氷のような文章~絶交宣言
「ハザカイさん、あなたがさっき〇〇社のIさんに送ったファックスを、持ってきて私に見せてください。」
それは、私がまだ新卒間もない頃の事、部門長が急に私がお客さん宛に送って間もないファックスを見せろと言ってきました。(←ファックスに漂う時代感・・)
訳がわかりませんでしたが、「?」と思いつつも言われたファックスをすぐに部門長に手渡しました。
「〇〇社 御中 I樣
いつもお世話になっております。
昨日製品品番AB-CDEの#123-45のテープ色見本を送付しております。お手元に届きましたらご確認お願いします。お手数おかけします。
△△社 購買部 ハザカイ」
部門長「・・・・・。」
部門長は黙ってそれを読むと言いました。
「・・・いいえ、スッキリとわかりやすい文章だと思います。」
目の前にIさんがいるわけでもないのに、部門長はそう言いながらファックスを私に返しました。
「いえね、先ほどこのIさんから私に直接電話がかかってきて、『ハザカイのファックスが自分をバカにしているような偉そうな文章だ。どういう指導をされているのか』と仰ったから・・。そんな事はないです。用件がわかりやすく書いてあっていいと思います。」
それでその件は、部門長がIさんに連絡するでもなく、私に文章の書き方を変えろと指導するわけでもなく、ただ私の書いた文章を見たというだけで、双方に対して何もしないまま終わりました。
でも、私は自分がただ業務として送ったファックスが、どうしてお客さんの逆鱗に触れてしまったのかな、と気になりました。
余りにも、素っ気なさ過ぎた?短すぎた?新入社員が愛想の一つも書かずに用件を書くのは偉そう?
で、最後に自分なりに出した結論が
「余りに感情と言うものがこもってなさ過ぎて、可愛げがない印象を与えてしまった」でした。
加えて当時はファックスなので、大き過ぎず小さ過ぎず、どれも強弱のない同じ大きさの文字で、これまた何の愛想も感じさせない私の味気ない筆跡が、それに拍車をかけて冷たい印象を与えてしまったのかな・・。と思いました。
悪い事をした覚えはないので反省、とまではいかなくても、ちょっと気を付けようと思いました。
時は経ち、香港で会社員をしていた時の事、友達数名でしていたグループメールで、それは突然勃発しました。
「絶交宣言」
グループの中の一人がある日突然、私にブチ切れて絶交宣言というメールを送ってきました。
そのグループメールは、仕事とは全く関係のない日本人の仲良しグループで仕事しながら終日(←オイ!)やり取りされていた、面白おかしい超絶楽しいお気楽なお喋りメールでした。
私的には「青天の霹靂」で、昨日まで普通に何でも言い合っていた当時一番の大親友と言ってもいい友達Bから言い渡された絶交でした。
そしてグループの他のメンバーも、それを取りなす事もなく何も発言しないままでした。私はそれを「Bの意見を肯定した」と捉えました。
私は絶交を言い渡されたキッカケとなったメール一連のやり取りを何度も何度も見返しました。
で、出した結論:
「文章は、受ける側の考え方によって、書き手が全く意図していないように受け取られることもある。」という事。
私は「自分は全く悪くない。だって、私はBが言うような意図で書いた文章じゃないし、その事もちゃんと説明したのに」と思いました。
でもBには私の意図とは全く違う意味に受け取られてしまった事から、私はメールでも、実際に顔を合わせても、B達に謝りました。「誤解を生むような書き方をしてゴメンね」と。「私はホントにそういう意味で言ったんじゃないよ」と。でもBは頑なでした。全く取り付く島もありませんでした。
他のメンバーも私には何も言ってこず、Bの手前なのか、自分達も内心私の事を苦々しく思っていたのかはわかりませんが、私と関わりを持とうとしなくなりました。
自分は同じ香港に居る限りこれから顔を合わせる機会もあるだろうしと思って、和を乱すような真似はしないでおこうと誠意を尽くして何度も謝りました。自分の心に逆らって努力をしたけれども受け取ってもらえませんでした。
なので、
きれいさっぱり諦めました。
自分は自分は本当に間違ったことはしていない、とわかっていながら、自分の心に逆らってまで、あんなに丁寧に何度も頭を下げて謝った。やるだけの事はやったから、もう執着するのはやめよう。
そう思いました。
どちらが間違っていたかは時間が証明してくれる。
だから、私はできる限り
「直接会う」>「顔を見て話す」>「電話で話す」ようにします。
「文章のみ」でやり取りをするのが、とても怖いと思っています。
このnote上でも楽しく交流して、私的にはとても意気投合しているつもりのクリエイターさん達とも、実は知り合って一番長くて2か月の付き合いです。
どこまでの突っ込みが「親近感」と取ってもらえるか「馴れ馴れしい」と取られるかは紙一重。
それは私が決める事ではなく相手次第。
誤解がどれほど簡単に生まれるか、という事をこれまで痛い程わかっています。私の書く文章は誤解を招きやすい。冷たい印象を持たれがちです。
でも、「コメントまで入れる」っていうそのアクションを起こしている自体が、私としてはすごい親近感を感じた結果の行動です。
自分でも、そうならないように、絶交宣言以降できるだけ詳細に具体的に表現しようと努めた結果の今、私の文章を読んでいる皆さんが、一体私にどんな印象をお持ちなのか。
願わくば自分の気持ちが、それを読む貴方にそのまま伝わりますように。願わくば、私の書く言葉が誰も傷つけませんように。
そう願いながら毎日記事を書いています。
サポートしていただけるとありがたいです。