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Jリーグ 観戦記|乱れなき大波|2023年J1第2節 横浜FM vs 浦和

 肌が寒気を覚えている。今年もJリーグが始まった。鈍色の空の下、サッカーが脈を打つように繰り広げられる。

 この日の主役はマリノスだった。即時奪回。この言葉が似合う。喜田拓也が動く。その位置取りによって味方の選択肢が増える。浦和の手の届かない場所に。プレスが空砲に終わり、ロングボールの回収もままならない。

 素早い横移動に縦への動きを織り交ぜた攻撃。それは選手に自由をもたらし、ボールを受ける空間と時間を生み出す。大半の選手たちをピッチの一方に寄せて、広大なキャンバスがそこに出現する。アンジェ・ポステコグルーが率いた時代から変わらぬ魅力がここにある。乱れなき大波。それは日産スタジアムの青いスタンドと共鳴する。

 前線でブライアン・リンセンが苛立っているように感じた。寒々とした空気と感情の発露。それはどこかアンバランスさを伴っている。そして、復帰した興梠慎三のポストプレーは時が経っても一級品であり、それを拝むこともまた、この場所にいる幸せと表現できる。

横浜FM 4-1 浦和

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