ひしがた

ひしがた

マガジン

  • ファルマコンを探して

    1990年の夏、美術館でもギャラリーでもない場所で、現代美術の展覧会が行われた。あれから30年。今となってはなかなか語られることがない。 そんな展覧会「ファルマコン’90」について資料を元にあれこれ想像してみる、行き当たりばったりの旅の記録。

  • コレクションストーリー

    購入した作品の数だけ物語がある。 自分が出会いコレクションした作品についてのお話。

  • 台湾篇2020

    2020年1月、台湾へ行ってきました。 不惑を前にしてはじめて海外へ行った私「ひしがた」の浮かれポンチな台湾滞在日記。

最近の記事

Everything Flows

あぁ、やっぱり……、という感想がまず出てきました。 前澤友作氏がバスキアの大作を手放すというニュースです。 以前から噂では聞いていましたが、現実のものとなってしまったんですね。 前澤友作氏の現代美術コレクターとしての名前を世界的に広めることとなったこの作品、以前のnoteにアップしたように、日本とは深い縁のある作品です。 85年のアキライケダギャラリーでの個展、および90年の幕張メッセでの「ファルマコン」にも出展されているんですよね。 ただ、前澤氏が落札したあとに行わ

    • 熱狂の後始末

      東京オリンピックのマスコット、ミライトワとソメイティ。大会が終わってしまえば表に出てくる機会はなく、今後出会えるとしたら現代美術の作品のなかかもしれない。そんな話を先日このnoteに書きました。 が、その数日後、現代美術とはまったく関係ない場所で出会うこととなりました。 それが、スーパーの中です。 なんとグッズが安売りされていました。 しかもハンドタオルや手ぬぐいがよりどり10枚で1000円という破格ぶり。 ちょっと可哀想になりますよね。この扱い。 まあ、もちろん廃棄

      • The Masked Singer 2

        またしてもThe Masked Singer UKの話を。 今年のSeason 3の放送が終わり優勝者が決まりました。 Natalie Imbruglia!! ナタリー・インブルーリア、久しぶりにそのお名前を目にしました。 Natalieの顔を見た瞬間、パネリストのDavina McCallが悲鳴のような叫び声を上げていましたが、調べてみたところふたりは長い間親友で、にもかかわらずDavinaは正体に気づかなくて Natalieの顔を見て本当に驚いたようです。 前回優

        • 賛否両論・毀誉褒貶 果たして・・・

          ここまで賛否がはっきり分かれるのって珍しいんじゃないかなあ、とSNSをチェックしていて感じた展覧会が、東京都現代美術館で開催されていたユージーン・スタジオ「新しい海」です。 私がTwitterでフォローしていてこの展覧会を観に行った方の感想はことごとく「否」でした。作家、アート関係者、コレクター、など立場は違えど、皆さん否定的で、なかには結構強い言葉を使う人もおられました。 私は以前金沢市21世紀美術館での展覧会「de-sport」でユージーン・スタジオの作品を拝見していて、

        Everything Flows

        マガジン

        • ファルマコンを探して
          12本
        • コレクションストーリー
          10本
        • 台湾篇2020
          10本

        記事

          知らない街の歩きかた

          実は12月、1月と、続けて広島へ行ってきました。 個人的に今いちばん注目している都市と言っても過言ではなく、展示の情報などを定期的にチェックしています。 12月と1月もあれこれ見て回ったので、今後も頻繁に広島の話題が出てくると思います。 さて。 広島は扇状地の上に形成された都市で、街なかには何本も川が流れています。 現在閉館中の広島市現代美術館のある比治山のふもとから街なかの方へ京橋川を渡ります。 川を渡った対岸に目的地はありました。 一見何の変哲もない古びたアパートとい

          知らない街の歩きかた

          マスコットはアートの世界で生きる

          北京での冬のオリンピックも終わりましたねえ。 正直なところ競技にはまったく興味が持てずほとんど見ていないのですが、気になったのは公式マスコットの「ビンドゥンドゥン」ぐらいでしょうか。取材に来ていた日本のアナウンサーが「ビンドゥンドゥン」への愛を熱く語っていたら逆輸入のように中国でも関心が高まった、というのも面白い話だなと思いつつ眺めておりました。 さて、昨年東京オリンピックも何とか終わったわけですが、そのマスコット「ミライトワ」と「ソメイティ」も、そもそも開催の是非で揺れて

          マスコットはアートの世界で生きる

          もっと作品を見ていきたかった

          東京へ行ったタイミングで、少し足を伸ばして水戸まで行ってきました。JRに揺られて、ちょっとした旅行気分を味わえました。 それにしても水戸芸術館、久しぶりに来ました。 ここに来るのはたぶん2回めのはず。前回はもうずいぶん前のことで、何を見たのかさえさっぱり覚えていないのですが。 さて、今回拝見したのは佐藤雅晴さんの個展でした。 2019年3月、癌のため45歳という若さで亡くなられた佐藤さん。今回はまさに回顧展とでも言うべき内容になっていて、これまでに拝見したことのある作品

          もっと作品を見ていきたかった

          国際芸術祭あいち2022 あと半年!②

          もう一度「国際芸術祭あいち2022」にからめたお話をしたいと思います。 参加アーティストのなかで作品を見るのを楽しみにしているひとりが、黒田大スケさんです。 昨年の京都芸術センターでの個展「未然のライシテ、どげざの目線」。京都の街なかにある公共彫刻をリサーチした作品のほか、著名な彫刻家になり切って語る映像作品からは彫刻(あるいは彫刻家)の持つ権威性や政治性が浮き彫りになっていて、彫刻のまた違った面白さを感じさせてくれました。 そんな黒田さんの個展が今年に入ってから広島で行

          国際芸術祭あいち2022 あと半年!②

          国際芸術祭あいち2022 あと半年!

          年が明けていよいよ今年開催となりました「国際芸術祭あいち2022」。 大騒動となった前回からもう3年が経つんですね。本当に早いです。 2月に入って参加作家が追加で発表になりましたね。 リストを見ていて「おっ!」と思ったのが一宮会場での塩田千春さん。 会場のひとつに「のこぎり二」が選ばれていて、ここで塩田さんの作品が見られるのが俄然楽しみになりました。 のこぎり二には昨年末、足を運びました。 というのも、同じく「国際芸術祭あいち2022」の一宮会場に参加される遠藤薫さんの

          国際芸術祭あいち2022 あと半年!

          卒展を見てきました

          北陸に雪が降るという予報のなか、金沢へ行ってきました。 事故+除雪作業で高速が渋滞していて、予定より30分遅れで金沢に到着。 雪は確かに積もっていましたが、そこまででもない感じでした。 ということで、21世紀美術館へ。 こちらで開催されていた金沢美術工芸大学の修了制作展を拝見しました。 今年は卒展は見ない、と決めていたのですが、どうしても作品を見ておきたい人がいたので足を運びました。 おそらく今年はここだけになるでしょう。 深田拓哉「昔、みたあれは何だったのだろう」

          卒展を見てきました

          The Masked Singer

          今回は珍しく?音楽の話を。 ちょっと前、今年に入ってからかな、好きなシンガーがThe Masked Singerに出ていたことを知りました。 そのシンガーの名前はNatasha Bedingfieldです。 Labrinth「Jealous」(2014年) Ariana Grande「No Tears Left To Cry」(2018年) Harry Styles「Sign Of The Times」(2017年) 特徴のある声なので分かりやすかったのではないか

          The Masked Singer

          陸前放浪記〜Reborn Art Festival篇②

          前回に引き続き「Reborn Art Festival」の後篇です。ここでは前回は会場でなかった女川エリアと、石巻市市街地エリアの2箇所の展示の様子を振り返っていきたいと思います。 女川エリア前篇の牡鹿半島の各エリアを回ったあと、そのまま女川に向かいました。 「震災遺構篇」でも取り上げた女川交番を取り囲む公園の敷地内にオノヨーコ「Wish Tree」がありました。 女川駅前には会田誠「考えない人」。 しかし、何でこの作品だったのでしょうか。 考えてみてもよく分かりませ

          陸前放浪記〜Reborn Art Festival篇②

          私は粉雪 〜2021年9月

          今となっては少し時間が経ってしまいましたが、新型コロナウィルスのワクチン2回めの接種が完了したのがこの9月のことでした。 2回めは副反応がきついという話を散々聞いて不安だったのですが、腕の痛みとちょっとした怠さぐらいで大して酷くなく、あっけないくらい無事に終わりました(ちなみに打ったのはファイザー社製のもの)。 子どもの頃に打った予防接種もまた人間が病気に打ち克ってきた歴史なんだということを改めて認識しつつ、未知の病気を人間が克服していくさまを間近で体験できるのは貴重な機会だ

          私は粉雪 〜2021年9月

          陸前放浪記〜Reborn Art Festival篇①

          8月末から緊急事態宣言が出され、その真っただなかに回ることとなった2年ぶりの「Reborn Art Festival」。ここでは牡鹿半島の各地域を巡って見た作品について書いていきたいと思います。 鮎川エリアまずは牡鹿半島の先端、鮎川にやって来ました。 2年前には港一帯が工事をしていたのですが、今回は港周辺の工事はほぼ終わっていました。道路はまだ完全には通っていなくて、途中ルートを間違えてしまいました。 鮎川は捕鯨の町ということで、港ではクジラのオブジェがお迎えしてくれました

          陸前放浪記〜Reborn Art Festival篇①

          陸前放浪記〜震災遺構篇

          2年ぶりに宮城へ行ってきました。 メインはやはりReborn Art Festivalだったのですが、休祭日に当たった行程の1日めを中心に、各地の震災遺構を見て回りました。 2年前も同じように各地の震災遺構を見て回りました。そのときに痛切に感じたのは、まだまだいろんな場所で工事が行われていて、もうすぐ10年経つところだけれど復興が進んでいるどころかまだその前段階にいる状態なんだなということです。 そのときに見た震災遺構をまとめたnoteの記事です。 あれから2年が経ちました

          陸前放浪記〜震災遺構篇

          ストレンジャーによろしく

          また懐かしい響きだなあ、と思ったんです。展覧会の告知tweetを目にしたときは。 というのも同名の展覧会を過去に名古屋で見ているんですね。調べてみたら2015年開催ということで、もう6年も前の話になります。ただ、正確には名古屋が2回めで、初回は2014年に群馬県太田市で行われたそうです。 そして3回めとなる展覧会が今年、金沢で行われることになりました。しかも、名古屋のときは市民ギャラリー矢田が会場だったのですが、今回は街なかへと飛び出して広場や使われていないビルが会場になる

          ストレンジャーによろしく