Yodd

洋書を読んで感じたことなどを書きます はてなブログからの引っ越しです 家庭菜園が趣味です

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二酸化炭素、大好き

初夏のトマトやゴーヤを見ていると不思議に思うことがあります。日毎に大きく成長している植物の体の元はいったいどこからやってくるのだろうということです。理科の知識としては、植物は空気中の二酸化炭素と根から吸い上げた水を使って光合成を行い体を大きくしていきます。植物の体を作る炭素は空気中にほんのわずかしか含まれていない二酸化炭素によるものです(植物がもっと高分子の有機物を吸収できるという議論があり徐々に証拠も積み上がってきているようですが、量としては二酸化炭素による炭素量の方が圧倒

    • 遺伝子組み換え作物の危険性とゴールデンライス

      バイオテクノロジーの進歩は目覚ましく、創薬など様々な分野で活用されていますが、こと食べ物に関しては人々は保守的で、遺伝子組み換え作物が一般に認知されるのには、まだまだかかりそうです。 遺伝子組み換え作物に反対する側の論理は 人間が摂取した時の安全性が確認されていない 交雑などを通じて自然界に広まり、自然環境を変えてしまう可能性がある 技術を独占的に持つ大企業が市場を支配してしまう といったものです。例としてよく取り上げられるのが除草剤のラウンドアップに耐性を持つ大豆

      • 世界の人口推移

        世界の人口の増加は人口爆発とも表現され、多くの物語でも取り上げられてきました。 「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の悪役サノスは人口増加の結果、人々が残された資源を争うようになったことを憂い、インフィニティ・ストーンを全て揃えたインフィニティ・ガントレットによって全多元宇宙の人口を半分にしてしまいます。 もっと古い「ソイレント・グリーン」(1973)では人口増の結果、食料が足りなくなったので、人間の死体を食料として加工する世界を描きます。この物語の舞台は2022年

        • 「失われた30年(20年)」の失われた意味

          (この投稿は、どこかで読みかじった今や記憶もあいまいな記事を元にしています。あまり内容に自信がないので、特に年配の方の異論をお待ちしております) 昨今、「失われた30年」(ひと昔前は20年でした)という言葉はバブル経済以降、日本の経済成長が停滞しているという意味で用いられているようです。しかし、この言葉と共に持ち出される、例えば日本のGDPの推移を示したグラフを見るにつけ、「失われた~年」という言葉の持つ意味は単なる経済の停滞を示すものだったろうかと自問してしまうのです。

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        二酸化炭素、大好き

          自然農法の収量はなぜ慣行農法に比べて劣るのか

          野に咲く花は人間が肥料を与えなくても育ちます。それはまるっきり肥料分なしで植物が育つという意味ではなく、植物は人に頼らずとも肥料分を集める方法を持っているという意味です。 雨水はわずかな肥料分をもたらしますし、落ち葉などの有機物は微生物によって分解され、植物によって利用されます。何より大きいのは植物は他の生物(特に菌類)と協力して自らの生長に必要な成分を集めることが出来ることです。 この菌類との協力には植物にとって単に肥料分を集める手助けになるだけでなく、他にもメリットが

          自然農法の収量はなぜ慣行農法に比べて劣るのか

          農地の窒素循環と農法

          窒素は生き物にとって最も重要な栄養素のうちの一つです。アミノ酸や核酸の構成要素の一つであり、作物の生産に欠かせません。 地球全体で言えば、窒素は全量の78%程度が不活性な窒素ガスの形で存在しており、これはこのままではほとんどの生物にとって利用できません。窒素ガスは窒素を固定する作用を持つ細菌や雷など自然の作用、肥料合成やエンジン内の燃焼など様々な形でアンモニアや酸化した窒素に変わり、生物に利用され、一部は再び細菌の作用により窒素ガスに戻っていきます。 農地では作物の収穫と

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          海鳥は海洋プラスチックを上手に利用する

          レジ袋の有料化に関する議論で海洋プラスチック(陸上で使った後に海へ流れ出したり、漁で使って廃棄されたプラスチック製品のごみ)の削減が理由として挙げられていたことを覚えています。なぜ陸でレジ袋を使うことが即座に海洋プラスチックに繋がるのか釈然としない思いでした。使用済みのレジ袋をきちんとゴミ箱に捨てるようにするだけのことをレジ袋の有料化にまで持って行ったのですから大した剛腕です。 それはともかく、海洋プラスチックが問題であるという認識には異論は持っておりませんでした。ですが、

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          広島ジーンバンク廃止を擁護する

          とある記事で広島ジーンバンクという事業が廃止されることを知りました。 検索すると広島ジーンバンクを守る会も結成され、継続を求めるオンライン署名なども行われたそうで、検索結果画面は廃止反対一色になりました。 ジーンバンクは生物多様性や農業分野などで有用な生物の遺伝子資源を保存するための施設とのことです。実際の運営はジーンバンクが種子を保管し、希望する農家に貸し出し、借りた農家は翌年、栽培の結果の報告に加えて配布を受けた種子と同量以上の種子を返却することで種の更新を図る仕組み

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          生ごみと発芽テスト

          有機物マルチを使用する不耕起栽培では作物の残渣も畑に残します。トマトやゴーヤ、ブロッコリーを片付ける時の枝葉は勿論、大根葉の食べられないところも畑に撒き散らかしたままです。一時的に畑はかなりみっともなくなります。そして私は散乱した枝葉を見て思うわけです。 これって生ごみとどこが違うの? 世間的には生ごみは堆肥にして畑にまくのがよろしいとされています。理由は何でしょうね。よく判りません。結構熱心に探してみたのですがどの情報サイトもいきなり生ごみを堆肥にする方法から入っていて

          生ごみと発芽テスト

          輪作なんてしたくない(連作障害について)

          私が家庭菜園を始めて以来、折に触れて悩まされてきた言葉が連作障害です(次点がフカフカの土)。 畑の同じ場所に同じ種類の野菜を続けて植えると生育が悪くなるとされており、これを連作障害と呼びます。 その理由として挙げられているのが以下の3つです。 土壌中の成分(肥料)バランスが崩れること 植物に特定的な病害虫が蓄積、集中すること 植物自身が分泌する物質による自家中毒 この連作障害を予防するための対策として以下の3つが挙げられています。 同じ科の作物を続けて植えるのを

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          失敗しない不耕起栽培の始め方

          (表題は「失敗しない」とありますが、家庭菜園ではどんなにうまくいかなくても「失敗」ではないですね。上手に出来ても出来なくても作物を育てることは楽しいです。しかし、noteでは表題をキャッチーにしないとなかなか読んでもらえないのであえて「失敗しない」という言葉を付けてみました。) 土壌生態学的観点による不耕起栽培の実践編です (メリットやデメリットについては別稿)。 用意するもの スコップ 堆肥、腐葉土、枯れ草、落ち葉その他大量の植物性有機物 有機質肥料、化学肥料(8

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          温暖化懐疑論者の現在

          「地球温暖化を緩和、防止するために二酸化炭素の排出を削減することが必要である」 この言葉はまるで自明であるかのように喧伝されていますが、「地球温暖化」から「二酸化炭素の削減が必要である」とするには実に長い論理を必要とします。 地球が温暖化している 温暖化の主要因は大気中の二酸化炭素濃度増加である 二酸化炭素濃度増加の原因は人類の排出量の増加が主要因である 地球の温暖化は利点と欠点を比べて欠点の方が大きいので温暖化は防止すべきである 二酸化炭素の排出量削減は利点と欠点

          温暖化懐疑論者の現在

          安心安全、農薬と自然農薬

          有機栽培や自然栽培で作った安心安全な野菜という宣伝文句をよく目にします。少なくとも日本で流通している野菜は全て安心安全な筈なのですが、あえて有機栽培や自然栽培と銘打つことで、それら以外で作られた野菜、つまり慣行農法の野菜に対して当て擦っているところがなかなかに攻撃的だと感じます。 有機栽培や自然栽培で作った野菜がより安全だという根拠の一つが農薬を原則使っていないということにあります(有機栽培は一部使える農薬があります)。農薬の安全性については徹底的に研究が行われてはいますし

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          種、育苗、植物育成ライト

          二月に入り、春夏野菜の育苗シーズンの到来です。 四月になればホームセンターの園芸コーナーには大量の苗が並び、あれも良い、これも素敵と欲望を掻き立ててくれます。お値段もリーズナブルで申し分ないのですが、新しい品種や外国の野菜などを育ててみたい時は種でないと入手できないとか、特にトマトは収穫時期を長く取りたいため出来るだけ大苗を育てたいなどの理由で毎年育苗することになります。 今年のトマトは定番のフルティカと、初の海外通販で取り寄せたブランデーマスターという品種でいきます。エ

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          土作り=土壊し?

          野菜を育てるにはまず土作りが重要とはよく言われることです。ウェブの情報に限らず園芸のムック本も一冊丸ごと土作りを扱った本が大量に出版されており、微生物が住みやすいふかふかの土が最適なので、そのためには堆肥や石灰を始めとする様々な資材を土に漉き込みましょうなどと書いてあります。 ですが、この微生物の豊富なふかふかの土という表現には矛盾があります。微生物が豊富だと土はふかふかにならないからです。 土に住むバクテリアは分泌物を出して泥や砂のごく小さな粒を固めていきます。実際、土

          土作り=土壊し?

          土壌生態学的観点による不耕起栽培

          土壌中の生物相が豊かであると植物の生育に様々な利点があります(後述します)。土壌中の生物相を豊かにするためには、土壌に有機物を供給することと土壌に余計な擾乱を与えないことの2点が必要です。端的に言えば、餌を与え、住処を守ることで繁栄を促します。 方法論はすでに確立されていると言ってもよく 土の表面を作物残渣や刈草、稲わらなど有機物で覆う(有機物マルチ)か、植物が常に繁茂する状態にしておく なるべく踏まない、掘らない、耕さない の2点だけです。 (1の有機物マルチと植

          土壌生態学的観点による不耕起栽培