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よすけの短編小説まとめ

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書いた小説を投稿した順にまとめています。短いのから長いの。暗いものから明るいものまで。ほっと一息つけるように。
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#仕事

【短編小説】明日休みの散歩道

820文字/目安1分

 あぁ、疲れた。

 久しぶりだ。こんなに遅くまで会社に残って仕事をしたのは。時計の長針が一周と少しまわれば日付が変わる。終わりそうな気配は全然しなかったけど、どうにかやり切ることができた。
 そろそろ会社から残業時間を注意されそうだけど、来週に仕事を残さなかっただけ自分をえらいとしようか。

 会社を出ると、コートをすり抜けるように冷たい空気が身体を包む。それがなんとなく

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【短編小説】ここにいる、ここにいて

【短編小説】ここにいる、ここにいて

1,807文字/目安3分

 仕事から帰って、晩ごはんの支度を始めようとしたら、彼が突然帰ってきた。
「ただいま」
 そう言っていつもやっているかのように、傘を置いて、上着を脱いで、部屋へ着替えに行った。
「あ、おかえり」
 遅れてその後ろ姿に声をかけたけど、間抜けな声しか出てこなかった。
 平静を装って、料理の準備に戻る。今日は二人分作らなくちゃ。

 彼が部屋から出てきて、わたしの隣に立つ。ふ

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【短編小説】残業

【短編小説】残業

810文字/目安1分

 働いた働いた。
 今日も一日働いた。

 月曜日から金曜日まで、使われるように、むしろ使われにいくように働いた。
 自分の会社は別段ブラックというわけではない。残業せずに帰る人もいるし、自分より遅く残る人もいる。

 仕事は忙しい。どんどん増えて、溜まっていく。一つ終われば二つ降ってくる。

 世の中は動く。会社も動く。それに合わせて仕事が生まれていくのは当たり前。文句を

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【短編小説】ただいま

【短編小説】ただいま

458文字/目安1分

 今日も一日働いた。

 業務がかなり立て込んだ。クレームが起こってしまった。後輩の尻拭いをした。非を認めないあいつ。いろいろなことが重なった。それでも期日は迫ってくる。
 休日の仕事も覚悟しないとかなと思いながら、それでもなんとかする方法を考える。

 とにかく、疲れた。

 心は体にも影響する。動き回る仕事じゃないのに、体が重くなる。ため息が増える。
 だからといって辞

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