見出し画像

ちまきづくり覚え書き

このみやさんで ちまきづくり

令和5年6月24日(土)
滋賀県多賀町敏満寺 胡宮神社(このみやじんじゃ)社務所で、
ちまきづくりのワークショップを開催しました。

素敵なところです

ちまきづくりは例年、山の集落、多賀町桃原(もばら)でしていましたが、今回初の胡宮神社での開催です。建物外観の写真を撮っていなくて、写真は昨年5月「よびしの道具展」をした時の写真です。胡宮神社社務所の庭園は昭和初期に国指定となっています。数年前に建物が修復されました。秋の紅葉名所ですが、青紅葉も美しく気持ちのいい空間です。

滋賀県多賀町敏満寺 胡宮神社社務所 国指定名勝庭園
よし葺き屋根です。
観音堂から見た紅葉の庭園。11月末が見頃です。

植物観察に行きます

「郷土料理は、身近な植物で出来ている」というのを体感してもらいたく、クマザサが生育しているところを見ていただきます。
多賀植物観察の会の方にレクチャーをお願いして、周辺で見られる植物観察に30分ほど出かけます。

紅葉のタネで落下傘、くるくる回ります
色んな笹の種類があります
クマザサ見つかったかな??

その間に社務所内では、おくどさんに火をおこして、ツゲ(菅)を茹で、クマザサをきれいに拭きます。紅鉢(べにばち 団子こね鉢)にお湯をくぐらせておくなど、スタッフで準備します。
今回参加スタッフは11名。

おくどさんの準備

おくどさんに薪をくべて着火。魚保さんのかまどさばきは素晴らしいです。

お手製 火吹き竹
煙突から煙が抜けます。本当はこの2倍の長さの煙突の方が火力が上がり良いとのことです。
しかし、冬に雪が屋根から流れ落ちて、毎回煙突の先端が雪の中に行方不明になってしまいます。

ツゲ(菅スゲ)を茹でる

刈ってきて1週間陰干ししたツゲをかまどで約20分茹でます。茹でると紐の強度が強くなるそうです。チマキを結ぶ紐はスゲの他、イグサや棕櫚(シュロ)の葉を使ったそうです。

約20分茹でます
軒下に干して水を切ります

クマザサの準備

葉を水に浸けていたクマザサは、生き生きときれいな状態が保てました。
水からあげたクマザサをキッチンペーパーで拭きます。

団子を刺すハシ(串)を折ります。串のことを「ハシ」といっています。「笹を折りに行く」とおっしゃっていましたが、ポキンと音を立ててきれいに折れる場所があります。約25㎝ほどの長さにそろえて、笹の皮を取ってきれいにします。

濡れているクマザサを拭きます
枝を折ってハシ(串)の部分をとります。
団子に刺すハシ(串)。茶色い皮は取り除きます。

ちまきづくり

米粉をこねる

米粉をこねる鉢のことを、紅鉢(ベニバチ)といい、一家に2~3鉢、大中小あるそうです。ぼんがら餅を作る時、よもぎ団子を作る時、コワ餅を作る時には欠かせない道具です。母から娘に親子3代以上受け継がれた紅鉢もあるそうです。
ボウルで代用できるやん、と思われますが、ひとりで力を入れてこねても鉢がガタつかないのが良い所。鉢の底がザラザラしているもの特徴です。今回使ったベニバチは、中サイズ1つと小サイズ2つ。

チマキの団子は、米粉100%で作りますが、今回は米粉と餅粉が1対1の割合でつくりました。
小さいサイズの紅鉢は米粉250g餅粉250g塩小さじ1、団子約15個分。
中サイズ紅鉢は米粉500g餅粉500g塩小さじ2、団子約30個分。
また、米粉100%で1㎏分も1鉢作りました。
今回使用した米粉の総量は4.5㎏、餅粉3.5㎏。出来上がったチマキは135本。
塩の分量は、もっと塩味があった方がいいので次回は倍量でも良いかと思いました。
米粉と餅粉と塩をベニバチに入れてしゃもじで混ぜます。熱湯を少しずつ注ぎ耳たぶより柔らかめになるまでしっかり混ぜます。初めはしゃもじで混ぜ、まとまってきたら手でこねていきます。熱湯でこねるので、生地が煮えてくるとおっしゃっていました。
分割した団子は、円錐形に丸めていきます。

今回チマキのつくり方を教えてもらったのは、芹川(せりかわ)上流の多賀町河内(かわち)地区に嫁がれた方と、犬上川(いぬかみがわ)上流の多賀町大君ケ畑(おじがはた)地区に嫁がれた方。
どちらの方も70代で、今は山間部から平野部に移住しておられます。約20年前までは毎年チマキを作っておられたそうです。今はクマザサを探すのも、シカの食害で絶えてしまい見つけるもの大変。
多賀町河内地区の方は、団子を串にさしてクマザサで包みます。出来上がったチマキは、赤飯と共に畑にお供えするそうです。
多賀町大君ケ畑地区の方は、団子は串に刺さずそのままクマザサに包みます。5本をひと束にして1時間ほど蒸します。しっかり蒸すとカビが生えずに長持ちするそうです。
「山からこっちに降りてきたら気候が変わるさかい、何もでけへん」と。
クマザサも無いし、常温で色々保存ができないと。

熱湯を注ぎます
はじめは、しゃもじで混ぜます
まとまってきたら手でひとまとめにこねていきます
交代しながらこねます。かなりの力仕事です。
耳たぶのかたさにしっかりこねあがったら分割します。
円錐形に丸めます
とがった方を上にしてハシ(串)に刺します

クマザサに団子を包みます

クマザサ3枚ほどを使い団子を包んでいきます。葉の真ん中より上に団子を置き、団子がはみだしてこないように包みます。
多賀町河内の方に教えていただいた紐の縛り方は、軸の方から葉先に巻き上げて上を縛り巻いて根本に降りてくる方法。
多賀町大君ケ畑の方から教えていただいたのは、葉先のほうから茎の根元方向に縛りながら降りてきて結ぶ方法。葉先を縛ったら、紐を口で加えて固定して手を動かし巻きつけて降ろしてきます。
葉が開いてこないように、洗濯ばさみで押えて巻くとやりやすいです。
茹でたり蒸す間に団子が葉の間からこぼれ落ちてしまわないように結べたらOKとのこと。
葉に巻けたら、5本ずつ束ねてます。今回は、釜で20分ほど茹でます。
ゆでた後のクマザサのゆで汁は、クマザサ茶でいただきました。きれいな水色の瓶に入れてお持ち帰りいただきました。

下から巻き上げています。河内の方法
5本ずつ束ねます
約20分茹でます。ゆで時間が長いと笹の薫りが団子に付いて美味しいとか
茹で上がり。クマザサの良い香りがします。
きな粉や醤油をつけていただきます。
茹で汁はクマザサ茶としてお持ち帰りいただきました

クマザサ茶

クマザサ茶は身体にええよ!とのことで、小さすぎて使えなかった葉などを少し持ち帰り陰干ししました。ハサミで刻んでお湯を注いでハーブティーのようにいただきました。清涼感があり梅雨時にピッタリなお茶だと思いました。本当は煎じたりするようですが・・・。

湯神楽(ゆかぐら)神事もクマザサで

多賀町内には集落ごとに村の神社があります。神事で湯神楽があり、巫女さんがぐらぐら湯だった釜の中にクマザサを入れてかき混ぜ、それを参拝者にパシャパシャかけます。湯神楽のお湯にかかると無病息災、風邪をひかないと伝えられています。
お祭りの後、家から持ってきたヤカンや急須に釜の湯を入れて各家に持ち帰り、飲んだりお風呂に入れて無病息災を願っています。

今回たくさんのクマザサに触れて、湯神楽のことをスタッフと共に話していました。一度バサッと豪快にお湯をかけるのをやってみたいと(笑)。

2016年4月3日 多賀大社 御使殿(おつかいでん) 御湯式(おゆしき)
(多賀町立文化財センター撮影)
みなさんお湯にかかりに行きます。
2016年4月3日 多賀大社 御使殿 御湯式 
4月22日 古例大祭に向けて大切な神事のひとこまです
(多賀町立文化財センター撮影)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?