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漆
2022年8月19日 19:01
慣れ親しんだこの森も今日でお別れです。ある小鳥たちの一家は引っ越しの準備をしていました。「おかあさん、本当に行っちゃうの…」「仕方ないでしょう。この森も緑が減ってしまったのだから」まだ幼い小鳥がお母さん鳥に言いました。「最後にその辺を飛んでいらっしゃい」「うん」誰でも引っ越しをするというのは少し寂しいものです。それは何も人間だけでなく、動物だってそうなのです。「やだなぁ
あまざき葉
2022年8月5日 22:51
「ねえ、一緒にこの家を出ましょう。もう、見ていられないわ」ひとりきりのはずの部屋で、どこかから声がした。振り返ると、人形がこちらを見つめている。柔らかに弧を描く眉の下、ガラスの瞳はいまにも瞬きしそうだ。白磁のふっくらした頬を、豊かに波打つ栗色の髪がふちどっている。たっぷりとギャザーの入った淡い青色のドレスを着て、アンティークのチェストの上に腰かけている。人形は、人形作家の夫が初めてつくった