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【詩】星は鳴かない


なにか言いたいことが あったはずだ
ふゆの夜空 星々がせり出して
ひとつひとつの星のひかりが交差して
いまにも熟れた果実のように
落っこちてきそうだ
ぼくは言いたいことも忘れてしまった
自転車が土手の斜面に並べて置かれ
草を撫でる風が
さわさわ さわさわ ゆれて
羽虫が草のすきまから
羽を擦り 音を鳴らした
星は鳴かない ぼくたちも黙っている
でも 通じ合っている
柔らかなひかりの中に
親密な視線を感じる
そうだ ぼくたちに向けられた目は
ぼくたちを慈しみ
同時に 悲しんでいる目だ
深夜の空気 ぴん、と澄んで
張り裂けそうな胸に 冷気が張りついた
きみは空に圧倒されていて
ぼくの存在など 忘れているようだ
つぎに星がひとつ落っこちたら
きみの手をにぎろう






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