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イタリア人とマスク

12月も終わりにさしかかり、久しぶりに、ミシンを奥から引っ張りだしてきて、友人のためにマスクを作っている。

世の中がコロナに翻弄され、イタリアで、外出時にマスクが義務付けられるようになったのは、いつからだったか。
そんなふうに思うくらい、今ではすっかり定着している。

イタリア人が、こんなにも従順にマスクをするなんて、1年前には想像し難い事だった。もちろん、法律で決められてしまったから、仕方なく、着けている人もいるかと思う。私もそのひとりだし。マスク無しで道を歩いていて、罰金を受けたという人も少なくはない。
その当時は、毎日のようにニュースでマスクが話題になっていた。

「黒がいい。黒はお洒落に見せてくれるからね。コレで作って。お願い。」

そう言って、友人が新品の黒いTシャツを私に持たせてくれたのは、フィレンツェが2回目のロックダウンに入る直前だった。

「次に会う時には、コロナも収束してたりしてね。」

そんな冗談を言って笑い合ったけど、本当は、ちょっとだけ希望も込めていた。正直、こんなの長引いてほしくはない。
あいにく、第2波とも第3波とも言われる波に、イタリアは、相変わらずのまれている。

そんな日の帰り道、すれ違うイタリア人たちを観察してみた。
市販のマスクをしている人たちも多いけど、確かに黒いマスクもいる。
いろんなマスクがあって、なんだか、オシャレ。
着ている洋服や小物にあわせてコーディネートしているシニョーラもいる。
イタリア人の遊び心を感じる。

いかにして楽しむのかを知っている人たち。

イタリア人のマスク定着は、そういうところから来るのかもしれないなぁ…と思いつつ、仕上がったマスクを見ながら思った。

気に入ってくれるといいけれど、
どうか、あまり、活躍しませんように… と。


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