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キャリアチェンジ:幹部自衛官から経営コンサルタントへの転職<転職活動 編>(2/3)

異業種へのキャリアチェンジ・ストーリーをご紹介しておりますが、今回は先週に続き自衛隊の幹部から民間の経営コンサルティング会社に転職をした島津大地さん(仮名/当時31歳)の事例3本セットの2つ目「転職活動 編」です。

島津さんは自らがやりがいを持てる仕事を求めて転職活動をすることにしました。希望した職業は経営コンサルタントでした。なぜでしょうか?

経営コンサルタントを志望した理由

志望理由は大きくは2つです。1つは、将来に自衛隊へ経営コンサルティング会社が持っているものの考え方を導入することで自衛隊の知的基盤を強化したいということです。

と言うのも、海外では経営コンサルティング会社が軍隊の組織や業務の改善を手掛けて結果を出していることは珍しくないそうです。

もう1つは、経営コンサルティング会社が企業に導入しているツールやアドバイスを外交・防衛分野など官庁にも導入すれば効果が出るのではないだろうか、と考えたからです。

自衛隊の仕事はある種職人芸なところがあり、それぞれの人に依存し過ぎていた為、民間の優れたノウハウやアイデアを移植するのは価値があると思ったのです。

以上の理由から経営コンサルタントを志しました。その想いの根底には、(どんな組織でもそうですが)自衛隊も改善していかないといけないことを中にいる人々は分かってはいるけれど、組織はなかなか変わらないことに課題を感じておられました。

だからこそ、組織の中にいる人間ではなく、外部から提言することの価値があると思ったそうです。

転職に向けた準備

こうして経営コンサルタントへの転職を目指すことを決意した島津さんはインターネットでどんな会社があるのか、どこの会社が人材を募集しているのか、など調べ始めました。

そして、経営コンサルティング会社の選考は一般的な企業と異なる特殊な面接(ケース面接=提示されたテーマについてプレゼンと議論を行う形式の面接)を行うことが分かったので、経営コンサルタントなどのプロフェッショナルファームへの転職を専門的に扱う人材紹介会社に登録をしました。

人材紹介会社のキャリアコンサルタントと面談をして、経営コンサルティング会社各社の特徴や選考内容(適性試験や面接の内容)、準備すべきことを教えてもらいました。

特殊だと聞いていた経営コンサルティング会社の面接は具体的にはビジネスのテーマについてディスカッションを行う形式でしっかりとした対策が必要だと把握。

そして、人材紹介会社が主催する面接対策のトレーニングを受講して、またキャリアコンサルタントとの模擬面接を何回も実施して練習をしました。こういった準備を3ヵ月ほど行って、経営コンサルティング会社への応募を開始したのです。

転職活動で直面した壁

各社に応募をし始めて感じたことは「うわー、書類選考で落ちるなぁ」と言うことでした。

自衛隊では幹部コースに乗っているとは言え、応募先の経営コンサルティング会社とは仕事内容や保有しているスキルが違い過ぎます。即戦力の人材とは思われませんよね。

そうは言っても面接に進んだ会社は業界トップクラスの会社も含めて何社かありました。

面接の会話では、話が通じる面接官もいれば、全く話が通じず会話が噛み合わない人もいました。なぜ、話が通じないのかと振り返ってみると、物事を民間企業に勤務している人の視点で見ると話しが噛み合いにくいと言うことが分かってきました。ご自身は、国家や防衛、外交といった視点でものごとを見る習慣がついておられたのですが、民間の経営コンサルティング会社で一人の社員として求められることは関与するプロジェクトの完遂や売り上げを上げることです。当時、島津さんはそこに対する意識が殆ど無かった為、ビジネスをテーマにした会話での受け答えが下手でチグハグな受け答えになってしまったと分析をされていました。

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補足:
島津さん及び自衛官に限らず、官僚など公務員の人々が面接を受けて不合格になる理由に「ビジネスセンスがない」「ビジネスの視点で考えることに慣れていない」という内容が大変多いです。これは能力の問題と言うよりも、習慣の違いに過ぎず、島津さんの様に面接を振り返って反省して修正していけば改善出来ます。しかし、面接では会話内容をベースに判断される為、誤解をされたまま不合格になってしまうという不本意な結果が生じてしまいます。ですから、面接を受ける前の準備が大切なことは当然として、選考を受けながらも都度振り返り修正していくアジャイルなやり方をしていく必要がありますね。
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島津さんは面接を受けて、それを振り返り修正すべきことは修正して、どんどん改善をしていきました。またその過程でご自身の考えも深化して、同じ経営コンサルティングでもご自身が興味あることや実施したいことがより鮮明になってきて、最終的には社会課題を解決する為のプロジェクトを行うポジションに巡り合い一気に順調に選考が進み入社が決定したのです。

転職活動の戦績

最終的に納得のいく転職先とご縁があった島津さんですが、転職活動での戦績はどうだったのでしょうか?

<幹部自衛官→民間企業(経営コンサルティング会社)への応募の結果>

コンサルティング会社の選考は書類選考→筆記試験→面接3回~4回というプロセスです。それぞれの応募企業での合否、及びどのステップまで進んだのか、以下に記載します。

外資系戦略コンサルティングファーム 2社: 書類選考不合格

外資総合系コンサルティングファーム 2社: 書類選考不合格

人事組織コンサルティングファーム  1社: 書類選考不合格

外資系戦略コンサルティングファーム 1社: 筆記試験不合格

国内系戦略コンサルティングファーム 1社: 1次面接不合格

会計事務所系コンサルティングファーム1社: 1次面接不合格

外資系戦略コンサルティングファーム 1社: 2次面接不合格

国内系大手コンサルティングファーム 1社: 入社決定

10社中5社が書類選考で、1社が筆記試験不合格で、前半で苦戦をされています。1次面接で2社不合格になりながらも、非常に難関の外資系戦略コンサルティングファームで2次面接に進み(これだけでも凄いことです)ご縁がありませんでしたが、選考が一気に進んだ先に入社決定となっています。書類選考で苦労をされたものの、全体的には順調だったと言えます。

初戦で入社決定先が現れなければ、まだ有力なコンサルティング会社が何社もありますので追加で数社応募していって内定を目指すことになります。島津さんはその前に勝負をつけたのですね。ここぞという勝負どころで鮮やかに勝利をおさめるのはさすが戦いのプロでした。

転職活動編は以上です。

高い志を持って自衛隊から経営コンサルティング会社への転職活動に取り組んで、苦労しながらも転職を成功させた島津さんは、その後、ハッピーだったのでしょうか?

次回は、島津さんの転職後について記載します。

(2022年2月7日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
プロフィール

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<公開済みのキャリアチェンジ・ストーリー>
キャリアチェンジ:幹部自衛官から経営コンサルタントへの転職<自衛隊の仕事編>(1/3)

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年収5000万円から500万円への幸せ転職:ファンドマネージャーから地方自治体の公務員へ
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