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心と体の性別が違う僕が辿り着いた答え。

僕はLGBTQのTであるトランスジェンダー。女から男に性別を変えて生きている。FTM 鈴木優希。1980年生まれ。

大きな障害

物心ついてからずっと身体は女、心は男である違和感と共に生きてきた。
自分に起きていることは何なのかわからない幼少期から、思春期に性同一性障害という言葉と出会い、自分と同じような人が居ることに希望を持ちながらも、まわりの友達と違うこと。
将来への不安から自分自身から目を背けた時もある。
消えてしまいたいと思ったこともある。

ただ自分自身から逃げられるわけもなく、悩みもがきながら、なんとか現実と向き合い、自分に起きている性同一性障害という状態を受け止めた。
その後、23歳で勇気を振り絞って両親にカミングアウト。それからは親にも協力してもらって国内でガイドラインに沿った治療を始めた。

戸籍変更、名前変更

大阪医科大学付属病院のGID科に通院。精神科、産婦人科での子宮卵巣摘出手術、ホルモン投与、美容外科での胸を取る手術を経て戸籍を心の性別である「男」に変更して今に至る。

名前も名古屋家庭裁判所に申し立てて「英理子」から「優希」に変えた。

長い年月をかけて女の要素は、全て消したと思っていたが、

戸籍を変えても名前を変えてもどうにもならないこと。
それは「元女」であることだった。

性同一性障害の治療のゴールは戸籍を変えることだと思っていたし、戸籍が男になれば結婚もできる、パスポート、日々の生活でも不便はない。そう信じていた。

でも実際は、性別を超えた「トランスジェンダー」であり、女の要素は取り除いても、男の要素を持ち合わせていない。生殖機能もセックスも生まれつきの男とは同じになることはない。

そんな当たり前のことも見えないくらいに、目の前にそびえたつ「性別違和」という大きな壁に翻弄されていた。

今は外見だけで言えば男に見られるようになり、いわゆるパス度は高くなり生活していく上で心と体の違和感に悩む事はなくなった。

そして今42歳の自分が辿り着いたことは、

どうにもならないことがあるということ。

努力してもお金を積んでも、戸籍を変えても本当の男にはなれなかった。
それが僕の答えだけど、それと同時にわかったのが
それが「鈴木優希」自分自身なのだということ。

今の時代はLGBTQと言う言葉がある。性同一性障害という呼び方にも否定的で「性別違和」と統一しましょうなんて動きもあるほどに、擁護されているが、実際には偏見の目を感じたり、理解はあるけど「自分の子供だったら...」という意見などまだまだ全て受け入れ態勢オッケーではないだろう。

僕が今悩んでいる当事者に伝えたい事


それは、あきらめること。期待をしないこと。

クールに聞こえるかもしれないが、この世にはどうにもならないことがある。僕は元女がどうしたら男になれるか、その時代に出来る全てをやってみた。

でもなれなかった。

自分の出来ることをする事は大事な過程でありその中に学びが沢山ある。それで十分だ。
ゴールは自分で決めたらいい。
僕が幸せなら、僕を生んでくれた母も幸せだろう。
僕が笑っていれば僕の事を愛してくれている人も笑顔になってくれる。

人生はとても貴重で有限な時間であるからこそ、どうにも変えられないことで悩んでいる時間がもったいない。男でも女でも、LGBTQでも関係なく遊びも仕事も出来ることがいっぱいある。

無いものねだりをして手に入れられるならば、気が済むまでにしたらいいが、そうでないなら今あるモノに目を向けてみよう。
意外と自分が多くの物をもっていることに気が付く。


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