マガジンのカバー画像

本について

14
運営しているクリエイター

#小説

日本一有名な名無し猫の謎を追う本『吾輩は猫である殺人事件』

日本一有名な名無し猫の謎を追う本『吾輩は猫である殺人事件』


吾輩は俳優である名前(代表作)はまだない。というかそもそも仕事がない。仕事がないから、時間はある。
小晦日から大晦日、元旦ふくめの三ヶ日、五日丸々実家に帰る。
しかし、帰ったとてすることはない。仕方がないから本を読む。

『吾輩は猫である殺人事件』

ちなみに『吾輩は猫である』を知っているだろうか?「吾輩は猫である。名前はまだない」から始まるアレである。
ではこれを最後まで読んだものはどれほどい

もっとみる
酒飲悪口愛妻作家のパリ生活を覗きたい時に読む本『移動祝祭日』(ヘミングウェイ)

酒飲悪口愛妻作家のパリ生活を覗きたい時に読む本『移動祝祭日』(ヘミングウェイ)

ヘミングウェイは大酒飲みだった。彼は酒を飲まねば文章を書くことができなかった。
朝6時に起きて筆を取り、夜8時までグラス片手に書き続け、それ以降は断酒。
なんとも逆転した生活を送っていた。
彼にとってアルコールはペンのインクも同然だった。

だから彼が糖尿病に犯され、酒を控えよと医者から強く忠告された事は、彼の作家人生最大の危機に違いなかった。
そこで考案されたのが”パパ・ダイキリ”

ここから砂

もっとみる
『空洞のなかみ』(松重豊)

『空洞のなかみ』(松重豊)

”俳優本”が好きでよく読む。面白い。

僕が好きな俳優本の中で言うと、例えば柄本明の『東京の俳優』なんかは絶品。ユーモラスな語り口で荒唐無稽な俳優人生が綴られる。
堺雅人の『文・堺雅人』なんかもおすすめ。あのヒョロヒョロっとした、それでいてナイーブな感じが文体に出ててイイ。
山崎努の『俳優のノート』は割合演技論に傾いた本。一人の老俳優が一本の舞台に向き合う姿そのままに描かれている。このレベルの俳優

もっとみる

村上春樹とNTR文学 『女のいない男たち』

2021年04月07日
ここ最近、村上春樹にハマっている

 きっかけはラジオ。
 今、僕の家にはテレビがなくて、一人暮らしの家は妙に静かでサワサワしてしまう。youtubeを垂れ流していた時もあったけど、5分おきに不愉快な筋肉増強剤のCMが挟み込まれるので、近くのディスカウントストアで500円の昔ながらのハンディーラジオ(おじいちゃんが川辺で座りながら競馬中継聞いてるアレ)を買って、無音を紛らわ

もっとみる