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十年ひと昔はほんとうか

十年ひと昔ってよくいう。

十年ひと昔:世の中の移り変わりが激しいことのたとえ。十年という年月を区切りとして、それ以前は昔のように思われるということ。(Goo辞書)

「それ以前は昔のように思われる」ってほんとかなあ。

十年前と言えば2011年であり、いまは3月なので、そういう話題が多い。関東から東北一帯にいた人は、被災地以外でも、かなり強い揺れを感じたはずだ。

①あの瞬間、何をしていましたか?
②あの瞬間が昔だと感じますか?

ぼくは自宅にいて、とつぜん揺れを感じてから、近所に住んでいる家族の安否を確認しにいった。でも、ついこのあいだのようであり、ぜんぜん昔のような気がしない。

ちなみに26年まえには京都にいた。ズガッと揺れが来て、本棚がたおれ、マンションのカベに縦にひびが入った。風化させてはいけない出来事だけど、ただし、あの瞬間を「昔」かと言われたら感覚的には昔と感じる。

18年前の十勝沖地震で揺れた瞬間のこともよく覚えているけど、あれが「昔」かと言われれば、昔と感じる。

どうやら、10年前と20年前のどこかに時間の断層があるみたいなのである。

じつは、いまアマゾンプライムビデオで阿部寛さん主演のドラマ『結婚できない男』というのを見ている。すごくおもしろくて止められないんだけど、制作は2006年だ。つまり、15年前である。

ぼく自身は、そのころ、一生やろうと思っていた仕事を止めて人生をゼロに戻した。だから、2005年以前と、2007年では、まるで別世界のように感じる。

だれでも人生にも時間の断層があって、それ以前と以後で時間の感覚が異なるようになっているのかもしれない。震災で家や家族を失った人たちは、2011年に断層があるかもしれない。そして、2010年の生活が、とおい過去だと感じるのかも。

ちなみに2006年にぼくは38歳だった。日本には厄年という風習があり、女性は40手前、男性は40前半でそれを迎えるそうだ。ぼくの友人で40過ぎに大きな手術をしたのがいる。

40歳前後に、時間の断層が生じる人はあんがい多いのではないか。ぼくのばあいはそれがたまたま2006年だった。『結婚できない男』をみていると、皆が二つ折りケータイを使っているのはやや昔だと感じる一方で、街並みも、人の顔も、服装も、それほど昔とは感じられない。自分にとっての特別な時間の区切り目を見せられているようで不思議な感じがする。

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