マガジンのカバー画像

春と私の小さな宇宙

73
少し不思議で哲学チックな物語です。自分でも何故こんな話を書いたのかわかりません。
運営しているクリエイター

#無限

『春と私の小さな宇宙』 その67

『春と私の小さな宇宙』 その67

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハルの計画はゆっくりとではあるが着実に浸透するものだった。

知らず知らずのうちに人類の遺伝子は第三世代に変化していく。ハルの死後も三重螺旋のDNAは次世代に引き継がれ、第三世代の子孫を増やしていくのだ。

いかに物事を滞りな

もっとみる
『春と私の小さな宇宙』 その66

『春と私の小さな宇宙』 その66

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハルは振り返り、再び第三世代の男を見る。会った時と違い、弱々しい表情をしていた。

「カレーよ」

「カレー?」

思いもよらぬ答えに、ミハエルは耳を疑った。

「カレーは様々な具材が入っているわ。肉や野菜、水、スパイス・・・

もっとみる
『春と私の小さな宇宙』 その62

『春と私の小さな宇宙』 その62

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あった。やはりここに落ちていたのね」

拾ったのは熊との格闘で負けを悟った時、落とした注射器だった。

「この場所に落としたところを記憶していたの。まだあってよかったわ」

今度はハルが宮野の首筋に注射器を当てる。ゆがんだ顔

もっとみる
『春と私の小さな宇宙』 その30

『春と私の小さな宇宙』 その30

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そうだね。君の考えは正しいと思うよ、でも、こうは考えられないかな。これはあくまでボクの仮説だけど、無を満たしているものが質量やエネルギーのない、全く別のものだったとしたら。説明ができると思うんだ」

「意味がわからない」

もっとみる
『春と私の小さな宇宙』 その29

『春と私の小さな宇宙』 その29

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「そろそろ出てきなさい」

ハルは後ろの木陰に向かって言った。テレパシーではなく、声を出して言った。

ガサガ サ音を立てて、その人物は現れた。

出てきたのはアキだった。申し訳なさそうにハルを見ている。

「ハ、ハル、

もっとみる
『春と私の小さな宇宙』 その1

『春と私の小さな宇宙』 その1

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宇宙は命の起源だ。

何も無い空間に無数の星や命が存在している。黒で塗り潰された背景には終わりがなく、それこそ無限に広がっている。 そんな膨大な宇宙も最初はとても小さな粒が始まりと言われている。

全ての生命がそこから誕生した

もっとみる