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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#ギャグ

山ペンギン 22 コタツにて

「コタツの季節よねー」

今、オレは冷ストッカーにビールやジュースの補充をしている。

「そうですね。暖かいものが恋しいですね。」

「コタツって何?」

そう言えば、イマドが来てからコタツを使ったことがないな。
普段使っているテーブルが本当はコタツなのだが。

「コタツっていうのはな、オオタツの子供なんだ。」

補充で忙しいオレが適当に答える。

ばかじゃないの・・という目でイマドがオレを見てく

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山ペンギン 21 探し物

山ペンギン 21 探し物

イマドが部屋をひっくり返している。

何かを探しているのだろう。

「何探してるんだ?」

どうも、大正琴の部品のようだ。
忘れられているとは思うのだが、やつは大正琴でヴィヴァルディを弾く。

「ピックが無くて・・・・」

いや、お前のツメの方がするどいだろう。

「ピックで弾かないと音が違うから。」

「オレのギターのピックじゃだめなのか?」

何を言ってるんだ・・・と言う目で見てくる・・。

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山ペンギン 19

山ペンギン 19

健診の季節が来た。

オレはバイトのつもりだが、結構勤務の頻度が高いせいか、健診受けるように言われた。

イマドは入職者健診だが、非常に不安だ…

「イマドさまー腹囲測定しますー」

どうみてもメタボだろ…

「75cmですね!」

羽毛のせいか!デカく見えるのは。

て言うか、看護師さん、絞り過ぎじゃないか…

測るとき…

「視力測定しますねー」

「下からお願いします。」とイマド。
視力に自

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山ペンギン 16 ブレスレット

山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り

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山ペンギン 15 あるばいと

山ペンギン 15 あるばいと

イマドの仕事先の体育館が建て直しで、奴は仕事にあぶれている。

清掃の仕事と言っても奴のホバークラフト流清掃を必要とするのは広い体育館くらいだろう。

「オレ君、イマド君しばらくここで働いてもらえないかなあ。」

主任が無茶ぶりしてきた。

イマドに確認したら、時給関係なく働くと言う。

オレも大概のことには慣れてきたが、さすがにコンビニのような客の多い店で働くのはどうなんだ・・。

「まずはお試

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山ペンギン 13 こんびに再

山ペンギン 13 こんびに再

売れない商品はやっばりできる。

厳選して陳列しているのがコンビニストアではあるのだが。

最近はそういう商品を買い込んで、

オレの部屋に主任が飲みに来ることが多くなった。

イマド目当てなのか、オレ目当てなのか、不良在庫の処理目当てなのかは分からないが、

居酒屋などに行けないことも一つの理由だろう。

「オレくん、これ飲みなさい!!」

もう出来上がっている。

「大体さーー。コンビニなんて

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山ペンギン 14 俳句

山ペンギン 14 俳句

最近、イマドが市民講座に通うようになった。

俳句を知りたいのだそうだ。

オレの趣味はバイクだが、関係ない。

「季語って何?」

お前、習いに行ってるんじゃないのか?

「季節を表す言葉だよ。」

「季節って何?」

・・・そこからか・・。

主任が答える。

「春夏秋冬のことよ。」

「どうやって分けてるの?」とイマド。

・・・・・。

確かにどこからどこまでが、どの季語を使うなんて、詳し

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山ペンギン 12 しりあす

山ペンギン 12 しりあす

イマドが悩んでいる。

見た目には分かりにくいが、よく見ると額にしわが寄っている。

何考えてんだ?

どうでもいいので放置している。

買ってきた魚

普段なら3匹くらいするっと呑み込むのだが、

めずらしく、さばいて刺し身にし、

さらにはオレにも食えと言う。

さすがに心配になり、

何を悩んでるんだ?

と聞いてみたら

シリアスな顔で

尻とas○は同じ意味だよね?と言いやがったので、

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山ペンギン 11 ふるさと

山ペンギン 11 ふるさと

イマドとイマドに出逢った山に来た。

捨てに来たわけじゃない。

主任も今回同行している。

「イマドくんのふるさとって、本当はどこなのかしらねー。」

イマドはふるさとの意味が今ひとつピンと来ないようだ。

「生まれた場所って言われても、生まれたときの記憶なんてないでしょう?」

そりゃそうだな。

でも、お前にも親ってものがいるんじゃないのか…?

ただトリだからな…

卵で移動してきてたら分

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山ペンギン 9 すりやけど

山ペンギン 9 すりやけど

イマドの腹に火傷を負った。

前日、どうしても山女か岩魚が喰いたいと言い出し、腹が立ったので

イマドの腹の毛を多めにむしったあと、毛バリにした。

その後奴がアルバイトに出掛け、ホバークラフト掃除をした結果、

羽毛が薄くなっていた腹に火傷を負って帰ってきた。

痛そうかというとそうでもない。ただ、「見苦しい」感じがする。

そもそもいつぞや感電して全身が焼けたときだって本人(鳥)は平気だった。

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山ペンギン8 いいまつがい

山ペンギン8 いいまつがい

本社からコンビニの経営者がたずねてくるらしい。

主任が

「オレ君、頼みがあるんだけど。」

「はい。なんでしょうか。」

「本社からえらいさんが来るのよね。」

「はい。聞いてます。」

「セックスの練習したいんだけど」

「なんつぜよ!!!!」

思わず自分の故郷の言葉が出た。

「あ、間違えた。接待の練習したいんだけど。」

この人の脳内の予備変換機能はどうなってるんだ。

だいたいコンビ

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山ペンギン 7 池の女神

山ペンギン 7 池の女神

突然だが、オレは主任とイマドと共に山のぼりをしている。

「オレ君って、山のぼりするの結構得意なの?」

得意というわけではなかったが、主任とでかけたいオレは一もニもなく飛びついた。

「はい!山のことなら任せてください!」

何を言ってるのか自分でもわからない。

「そう。あのね、私ね?」

「はい、どうしました。」

「海より山の方が好きなの。」

それだけの理由かい、と思ったが、口には出さな

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山ペンギン 6 傘がない日の雨

主任とオレは同じ時間に退勤になった。

大した距離じゃないが、同方向だ。
「オレ君、今日もありがとう。」

オレのセリフだ。

「あ・・。」

雨が降ってきた。天気予報ではせいぜい曇りだったんだが・・。

傘がない。

「オレ君、折りたたみ傘なんで、濡れちゃうかもしれないけど、入ってく?」

え・・相合傘・・

「あ、じゃあ、オレ、傘持ちま・・」

イマドがこっちに近づいている。

ただ近づいてく

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山ペンギン 5 こんびににて

山ペンギン 5 こんびににて

オレはコンビニで働いている。

他にも仕事はあるが、コンビニでいる時間が一番長いかな。

ここは複数店を束ねる「店長」がいるのだが他の店舗にいるために、
代理としての「主任」がいる。
その人は女性だ。

オレより2つ上。

実はちょっとこの人が気になっている。
それもこの店で長く働いている理由だ。

「オレ君。今日は塩焼き鳥を推しにしようと思うのね。」

「塩焼き鳥っすね・・。」

推しの日はあの

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