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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#ペンギン

山ペンギン 19

山ペンギン 19

健診の季節が来た。

オレはバイトのつもりだが、結構勤務の頻度が高いせいか、健診受けるように言われた。

イマドは入職者健診だが、非常に不安だ…

「イマドさまー腹囲測定しますー」

どうみてもメタボだろ…

「75cmですね!」

羽毛のせいか!デカく見えるのは。

て言うか、看護師さん、絞り過ぎじゃないか…

測るとき…

「視力測定しますねー」

「下からお願いします。」とイマド。
視力に自

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山ペンギン 16 ブレスレット

山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り

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山ペンギン 13 こんびに再

山ペンギン 13 こんびに再

売れない商品はやっばりできる。

厳選して陳列しているのがコンビニストアではあるのだが。

最近はそういう商品を買い込んで、

オレの部屋に主任が飲みに来ることが多くなった。

イマド目当てなのか、オレ目当てなのか、不良在庫の処理目当てなのかは分からないが、

居酒屋などに行けないことも一つの理由だろう。

「オレくん、これ飲みなさい!!」

もう出来上がっている。

「大体さーー。コンビニなんて

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山ペンギン 14 俳句

山ペンギン 14 俳句

最近、イマドが市民講座に通うようになった。

俳句を知りたいのだそうだ。

オレの趣味はバイクだが、関係ない。

「季語って何?」

お前、習いに行ってるんじゃないのか?

「季節を表す言葉だよ。」

「季節って何?」

・・・そこからか・・。

主任が答える。

「春夏秋冬のことよ。」

「どうやって分けてるの?」とイマド。

・・・・・。

確かにどこからどこまでが、どの季語を使うなんて、詳し

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山ペンギン8 いいまつがい

山ペンギン8 いいまつがい

本社からコンビニの経営者がたずねてくるらしい。

主任が

「オレ君、頼みがあるんだけど。」

「はい。なんでしょうか。」

「本社からえらいさんが来るのよね。」

「はい。聞いてます。」

「セックスの練習したいんだけど」

「なんつぜよ!!!!」

思わず自分の故郷の言葉が出た。

「あ、間違えた。接待の練習したいんだけど。」

この人の脳内の予備変換機能はどうなってるんだ。

だいたいコンビ

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山ペンギン 7 池の女神

山ペンギン 7 池の女神

突然だが、オレは主任とイマドと共に山のぼりをしている。

「オレ君って、山のぼりするの結構得意なの?」

得意というわけではなかったが、主任とでかけたいオレは一もニもなく飛びついた。

「はい!山のことなら任せてください!」

何を言ってるのか自分でもわからない。

「そう。あのね、私ね?」

「はい、どうしました。」

「海より山の方が好きなの。」

それだけの理由かい、と思ったが、口には出さな

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山ペンギン 3 蜃気楼

山ペンギン 3 蜃気楼

蜃気楼が出た。

いきなりですまないが、出たものは出た。

険しい山の、そのてっぺんに家が建っている。

イマドが俺に「あれは何か」とたずねるが、オレにもわからない。

「てっぺんにあるのは家じゃねえか?」というと

そんなことわかってるわ・・・と言いたげな目でこちらを見ていらっとする。

「はまぐりが見せる幻らしいぞ。」と少し利口ぶったことを言ってやると

お約束通り海に走った。

しばらく静か

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山ペンギン 2 ひろいものの蚕

山ペンギン 2 ひろいものの蚕

イマドが蚕を拾ってきた。

某まじないを知っているオレは問い詰めたが、財宝は近くになかったようだ。

飼うと言って聞かない。

「クワが無いと飼えねえぞ」

と言ったら、お約束通り鍬を5本買って帰ってきたので、そのうちの1本でぶん殴って、後の4本を返品に行かせた。

最近イマドは腹を使ったホバークラフト状の移動で体育館などの掃除を請け負い、小銭を稼いでいる。

家にはなぜか「3780円」を毎月入れ

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