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遊月の創作の部屋

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遊月創作のファンタジー物語、前世の様な物語、知っているようで知らないどこかの国の歴史物語、童話、パワースポット物語、ディストピア風物語など。 どこか切なくて哀しいけど、なんだか心…
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記事一覧

月子の世界の月を探す旅 1

月子の世界の月を探す旅 1

プロローグ 月子からの挨拶

わたくしはこの本の進行役の環月子(たまきつきこ)と申します。

苗字の「環」は、ぐるぐる回る、巡る、囲むなどの意味があるので、月が巡る、月に掛かる金の輪など。そんなイメージでしょうか。
「環」には他にもいくつかの意味があります。例えば古代の装身具の一種で、玉や鈴などを紐に通した腕飾りとか、弓を射るときに左のひじを覆う筒形の道具で、のちの弓籠手などの意味も持つもの、など

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語り継ぐもの〜パワスポ小説(小樽ストーンサークル)

語り継ぐもの〜パワスポ小説(小樽ストーンサークル)

結構前のことだ。
大陸でウィルス性の病が流行ったため、その国にある長い城壁を見に行けなくなった観光客たちが、その代わりに日本の北海道の片隅にある、小さな縄文遺跡を見るために、小樽に来ているらしいとニュースで見た。
小学生の頃、課外学習で担任に連れられて行ったその遺跡が懐かしくて、私は数十年ぶりに見に行った。

その縄文遺跡は3000年以上前からそこにあった。
東日本で一番大きいと言われている、平地

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【遊月パワスポ物語】太陽の女神がいる場所

【遊月パワスポ物語】太陽の女神がいる場所


はじめに

パワスポに行くと自分の記憶ではない誰かの思いがふと入ってくることがあります。
そのイメージを元に時々物語を書いています😊

パワスポ物語〜比布神社(比布町)

私はじいちゃんが教えてくれるありがたい話が好きだ。
この国は神様が作った話も好きだし、夜に口笛を吹いたら蛇が来るみたいな、昔から言い伝えられている話を聞くのが大好きだった。

お母さんは「そんなのはおとぎ話だ」とか「おじいち

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【遊月パワスポ物語】豊川稲荷札幌別院

【遊月パワスポ物語】豊川稲荷札幌別院

はじめに

パワスポに行くと自分の記憶ではない誰かの思いがふと入ってくることがあります。
そのイメージを元に時々物語を書いています😊

パワスポ物語〜豊川稲荷札幌別院(札幌市)

すすきのの片隅にその神社はあった。
鳥居があったから神社だと思うけれどお寺みたいだし、よくわからないままお参りをしに一歩足を進めた。

この辺はかつて遊郭だったから、悲しい女性たちがたくさんいたのだと、かなり昔誰かに聞

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PAIN(創作短編)

PAIN(創作短編)

涼にまた殴られた。
理由なんて意味がない。涼は殴りたいほど頭に来たから私を殴る、それだけ。

私のTシャツの胸元を掴んで、アザラシになった身体をずるずると引きずる。顔や頭を殴ることもあるけど、今日はそのまま力任せに床に投げつけられた。はずみで頬から頭の横にかけて打った。畳に擦れた耳が熱を帯びて痛い。
怖くて、両腕で頭を抱えて私は、怯えたウサギのように泣いてしまう。

涼は再び私の胸を掴むけど、怖い

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「遊月の出雲神話を巡る旅: ファンタジー風旅エッセイともうひとつの神話」はkindleで発売中

「遊月の出雲神話を巡る旅: ファンタジー風旅エッセイともうひとつの神話」はkindleで発売中

2023年5月。
ずっと長い間夢見ていた、出雲に旅してきました。

幼い頃から神話の世界に憧れがありました。出雲の神様はちょっと不思議です。
手に負えない暴れん坊の神様が、天から追い出された直後に、ヒーローになって八岐大蛇を退治して人を救ったり、そうかと思うと、長い間かけてせっかく作り上げた豊かな国を、惜しげもなく譲ってしまったり。
それらの展開がどこかしっくりこない私は、本当のお話は少し違って

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