原形をとどめていない食材たち
こんな逸話を聞きました。
ある時フランス人留学生が、中国人の友人宅に招かれた時に魚がそのままの形で料理に出て驚きました。
フランスでは魚料理と言っても頭や尾は勿論、全て骨を取り除いた状態で出てくるからです。
箸で器用に頭やヒレを外し、背中を割り、魚肉を取り分けて、皆で骨を出しながら食べる中国人たちの様子を見て、フランス人留学生は言いました。
「これって私達の方が進歩してるっていう事?退化してるっていう事?」と。
魚の骨を取ったり、小骨が残ってないか調べたりする手間を調理段階で徹して行ってきた結果、魚がありのままの姿で出てくると戸惑い、食べ方がわからなかったというエピソードです。
でも私達日本人が「魚一つ満足に食べられないなんて」と他人の事を笑ってる場合じゃありません。
フランスでは確かに魚はこういう状態でしか出てこないかもしれません。
でも、日本だってコレと全く同じようなことが肉で起こっています。色々な部位に分かれ、部位によっては骨付きの部位もあるでしょうが、美しく切り分けられて ただの肉の塊となってスーパーに並んでいます。
中国では肉たちはこうです。揚げた鶏↓↓
豚の丸焼き上側だけですが↓↓
鶏の蒸したバージョン↓↓
ガチョウ頭から足まで真っ二つ↓↓
「ちゃんと一羽(一匹)丸々お出ししてますよ(どこも抜いたりちょろまかしたりしていませんよ)」というアピール、そして、「骨の周りが一番味が濃くて美味しいんだよね」という事で、色々なものが丸ごと出てきます。
日本人的には「原形をとどめていて尚且つ日本で食べない部位を食べる」事に気持ち悪さや抵抗を感じてしまいますよね。例えばこういうヤツ↓↓とか?
(余談ですがシーフードもエビやカニやシャコなども全て殻付きのまま出てきます。)
香港シーフードのド定番!蒸しエビ↓↓
ロブスターのチーズ焼き↓↓
蟹の炒め物↓↓
ああ~もう!何で中国人はこれほどまでに「ありのまま」を求めるんでしょう?見れば見るほど、そもそも原形をわからなくして食べようという気がないとしか思えません。
原形がわからない方が気持ち悪い思いもリアルに他の生き物食べてるっていう残酷な感じも少なくて済むのに・・・!
ま、シーフードは私達日本人だってほぼ原形で食べますからね~。見ても何とも思わない。
・・・ん?
アレ?
って言う事は動物も単なる慣れだけの問題?!
食べやすく、見た目も気持ちよく処理された食材は勿論美味しく心地よく食べるには最高ですが、それが、皮や骨や殻がついたままの状態、生きていた時の形に近い状態で出てきた途端に食べられなくなると言うのは、これは一種の人間のわがまま?甘え?
いや~、もしかしたらフランス人留学生が呟いた
「これは進歩してるって言う事?退化してるって言う事?」
と言うセリフ、なかなか言い得て妙かもしれないかも?
中国の食材にかける執念と、色んな部位をどうやったら美味しく食べられるかという探求心は、ホントにすごいものがあるな、と思わずにはいられません。生きてたものへのリスペクトからだったら偉大だとは思うけど・・・やっぱり真似できないっちゅうか、真似したくもないっちゅうか・・・。
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