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キモさと不快の極み「ダークギャザリング」

今回は、ホラーアニメ「ダークギャザリング」について書こうと思う。
正直いって、この作品はさほど人気あるわけじゃないだろう。
初回だけ見て、1話切りした人も多かったんじゃないかと。
その気持ち、分からんでもない。
なんせ、登場人物がキモイから。
メインヒロインからして、こんな感じである。

メインヒロイン・夜宵

この子はひとつの目に瞳孔がふたつあり、この世とあの世を両方見られるという設定。
お陰で、目がドクロという実にイロモノっぽいキャラデザに仕上がっている。
原作漫画がそういうのだからしようがないんだけど、このキャラデザは確実に損してると思うよ。
まあ、慣れてくると一応可愛くは見えるんだけど。
そしてヒロインの相棒となる男性主人公は、典型的ヘタレキャラである。
彼の霊に対するビビり方が、いちいちウザくて実に不快。

常にビビってる弱い主人公・螢太朗

そして、この主人公の恋人役が二面性あるキャラ設定になっており、これがまた気持ち悪い女なんだわ。

どこか精神的におかしい恋人役・詠子

以上3名がこの作品のメインなんだが、3人ともがみんなキモくて感情移入を普通にできないんだよね。
キモいのが大好きという嗜好の人ならこういうのもストライクなんだろうが、おそらく一般的にはウケないだろう。
というか、一般的な層は最初からターゲットとして眼中にない感じ。
私はオカルトも嫌いな方じゃないので、まぁ何とか見られてるけどね。

ストーリーは心霊版ポケモンといった趣向で、上記の3名が心霊スポットを巡って悪霊を捕獲していく感じ。
というと悪霊退治という世の為の善行に聞こえるかもしれんが、真実は善行じゃなく、捕獲した悪霊を夜宵が調教し、それを使役することが目的なんだよ。
つまり、悪霊を使い魔にするんだね。
ただ、一般的なファンタジーにおける使い魔とはワケが違う。
ファンタジーなら儀式とかで使い魔契約をするところだけど、なんせ本作の相手は話の通じない猛獣のような霊。
だから夜宵は捕獲した霊を拷問して屈服させ、命乞いさせた上で隷従させるという冷酷な調教手段を使っている。
当然、ファンタジーみたいな使い魔の忠誠心やら絆やらを期待できるわけもなく、ただその破壊衝動を爆弾のようにして利用するまでのこと。
隷従してる霊は隙あらば夜宵を殺そうと思ってるはずで、そんな使い魔、私なら絶対手元に置きたくないね。

夜宵が使役する霊はこんなのばっかり

また、この作品は霊のみならず、「神様」も出てくる。
ただし神といっても、こんな感じである。

神様

悪霊と神の違いがよく分からない・・。
もしこの作品が海外配信されてたとして、欧米のキリスト教徒がこれを見たら「神はこんな邪悪な存在じゃない!」と怒るかも。
そう、これは日本独特の神の概念である。
日本の神の多くは神社に祀られてるものだが、そもそも神社というのは一種の結界であり、神の禍々しい呪力を封じてるという解釈でいいだろう。
欧米では神を聖なるものと捉えているが、日本のそれはむしろその逆。
事実、最高神のアマテラスですら祟り神と畏れられてきたんだからね。
状況次第では、人に害をなす存在である。
夜宵は、神霊とも闘う予定。
神と闘うなど罰当たりな話だが、彼女は自分の犯している罪をきちんと自覚してる様子。
そこまでして霊の捕獲をする彼女の目的は、自分の亡き母の霊を取り込んだ巨大な悪霊・空亡を倒し、母を解放することだという。
その目的達成の為には強力な使役霊を大量に揃えねばならない、ということらしい。

ちなみに、このアニメに出てくる心霊スポットは実在のものがモデルになってるそうだ。
ただでさえアニメファンは聖地巡礼が好きだというのに、こういうの聞いて行っちゃう輩は絶対いるよね。
まあ、作中のように死んだりすることはないと思うけどさ。

第1話のスポット
第11話のスポット
第14~15話のスポット

一方でキャラの方に目を向けるなら、やはりこの作品で個人的にツボなのは詠子である。
ノーマル時とアブノーマル時のギャップがエグいから。

ノーマル時
アブノーマル時

ただ誤解してほしくないんだが、彼女はただ人格が異常なだけで特に邪悪な人ではないんだよ。
そしてこういうキモい女の役を、あの花澤香菜がやってるというのがいいじゃないか。
というか、近年の花澤さんは変な役をやることが多くなってる気がする。
昔は、純情可憐なヒロイン役ばっかりやってたのにね。
人気が落ちたから脇役に回った、ということではないだろう。
実際、今でも人気投票したら、花澤さんは確実に上位に入ってるし。
これは本人の意思じゃないかな。
カワイイだけでいたくない、もっと演技の幅を広げたい、ってね。
で、最近の彼女は悪役を多くこなすようになってきて、彼女独特の粘着性の気持ち悪い声を出すようになったと思う。
詠子のキモさは、花澤さんに合ってるかもしれん。

「ダークギャザリング」の原作は、ジャンプSQ掲載だという。
SQとはいえジャンプゆえ、ジャンプ三原則は適用されるんだろうか。
いや、どうかな。
倒した敵が味方になるベジータ方式は「ダークギャザリング」にも適用されてはいるものの、ここでのやり方は拷問で苦痛を与えて強引に隷属させてるわけで、ベジータとは全然違うよね。
あと、蠱毒といって悪霊同士を共食いさせて最後に生き残ったのをチョイスするとか、いちいち夜宵のやり方は残虐なんだよ。
これじゃジャンプ本体には掲載できんわな。
ここでの悪霊は「呪術廻戦」の呪霊に近いが、「ダークギャザリング」ではそれを祓うことなく利用してるという点で、五条悟陣営ではなく夏油傑陣営に近いってことよ。
少なくとも、夜宵は正義じゃないよね。
彼女の行為はこの世の因果律を歪めてるともいえるし、全てが解決した後、彼女が何事もなかったかのように真っ当な人生を歩む、というオチはどこかおさまりが悪い気がする。
SQとはいえ、ジャンプだし。
おそらく、彼女は何らかの代償を払うことになるだろう。
母を救う為なら、何をやっても許されるというもんじゃないから。
おそらく最後はバッドエンドとはいわんまでも、ビターエンドだろうね。


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