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気ままな読書日記

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ジャンル関係なく、気ままに本の感想を書いていきます。
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2021年11月の記事一覧

鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』文藝春秋

鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』文藝春秋

タイトルからして気になる、黒いカバーで覆われている、ちょっと気になる本である。今、本屋に積み重なって置いてある本でもある。

当時、中日監督であった落合博満の8年間を、日刊スポーツの記者として自らの取材で見聞きしたことに基づき、監督の回りにいた選手等にスポットライトを当てることで、その実像に迫ろうとしたものである。 

プロローグは、名古屋本社のデスクの指令で、「中日の監督に就任するという記事を書

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濱島淑惠『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』角川新書

濱島淑惠『子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁』角川新書

家族の介護をするため学校に行けない子どもがいる。ヤングケアラーの認知度は高まっているとはいえ、実際には、ほとんどの人が認識していない。目に映っていながら見えていないのである。

高校生の調査によると、ケアを要する家族がいると回答した高校生は約1割で、その半数が家族をケアしているという。ケアの対象は様々で、最も多いのは祖母である。母親をケアする子どもも相当数いる。

病気、身体障がい、認知症、精神疾

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日高杏子『色を分ける色で分ける』京都大学学術出版会

日高杏子『色を分ける色で分ける』京都大学学術出版会

虹が7色という概念は、日本では、江戸時代の蘭学により広まったのではないかという。『吾妻鏡』では5色であり、一般的な日本人は5色程度と考えていたのではないかという。

ヨーロッパで、イギリス英語は、ニュートンの著書『光学』により7色に統一されているが、一般大衆は6色程度とされ、フランス語は7色であるが、ドイツ語は5色が多く、ロシア語は4~7色と幅があるという。また、アフリカでは2~8色、中国の伝統で

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青木聖久『追体験 霧晴れる時』インプレス

青木聖久『追体験 霧晴れる時』インプレス

精神障がいを持つ者が家族にいると、その本人だけでなく家族も苦しむこととなります。多くの家族は、今後どうしたらよいか知りたいと考えます。そのときに、最もよく応えてくれるのが家族会であるという。

本書は、家族会の全国組織の「月刊みんなねっと」に連載され、障がい者の家族が自分の人生について語った15の記事をまとめたもので、著者自身がインタビューしたものでもあります。なお、著者は、永年、精神科ソーシャル

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阿佐見綾香『電通現役戦略プランナーのヒットをつくる調べ方の教科書』PHP

阿佐見綾香『電通現役戦略プランナーのヒットをつくる調べ方の教科書』PHP

副題が、「あなたの商品がもっと売れるマーケティング術」である。商品が売れないで困っている人は、是非読むべき本である。

はじめに「ヒットは「調べ方」が9割」を記されている。どこかで見たようなフレーズであるが、ヒット商品の秘訣は、正しい「ターゲット」と「セールスポイント」の2つを見つけることだという。

商品を売るプロセスの中に、ヒットをつくる「調べ方」のテクニックを取り入れることで、適切な「ターゲ

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渡邉泉『世界をめぐる会計紀行 新たな地平を求めて』税務経理協会

渡邉泉『世界をめぐる会計紀行 新たな地平を求めて』税務経理協会

会計の誕生とその進化の歴史をめぐって、著者自らが世界各地を訪ね歩いていたことに基づいて著わされたもので、ページの左上に飛行機が描かれている。

13世紀、イタリアのフィレンチェで始った複式簿記から始まり、世界各地を訪れたときのお話とともに、会計の歴史が書かれている。会計に関係している人にとっては、これだけでも興味深い。

日本のことも書かれている。江戸時代の伊勢富山家、出雲田部家、近江中井家の和式

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春風亭一之輔『人生のBGMはラジオがちょうどいい』双葉社

春風亭一之輔『人生のBGMはラジオがちょうどいい』双葉社

噺家の春風亭一之輔が、子どものころから今までのラジオを聴いたことにまつわるエッセイ集である。表紙カバーにはラジカセを耳にあてる一之輔師匠が描かれている。

エッセイごとに、それに関するラジオ番組の紹介文が記されているのが憎い。東京地区のラジオ番組なので、聴いたことがあるものもあるし、残念ながら知らないものもある。でも、知っているも、知らなくても、しゃれた文章で読ませてくれる。

『真打ち共演』はN

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