やくわ

志賀直哉と梶井基次郎が好きです。カフカとカミュも。 音楽と小説を作ってます。 音楽⬇️ …

やくわ

志賀直哉と梶井基次郎が好きです。カフカとカミュも。 音楽と小説を作ってます。 音楽⬇️ https://soundcloud.app.goo.gl/oMmd9zKLcQwPkSLN9

マガジン

  • 詩集

  • エッセイ

    思った事をつらつらと忘れないようにと書いています。

  • 振り返り

    懐かしい話や忘れたくない話や思い出した話を書き留めています。

  • ショートショート

    ちょっとした物語をお送りします。一字一句拘ってるつもりです。

記事一覧

詩集2

・缶ビール   タブを引っ張ると爽快な音を立てる         勢いよく一口目を飲むと喉が鳴る         決まってゲップが漏れる         癖になる…

やくわ
2年前
6

詩集1

・スカート  気になる子のスカートを捲ってみた        できるだけ堂々と捲ったけど駄目だった        あいつはよかったのに ・廃れた街  夏の終わりに…

やくわ
2年前
6

ヘラヘラ小唄

プシュっと音を立てた500mlの缶ビールは、一口目で三分の一も無くなってしまった。金曜日の午後3時、猛暑日で汗が滲む帰り道で涙まで滲む。「今週もお疲れ様。」と細やかに…

やくわ
3年前
6

雉鳩の思い出

雉鳩が鳴いている。一定のリズムで。癖になる鳴き声は忽ち教科書の文字にモザイクをかけた。外を見ると夕焼け空が広がっている。小学6年生になったばかりの私は6時間目まで…

やくわ
3年前
4

酩酊

 僕ァもう駄目だ。手が震えっちまうもんで、真面に字も書けやしない。其れどころか自分が何を話してるのかさえ自分で分からなくなる始末。然しな、不思議な事に何だか長い…

やくわ
3年前
5

様々な疲れ

1日の後半に差し掛かると僕はどっと疲れてしまう。1日の後半というのは大体午後3時くらいを指す。僕は目が重くなり、痺れた感じになり、乾いてくる。目の疲れがとってもひ…

やくわ
3年前
5

おのれ誘惑

気を抜くとすぐこれだ。かつての職場で怠慢王と言われただけはある。タバコ。明日から治験が始まるので、この際タバコやめようってちょっと思った。しかしながら、やめよう…

やくわ
3年前
4

追憶の中で

後、100段程空中階段を登ったら辿り着く。やっと、やっと。それだけ目指して来たんだから。どれくらい歩いていたろう。20年、生まれてからずっと、不思議と疲れは無い。振…

やくわ
3年前
7

灯火

東日本大震災の時、山形にいた僕は中学3年の卒業式前の時期だった。校舎の3階で全校生徒の合唱をしていた。全校生徒と言っても50人弱の小規模校だ。壁に架かっていたクリ…

やくわ
3年前
5

足跡

2本の線が引かれていた。真っ直ぐ平行に、赤と青の線が白い平地にどこまでも伸びていた。果てがあるのかは分からない。僕はその平行線の間に立っていた。赤にも青にも触れ…

やくわ
3年前
3

春の日に

風の強い晴れの日に桜並木を歩いていた。独りで、ゆっくり、音楽が流れていないのにイヤホンは耳に付いている。さっきプレイリストが終了したみたい。黄色いパーカーを着て…

やくわ
3年前
9

眠れない時の小話

眠れないので文字を書くことにした。僕は星を見るのが好きだ。暗い空を埋め尽くすほど賑やかにしてる、みんな同じに見えるけどみんな違う星。何年も何光年もかけて僕らの目…

やくわ
3年前
19

切り口自由入射角自由

 大学2年の半ばだった。ゼミを変える決断をした。きっかけはM先生の授業を受けたことだった。授業名は定かではないが、哲学書・思想書を一冊みんなで読んでいき討論する…

やくわ
3年前
5

叶わなかったけど

 大学生になってからテレビのない生活を送っていた。テレビを買うお金も無く、最初の一年は友達の部屋に行ってテレビを見せてもらうことが多かった。その一年でテレビっ子…

やくわ
3年前
4

出会ったら。。。

 僕が半年前まで住んでた横浜市の白楽はとても好きな街だった。老舗や新しくできた商店が1.5kmほど立ち並ぶ街だった。そこに1年半ほど住んでいた。家から持って来た大学…

やくわ
3年前
11

悩みについて

 僕は色んなことを忘れる。明日の予定とか、昨日したこととか、学んだこと、やろうと決めたこと。一貫性が無いって言われる。分かる。そう言われた時に愚かさに気づく。忘…

やくわ
3年前
4

詩集2

・缶ビール   タブを引っ張ると爽快な音を立てる
        勢いよく一口目を飲むと喉が鳴る
        決まってゲップが漏れる
        癖になる一連のお決まりの音

・重たい    眠れない夜に頭を締め付ける重いもの
        砂がいっぱいに入った大きな麻袋が体を包むよう
        頭の内と外を締め付ける
        雲霞のような砂に手応えはなく
        

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詩集1

・スカート  気になる子のスカートを捲ってみた
       できるだけ堂々と捲ったけど駄目だった
       あいつはよかったのに

・廃れた街  夏の終わりに街を上げての大きな祭りがある
       その時にだけみんな元気になる 縋るように 
       そういう気持ちを子供も知っている

・絵と本物  コウモリを初めて見た
       豚みたいな鼻をして思ったよりも危なっかしく飛ぶ

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ヘラヘラ小唄

プシュっと音を立てた500mlの缶ビールは、一口目で三分の一も無くなってしまった。金曜日の午後3時、猛暑日で汗が滲む帰り道で涙まで滲む。「今週もお疲れ様。」と細やかに自分を労う。「本当によく頑張ったなー、生きたぞ今週も。」短くもあり長くもあった一週間がビールに溶けていく。二口目以降は昼に食べすぎたせいもあり、あまり進まなかった。

頑張ったのは仕事じゃなくて、勉強でもなくて、それは何度も自分自身と

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雉鳩の思い出

雉鳩の思い出

雉鳩が鳴いている。一定のリズムで。癖になる鳴き声は忽ち教科書の文字にモザイクをかけた。外を見ると夕焼け空が広がっている。小学6年生になったばかりの私は6時間目まである日をやけに長く感じた。企画委員長、つまり生徒会長の私は委員会が6時間目の後に残っていた。16時10分に6時間目が終わり、3階にある図書室で打ち合わせがあった。打ち合わせといっても政策を打ち出すとか、学校をよくするための種々の改善点を議

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酩酊

 僕ァもう駄目だ。手が震えっちまうもんで、真面に字も書けやしない。其れどころか自分が何を話してるのかさえ自分で分からなくなる始末。然しな、不思議な事に何だか長い間此処にいる気がする。アレ、他の人はどこ行っちまったんだろ。最後に会ったのはいつだっけな。

 やや!ご無沙汰じゃないか、〇〇君!!何だいね、何も言わずに出て行っちまうんだから、僕の所為だったら言っておくんな。大声で君を呼び戻したんだけれど

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様々な疲れ

1日の後半に差し掛かると僕はどっと疲れてしまう。1日の後半というのは大体午後3時くらいを指す。僕は目が重くなり、痺れた感じになり、乾いてくる。目の疲れがとってもひどい。文字が目に入ってこないし、目が疲れていると単純にしんどい。どうしたことやら。僕は生まれてから一度も目が悪いと言われたことが無く、メガネやコンタクトレンズの装着には縁が無かった。目の情報量って基本多いので目がダメになると情報が遮断され

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おのれ誘惑

気を抜くとすぐこれだ。かつての職場で怠慢王と言われただけはある。タバコ。明日から治験が始まるので、この際タバコやめようってちょっと思った。しかしながら、やめようって思うのはニコチンが充足している時の僕であって、我慢に顔を赤らめている僕ではない。このノートを書く少し前にコンビニに足を運び、マルボロメンソ4mg買ってしまいました。誰か、止めてください。助けてください。まあ、買ってしまったものは仕方がな

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追憶の中で

後、100段程空中階段を登ったら辿り着く。やっと、やっと。それだけ目指して来たんだから。どれくらい歩いていたろう。20年、生まれてからずっと、不思議と疲れは無い。振り返ると大地や海などはすっかり雲に隠れて、どこから来たのか、どこにいるのかも怪しくなる。

…辿り着いた。そして、君はいた。ずっと探していた人。彼女は笑うでも無く、訝しむ様子も無く、僕を見ていた。やっと会えた。涙が止まらなかった。20年

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灯火

東日本大震災の時、山形にいた僕は中学3年の卒業式前の時期だった。校舎の3階で全校生徒の合唱をしていた。全校生徒と言っても50人弱の小規模校だ。壁に架かっていたクリスマスリースの様なものが落ちたと思ったら、立っていられない程横に揺れた。2、3時間学校に待機になりそれから帰路に着いた。度重なる余震で揺れる感覚が体に染み付いていた。

家に帰ると父以外みんないた気がする。その日は電気や水道が止まり、茶の

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足跡

2本の線が引かれていた。真っ直ぐ平行に、赤と青の線が白い平地にどこまでも伸びていた。果てがあるのかは分からない。僕はその平行線の間に立っていた。赤にも青にも触れずに。

後ろを振り返ると、赤にも青にも触れないゆらゆらとした足跡の曲線が伸びていた。ずっと疑問だったこと。その平行線を越えたらどうなるのか。赤と青の間は10m程で、赤と青同時に越えることは出来なかった。まずは赤の方に向かった。

あと一歩

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春の日に

風の強い晴れの日に桜並木を歩いていた。独りで、ゆっくり、音楽が流れていないのにイヤホンは耳に付いている。さっきプレイリストが終了したみたい。黄色いパーカーを着てポケットに手を突っ込んで歩く。晴れているのに風が冷たい。僕には休日も平日も無い。

頭の中にいつもねっとりと纏わり付いているものとずっと喋っていた。不安は彼が連れてくる。僕は純粋で、彼に唆されるとすっかり言いなりになってしまう。物心ついた当

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眠れない時の小話

眠れないので文字を書くことにした。僕は星を見るのが好きだ。暗い空を埋め尽くすほど賑やかにしてる、みんな同じに見えるけどみんな違う星。何年も何光年もかけて僕らの目に飛び込んできた光たちに魅了されたのは半年前のことだ。

仕事で新聞配達もしていたため、週3回ほど深夜早朝外に出て、YAMAHAのギアやホンダのカブを走らせていた。栃木配属だったが、茨城の配達に行くことが多かった。車を25分ほど走らせて茨城

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切り口自由入射角自由

切り口自由入射角自由

 大学2年の半ばだった。ゼミを変える決断をした。きっかけはM先生の授業を受けたことだった。授業名は定かではないが、哲学書・思想書を一冊みんなで読んでいき討論する授業だった。半年間書物を深読みしていく作業は初めてだった。M先生が5、6冊本を持って来てぼんっとコの字のテーブルに投げた。「こん中から決めて〜。」朗らかな口調で、視線が定まってない先生は開始時間の5分後に教室に入ってきた。なんやかんやでルソ

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叶わなかったけど

 大学生になってからテレビのない生活を送っていた。テレビを買うお金も無く、最初の一年は友達の部屋に行ってテレビを見せてもらうことが多かった。その一年でテレビっ子からテレビの無い生活にすっかり慣れてしまった。今25なので、そうやって7年以上テレビを持たない生活を送っている。実家には4台のテレビがあった。僕の部屋と母の部屋と兄の部屋と茶の間の4箇所だ。7人家族とまあまあ大きな世帯だったのでチャンネルの

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出会ったら。。。

出会ったら。。。

 僕が半年前まで住んでた横浜市の白楽はとても好きな街だった。老舗や新しくできた商店が1.5kmほど立ち並ぶ街だった。そこに1年半ほど住んでいた。家から持って来た大学の時に買った本などは殆ど読み尽くしてしまい、新しい本を読もうと思った時に古書店を探した。仕事柄日曜日しか休みが無かったため、今日こそは本を買いに行くぞと寄ったお店は家から1km程の行きやすいところにあった。ジャズがずっと流れており、40

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悩みについて

悩みについて

 僕は色んなことを忘れる。明日の予定とか、昨日したこととか、学んだこと、やろうと決めたこと。一貫性が無いって言われる。分かる。そう言われた時に愚かさに気づく。忘れることって余計なことをするよりも取り返しがつかないことだと思う。人を巻き込んだら信用を失うから。ウシジマくんに触発されてすごく恐ろしいなって思う事がある。お金の事なんだけど、お金って一人歩きして忘れ去られた時にはいい意味でも悪い意味でも育

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