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よびし通信no.16

よびし通信 はじめます

YOBISHIプロジェクト

 滋賀県多賀町で、「たがの たべるを つなぐ」をコンセプトに官民協働で活動しています。「よびし通信no.15」まではイベント告知のみでしたが、今号から多賀の伝えたい食文化を少しずつ発信します。「よびし」とは、親戚やご近所さんを招き(よび)おもてなしをする意味の方言です。

 継承が危ぶまれる地域の祭りや郷土料理など、幅広く保護することを目的とした改正文化財保護法が、令和3年4月16日の参議院本会議で、全会一致で成立しました。このような動きのなか、YOBISHIプロジェクトでは、身近な食を記録し紹介する活動をしています。ただ昔を記録するだけでなく、簡単につくれるレシピ提案をすることも目指しています。

多賀のお母さんから学ぶ
食の知恵と技

【粽・ちまき】

塩味の米粉団子を熊笹の葉に包み、紐で海老状に巻いたものを茹でて(蒸して)笹の香りを楽しむだんご。醤油やきな粉を付けていただきます。ちまきの材料 熊笹は、鹿の食害で生えている場所が少なくなりました。笹で包んだ団子を縛る紐はスゲやイグサ、竹の皮など様々です。団子にする米粉は、山の集落では白米が貴重なので、ゆり粉(くず米・未成熟の青い米や茶色い米)を石臼で挽いて粉にしていました。
町内で、ちまきは5月5日、旧暦の端午の節句、田植えが一段落した五月見舞い、お宮さんの神事などで作ったと聞きます。また、たくさん作って吊るし保存食にして、固くなった団子を茹でて食べたというお話も聞きました。団子をこねる鉢は「べに鉢」とよばれ、どこの家にもありました。団子の作り方を教わった多賀町河内出身の方のべに鉢は、母から三代受け継ぎ使ってきたそうです。
米粉に加える水加減の感覚は、その時々の気候で調節します。耳たぶより軟らかめの少しベタつくくらいのほうがしっとり美味しく仕上がるそうです。


【ぼんがら餅】

初夏、山野に分布するぼんがらの葉を摘んで来て、ぼんがら餅を作ります。茎にトゲがある半低木のサルトリイバラ。町内では、サルトリイバラの葉っぱで包んだお菓子を、ぼんがら餅・がらたて餅・がんたち餅・がんばら団子・いが餅など様々な名前で呼ばれています。ちまきと同様に、端午の節句や田見舞いに作ったと聞きます。また、お盆にお供えするのでぼんがら餅という集落もあります。
白い団子の部分は、米粉や餅粉、小麦粉など様々です。また、中の餡の素材も、小豆、そら豆、枝豆と多様です。とろんとした生地に餡を包み、ぼんがらの葉にのせるのは、ちょっとコツがいりますが、小さいお子さんと一緒に作るのもおすすめです。

こさえかた

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