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私のイタリア生活

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日々のイタリア生活で感じたことや思うこと。
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#海外生活

再び、オレンジゾーン

再び、オレンジゾーン

この日曜日から、私が住むトスカーナ地方は、再びオレンジゾーンとなった。

イタリアでは、あいも変わらずロックダウン状態で、その規制の内容によって、レッドゾーン・オレンジゾーン・イエローゾーンと色分けされている。

初めて、ロックダウンが規制された昨年3月の半ば頃に比べれば、比較的緩い規制ではあるけれど、それでも、飲食店が夕方6時までとか、州を超えての移動が禁止だとか、一番緩いイエローゾーンですら、

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美味しいことと楽しいこと

美味しいことと楽しいこと

昨年の今頃は、まだまだ良かった。

ロックダウン続行中のイタリアでは、もうかなり長いこと、外食の可能性が奪われている。
地域によって、レッド、オレンジ、イエローゾーンと色分けされて、一番緩和されているイエローゾーンのフィレンツェですら、外食は基本夕方6時まで。
通常、夜8時以降に夕食をとる習慣があるイタリアとしては、あまり実質的ではない時間帯である。
だから、多分、ランチを楽しむことに徹するのであ

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イタリアの小さなお店で買い物をするということ

イタリアの小さなお店で買い物をするということ

「これは、生で食べても美味しいよ!」

時々買いに行く青空市で、八百屋のおっちゃんがそう言った。
今が旬のカルチョーフィは、日本のタケノコのようにアクが強く、正直いうと、生で食すより、揚げ物やオムレツに美味しいと個人的には思っている。

それでも、毎日、新鮮な野菜を扱っているおっちゃんが言うことだから、素直に聞いてみるのもいいかもしれないと、買ったうちの半分は加熱して調理をし、残りの半分を、おっち

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イタリアの年越し

イタリアの年越し

新年が明けた。

いつもとちょっと違うのは、ロックダウン中であること。
感染者を増加させないために、日祝とその前日をレッドゾーンに、それ以外の日をオレンジゾーンに指定したイタリアだけど、真面目に対処するのであれば、まあなんともややこしい。

いずれにしても、夜10時以降は、基本、外出禁止。
今年の年明けは、きっと静かなんだろうと思っていた。

どんちゃん騒ぎをするイタリアの年越しは、それはそれは、

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イタリア人とマスク

イタリア人とマスク

12月も終わりにさしかかり、久しぶりに、ミシンを奥から引っ張りだしてきて、友人のためにマスクを作っている。

世の中がコロナに翻弄され、イタリアで、外出時にマスクが義務付けられるようになったのは、いつからだったか。
そんなふうに思うくらい、今ではすっかり定着している。

イタリア人が、こんなにも従順にマスクをするなんて、1年前には想像し難い事だった。もちろん、法律で決められてしまったから、仕方なく

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自分の中の未知の世界を知る…

自分の中の未知の世界を知る…

美味しいオリーブオイルがあるから、朝からパンを焼く。
一年で、この時期にしか味わえない搾りたてオリーブオイルを味わうには、味のしないパンが一番合う。
トスカーナパンって美味しくないと思っていたのに、今ではこれが美味しく思えるのだから、郷にいれば郷に従っていくと、変わる感覚というのもあるのだと思う。

自分でパンを焼くようになって、数年が経つ。
もともと、パンもケーキも買うものだと思っていた。日本で

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捨てる神あれば拾う神ありなイタリア生活で

捨てる神あれば拾う神ありなイタリア生活で

「散々な目にあって、もうやだ、日本に帰ろう!って思うと、ビックリするくらい良い人が現れたりするのよね。それでまた、帰れなくなるのよ…」

イタリアに住みはじめた時、私よりもずいぶん長く滞在している人がそう呟いていたのを、今も時々思い出す。

皆が憧れるイタリアという国も、住んでみると、なかなか大変なことの方が多くって、私もよく、打ちのめされたりする。特に、役所などの手続きごとは、人によって言うこと

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イタリア、郵便物の旅

イタリア、郵便物の旅

その日、外出先から戻って郵便受けを開けると、珍しく、1枚の不在票が入っていた。

役所から送られてきていた書留郵便。
紙には、私の名とそれを届けようとした日時、トラッキングナンバーと送り主しか書かれていない。
早速、インターネットであたってみる。これが出来るようになっただけ、随分マシになったイタリアである。イタリアの郵便事情は、本当に悪い。
調べてみると、2回までお届けのチャンスがあり、その後、郵

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日本とイタリアでは前提が違う…という話

日本とイタリアでは前提が違う…という話

「チッ」

信号のある交差点で、「赤」なのに渡り始める私に、イタリア人のおばあちゃんが、舌打ちをした。
「えへ」と、はにかみながら、おばあちゃんを見る。

どんな風に自分の事を棚に上げたとしても、
法的にいうと、おばあちゃんは、100%、正しい。

イタリアに来たばかりの頃、信号無視して渡るイタリア人に、「ちょっと…」と、私も思ってた。
信号が「普通」に機能しているのは、日本では当たり前の事だし、

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今年もまた、この季節がやってきた…

今年もまた、この季節がやってきた…

2年前の今頃、ピティリアーノという町を訪れた。

トスカーナ州の南の、凝灰岩の上にそびえたつ、小さな町だ。オリーブオイルの試飲会がある…という事で、フィレンツェから、わざわざ、車を走らせてやってきたのだった。

会場に着いたものの、お昼時という事もあってか、殆どが、席を空けていた。お客さんが来るとか関係なく平気で居なくなるところ、なんとも田舎らしい感じがする。人の居ないブースには、試食用のパンにオ

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初対面のイタリア人との会話は…

初対面のイタリア人との会話は…

「こんにちは。YUKIです。」
初めての人と会う時、大概、こんな感じで挨拶をする。

分かりやすい名前だからか、「あなた、ニホンジン?」と聞かれる事もあるし、「どちらのご出身?」なんて聞かれる事もある。
私が日本人であることが分かると、急に笑顔になるのだけれど、その変わりように、なんだか嬉しいような、くすぐったいような、こそばゆい気持ちになったりする。
それだけ、イタリア人にとっては、「日本人」に

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簡単に謝らない人たちの「ありがとう」という言葉

簡単に謝らない人たちの「ありがとう」という言葉

「同僚に無視されてね、ついつい嫌な顔をしてしまったんだけど、大人げないなぁと反省してしまったよ。」

そう語る友人に、ついつい謝ってしまう、日本人の心を思う。
嫌な思いをしているのは、友人の方なのに、なんだか切ない。

思えば、私も謝ってばかりいた。

イタリア人ていうのは、本当に、簡単には謝らない人たちで、絶対、そっちが間違っている…って事でも、その間違いすら正当化して主張してくる。こっちが、拙

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