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映画、小説、コンテンツ

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2021年3月の記事一覧

アジアへの恐怖

アジアへの恐怖

川を舞台にした映画や小説は数多い。

古くは、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』がある。あるいは、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』もある。アフリカのコンゴ川上流で、クルツという英国人が現地人を酷使して王様のように暮らしている。そのうわさを耳にした一人の青年が川をさかのぼって会いに行く話である。

これをベトナム戦争におきかえたのが、フランシス・コッポラの映画『地獄の黙示録』だ。カ

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人をよみがえらせるマンガ

人をよみがえらせるマンガ

今月は安倍夜郎『深夜食堂』というマンガをくりかえし読んだ。23巻まで出ているらしいけど、ぼくが持っているのは17巻までだ。

今月はマンガを読んだり、ドラマを見たりしてダラダラと過ごすことが多かった。春先は苦手だ。毎年、ねむくて気力がわかず、読書も進まなかった。春眠暁を覚えずなのかどうか知らないが、ムリにがんばろうとするとかえって調子を崩すので、なんとなくやりすごしていた。

『深夜食堂』はドラマ

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すこしずつ温度を上げていく

すこしずつ温度を上げていく

昨日、柔道の古賀俊彦さんが亡くなられた。平成の三四郎をおしむ気持ちも強いが、一歳年上の「まだこれから」という人ががんで亡くなった衝撃が大きい。「明日は我が身」と切実に感じる。

そういうわけで昨日の記事「ヰタ・セクスアリス(性欲的生活)」は、最初書くのを止めようかと思ったのである。古賀さんの訃報に接して、「性」から「生」へ気持ちが一気にシフトしてしまい、思春期の性どころではなくなった。

実際に一

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noteは「ブログを完成させる場所」ではなくて「尖ったアイデアを置いておく場所」

noteは「ブログを完成させる場所」ではなくて「尖ったアイデアを置いておく場所」

ツイッターが会話だとすれば、ブログはひとりごとに近い。

ふつうの会話では、本音をそのままで口にするとたいていは相手を怒らせる。

ドラマ『結婚できない男』の主人公がやっているのがまさにこれだ。建築家の桑野伸介(阿部寛)は、言わなくていいことばかり言ってまわりを怒らせている。言っている内容はもっともなのだが、「バス旅」の蛭子能収さんのように「そこでそれを言うのか?」とおもうことばかりだ。

桑野は

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十年ひと昔はほんとうか

十年ひと昔はほんとうか

十年ひと昔ってよくいう。

十年ひと昔:世の中の移り変わりが激しいことのたとえ。十年という年月を区切りとして、それ以前は昔のように思われるということ。(Goo辞書)

「それ以前は昔のように思われる」ってほんとかなあ。

十年前と言えば2011年であり、いまは3月なので、そういう話題が多い。関東から東北一帯にいた人は、被災地以外でも、かなり強い揺れを感じたはずだ。

①あの瞬間、何をしていましたか

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アイデアにもコストがかかっている

アイデアにもコストがかかっている

たとえば、おもしろい映画を観て、「これはそうとうお金がかかっているな~」と思うこともあれば、「お金をかけないでうまくやったな~」と思うこともある。

この場合のお金とは、セットやロケやキャスティングにかかる費用である。見るからに豪華なセットもあれば、安上がりのセットもある。

ぼく自身は、アイデア重視で安上がりに作っている映画がスキだ。お金がかかっているのに、それが結果につながっていない作品を見る

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文章は耳からはじまる

文章は耳からはじまる

数日前のツイッターで、ミュージシャンのつんくさんが書いたnoteを引用した。

読めばだれでもわかるが、内容が面白くて、文章も読みやすい。ぼくはこれまで長いnoteを読むのが苦手だったので、自分でも短く書こうと努力してきた。しかし、つんくさんの文章を読んで認識が変わった。長くてもラクに読めるものもあるのだと。

読みやすく感じた理由は3つあると思う。

①文章の流れが良い

②書かれているアイデア

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何度でも観たくなる森田健作

何度でも観たくなる森田健作

千葉県の森田健作知事が、退任のあいさつをおこなった。

ぼくは千葉県民ではないので、森田県政のことはよく知らない。しかし、昨年、次期候補者選びで、例の森喜朗氏がでてきて、森田氏に「もう一期いけよ」と言ったのは知っている。

つまり、本人にその気があれば、あと一期やれたのはまちがいない。

県政刷新をうたい文句に登場した新知事が長期政権化し、自分が批判したのとおなじ状態におちいるのはよくあることだ。

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心地よいゆるさ

心地よいゆるさ

昨日は、ダメダメなのに嫌いになれない「C級ホラー映画」について書いた。いきおい余って「Z級」と書いてしまったがあの映画は「Z級」ではない。「C級」に訂正させていただく。メグ・ライアンの出ている映画が「Z級」ということはないのである。

ところで、たとえC級作品であっても、なんども見たくなる作品もあれば、アカデミー賞作品でも一度見たら十分という作品もある。そのちがいは何なのかということをあれから考え

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ダメな映画をなぜか嫌いになれない

ダメな映画をなぜか嫌いになれない

みなさんも、箸にも棒にも掛からないものを好きになってしまうことはないだろうか。たとえば、ダメ男に入れあげてしまうとかね。

さて、今日は「ダメな映画をなぜか嫌いになれない」という話です。どうしようもない映画でもなぜか繰り返し見たくなるものがある。

ぼくが30年以上にわたって見続けているどうしようもないクソ映画、それがジャカジャン♪

『悪魔の棲む家 PART 3』

であーる!

最初に言ってお

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アートな恐怖もあると思う

アートな恐怖もあると思う

昨日は笑いと恐怖について書いてみたんだけど、おしまいに「ホラーはサービス業だ」と書いた。

ホラー映画でも、ゲームでも、ジェットコースターでも、お化け屋敷でもなんでもそうだとおもう。客を怖がらせるために作り手は四苦八苦している。こっちからどひゃーっと来ると見せかけて、あっちからどひゃーっときたりして、あの手この手でタイヘンである。

「これで怖がらないのは、客にセンスが足りないからだ」などとは言わ

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笑いの道は笑えない

笑いの道は笑えない

さっきごはんを食べながらNHKの「サラメシ」を見ていた。ごくふつうの会社員が食べているふつうのごはんを紹介する番組で、中井貴一さんがナレーターを務めている。見るはひさしぶりである。

気になったのは、一般人の人の名前がテロップで紹介されると、同時に"好きな有名人"という項目が表示されることである。以前見たときはこんなのはなかった気がするんだけどな~。気のせいだろうか。たとえば会社員山田太郎さんのお

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