません(笑)それもそのはずでこれは先生が大スランプの絶頂期に描かれたもので闇堕ち具合がハンパない破壊力を漂わせています。
改めてこれをよく少年誌で描いたなぁって思いますね。


11位 「紙の砦」(480評価)

来ました。これは個人的には嬉しい順位。
巨匠が描く戦争マンガ。戦争マンガといっても堅苦しくなく
先生ご自身の若き日を描いた実録マンガになっております。
学生時代に空から焼夷弾が落ちてきて自分の真横で友達が吹っ飛んだり
死体の山をかき分けて焼け野原を歩いた壮絶な戦争体験の中でも
大好きなマンガを描き続けたド変態マンガでもあります。

学校の教科書にも紹介されているまさに日本人なら義務教育で通るべき必読書!大学センター試験の問題にもなったり今では多くの学生が一度は目に舌ことある作品なのではないでしょうか。今一度戦争の歴史、手塚治虫の歴史を本書で振り返ってみて欲しい注目の一冊です。



11位以下のランキングです。
タイトルをクリックすると過去記事の作品紹介がご覧いただけます。

11位  紙の砦
12位  ザ・クレーター
13位  ばるぼら
14位  メトロポリス
15位  MW
16位  きりひと讃歌
17位  火の山
18位  メタモルフォーゼ
19位  ジャングル大帝
20位  アポロの歌
21位  新選組(未紹介)
22位  I.L
23位  SFミックス
24位  三つ目がとおる(未紹介)
25位  陽だまりの樹
26位  ロストワールド
27位  サスピション
28位  ファウスト
29位  七色いんこ(未紹介)
30位  鉄腕アトム

今回はここまで、次回はベスト10のご紹介です。


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