マガジンのカバー画像

「勉強・研究」マガジン

29
僕自身が行っている勉強や研究に関するノートを集めたマガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

手数料が下がるとアプリは安くなるのか?

手数料が下がるとアプリは安くなるのか?

 Google Play StoreやApp Storeに代表されるモバイル・プラットフォームの手数料は、ニュースなどでもよく話題にのぼります。収益(売上)の30%という手数料率が高過ぎる、と考える批判者たちからは「アップル税」と揶揄されることもあるようです。【注1】 手数料をめぐる議論では、プラットフォーム側とアプリ事業者側との対立に焦点があたりがちですが、アプリを実際に購入・利用する消費者に与

もっとみる

「メカニズムデザイン」を70分で解説

【EXTREME ECONOMICS】の第3回放送です。
[公開日:23年11月1日]

=====
僕がナビゲーターを務めるPIVOTの新番組【EXTREME ECONOMIS】が先月からスタートしました👍 ビジネスにも役立つ経済学の世界をマニアックな視点から深掘りする、世界でもおそらくオンリーワンの経済メディアです。

第3回目は
・【社会を変える学問】「メカニズムデザイン」を70分で解説
もっとみる

経済学はビジネスに役立つのか?

【EXTREME ECONOMICS】の記念すべき第1回放送です。
[公開日:23年10月18日]

=====
ビジネス映像メディア「PIVOT」で、経済学に関する新番組
【EXTREME ECONOMICS】
がついにはじまりました~!

僕もナビゲーターとして毎回出演させて頂きます👍
PIVOTの竹下隆一郎さん、アナウンサーの田中泉さんと一緒に、経済学をマニアックな視点から深堀りしていく予
もっとみる

「負け組」を減らす市場の新しい作り方

グランフロント大阪にあるナレッジキャピタルが主催する
【SpringX 超学校 鳥の目 虫の目 魚の目でイノベーション!】
に講師として登壇しました。テーマは
・第3回 “負け組”をつくらない、新しい市場とは?
です。この数年取り組んでいる「市場の限界」に関する学術研究を、かみ砕いてご紹介しました。関連するこちらのインタビュー記事もぜひご参考ください:
https://esse-sense.com
もっとみる

『オークション・デザイン』がついに発売!

『オークション・デザイン』がついに発売!

2020年にノーベル経済学賞を受賞したポール・ミルグロム教授による最新本『オークション・デザイン ものの値段はこう決める』が出版されました‼️

彼自身がデザインし、米国の周波数免許の配分に実装された「インセンティブ・オークション」(保有者たちからアイテムを買い上げそれを別の希望者たちに販売する仕組み)の包括的な解説書になります😎

僕も監修者として、監訳と解説を担当しています。かなり難しい専

もっとみる
協力行動とコミュニティの持続可能性

協力行動とコミュニティの持続可能性

慶應大学のグレーヴァさんと長らく続けている「協力行動の発生」に関する研究の最新改訂版が完成しました!(英語論文へのリンクはこちらです)

経済学では、長期的な関係性を通じて協力行動の発生を説明することが多い(「繰り返しゲーム」という分析ツールを使う)のですが、その際に当事者たちが長期的な関係にあること、つまり繰り返しゲームをプレイすること自体は、通常あらかじめ仮定されています。本研究では、プレイヤ

もっとみる
New Papers on Matching!

New Papers on Matching!

この夏に集中的に取り組んでいたマッチング理論に関する新しい論文(どちらも大阪大学博士課程の方元驹さん【注】との共著)が2本完成しました!以下のリンク先から無料で閲覧できますので、ご関心のある方はぜひ😎

I just completed two manuscripts on matching theory, both co-authored with Yuanju Fang (my Ph.D.

もっとみる
リスボン滞在日記 [week12]:欧州⚽

リスボン滞在日記 [week12]:欧州⚽

リスボン滞在12週目は、研究とサッカー(&日本との諸々の打ち合わせ)漬けで、あっという間の一週間でした。あと、SEF:Serviço de Estrangeiros e Fronteirasと呼ばれる移民局で面接を行い、1年以上の長期滞在に必要な滞在許可証を無事にゲット❗(正確に言うと、許可証=カード自体が届くのはまだ数週間、場合によっては数ヶ月先になるようです。とは言え、これで晴れて旅行者/出張

もっとみる
リスボン滞在日記 [week9]

リスボン滞在日記 [week9]

こちらに来てから9週間が経過しました❗️滞在先のリスボン大学はリモート講義、テレワーク中心のまま2020年度が終了。結局、学部内の教員と対面で話す機会はほとんどありませんでした。欧州で開催される夏の学会も軒並みヴァーチャルに… まあ、このご時世なので仕方がないですね😅 コロナの収束を願いつつ、新年度が始まる9月までに研究をググッと進めるぞ〜💪

5月は日本語の書籍原稿(共著、1章分を担当)と法

もっとみる
オークション理論とビジネスへの実践

オークション理論とビジネスへの実践

『一橋ビジネスレビュー 2013 Summer』(61巻1号)の特集「市場と組織をデザインする ビジネス・エコノミクスの最前線」に寄稿した
・マーケットデザインの理論とビジネスへの実践
という拙稿から、オークションの理論と実践に関連する第2章「オークション設計」を以下に転載します。

2. オークション設計 インターネット・オークションから築地の卸売市場、競売物件や国債の売却、そして米メジャーリー

もっとみる

周波数オークション設計の課題 正直な入札行動導く制度に

日本経済新聞「経済教室」(2012年5月31日・朝刊)より転載。
【補足1】〜【補足3】については新たに追記。

<ポイント>
・ビックリー氏は戦略的に単純な入札を考案
・最も評価額高い買い手が購入する仕組みに
・英国は経済学者の提案に基づき新方式採用

 インターネットオークション(競売)から東京・築地の卸売市場、競売物件や国債の売却、そして米メジャーリーグのポスティング制度に至るまで、

もっとみる

注目集まる「マーケット・デザイン」  欧米の制度設計で適用

日本経済新聞「経済教室」(2008年6月5日・朝刊)より転載。
【補足1】〜【補足4】については新たに追記。

<ポイント>
・「メカニズム・デザイン理論」の実践進む
・制度設計、市場の特性見極めが重要
・周波数オークションや学校選択制で成功

 2007年のノーベル経済学賞がメカニズム・デザイン理論の確立に対してレオニード・ハーヴィッツ米ミネソタ大名誉教授、エリック・

もっとみる
ゲーム理論で分かる「買い占め」問題

ゲーム理論で分かる「買い占め」問題

掲載から少し時間が空いてしまいましたが、3月11日に日経ビジネスオンラインに「買い占め騒動」に関する次の記事を寄稿しました。

『買い占めに走る消費者は「間抜け」なのか?
ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性』

ゲーム理論でよく用いられる「協調ゲーム」(コーディネーション・ゲーム)という分析ツールを使って
・なぜ買い占めが起きるのか?
・どうすれば解決できるのか?
を考察する内容で

もっとみる
アプリを使って論文を読もう!

アプリを使って論文を読もう!

元日に親戚で集まったときに、IT系に詳しい叔父からすすめられた

・MarginNote 3

というアプリがなかなか秀逸でハマっています。いわゆる文書閲覧サービスの一種なのですが、文書にハイライトやコメントを付けると、その箇所のテキストが自動的に抜き出されて、簡単にまとめノート的に整理できる優れもの。ツリー状の階層構造を入れたり、色を変えたり、(アップルペンシルを使って)手書きのメモを加えたり

もっとみる