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「書くことで救われた」 ミュージシャンの視点で描いた“2020年”の物語

人々の生活や価値観が大きく変化した2021年。一方で、本を開くだけで無限に想像力と世界が広がる「文芸書」が、身近なエンターテインメントとして再認識される年でもありました。

本記事では、
【いま注目の作家】をご紹介させていただきます。

河邉徹(かわべ・とおる)


『流星コーリング』が、第10回広島本大賞(小説部門)を受賞。その他の著書は『夢工場ラムレス』『アルヒのシンギュラリティ』『僕らは風に吹かれて』。
自身のInstagramでは、物語の主人公を想起させる美しい写真の数々を投稿している。

1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学文学部文化歴史学科哲学倫理学専修卒。ピアノ、ドラム、ベースの3ピース・ピアノバンド「WEAVER」のドラマーとして2009年10月にメジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。2018年5月に小説家デビュー作となる『夢工場ラムレス』を刊行。2作目の『流星コーリング』が第10回広島本大賞(小説部門)を受賞し、3作目『アルヒのシンギュラリティ』(2020年8月発売)も、TBS「王様のブランチ」BOOKコーナーにて「SHIBUYA TSUTAYA週間総合ランキング」第1位として紹介され、話題になる。


🙅‍♂️否定をしない、穏やかで大きな優しさに包まれる作品

河邉さんはWEAVERというバンドでドラムを担当し、ほとんどの曲の作詞を手掛けられています。河邉さんが薦めている原稿は、『蛍と月の真ん中で』でした。

作品を拝読して思ったのは、人の心を揺さぶるような、言動が強い人や勢いのある人の描き方がとてもリアルなことでした。ともすると、悪人として配置されてしまいそうな人々を、大げさに描くのではなく、特徴を捉えて冷静に描く筆致に驚きました。

音楽の世界でも、文学の世界でも、第一線で活躍し続けるのは、とても大変なことだと思います。デビューするより、続けるほうが、その何十倍も何百倍も大変です。河邉さんによると、しのぎを削るような経験がたくさんあったそうです。心が大きく揺さぶられるような出来事もあったと思います。

そのような経験をしてもなお、いや、経験しているからこそ、作品の中に描かれている純粋で聡明な部分が、純度の高いまま、力強く、物語の根底に横たわっているように感じました。

『蛍と月の真ん中で』では、人生に悩む青年が、長野の美しい風景や様々な「生き方」をする人との出会いを経て、自分自身を見つめなおしていく姿が描かれています。

何かを否定するのではなく、すべてを柔らかな眼差しで受け入れることのできる強さを秘めた、度量の大きな作品です。

是非ご覧になってみてください。

品切れになるほど人気です。

蛍と月の真ん中で

著者:河邉徹

発売日:2021年10月

発行所:ポプラ社

価格:1,760円(税込)

ISBNコード:9784591171707


あるインタビューの本音

✅太字は、編集者です。

✅薄い字は、著者です。

―― 今作では、勢いに乗っていたノベルコードのメンバーが、ある時突然ライブを奪われ、自分たちがすべきこと、できること、したいことの間でそれぞれに悩む姿も描かれています。メンバーの湊はもともとインスタグラマーとして成功していましたが、それは「インフルエンサーとして成功しよう」という意志があってのことではありませんでした。「新しいやり方で成功している人がいるのはわかっているけれど、それは自分にはできない」という“変化に適応できないことへの苦しみ”にも、共感した読者は多いのではないかと思います。

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