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知識は新しい世界への扉。映画『マダム・イン・ニューヨーク』2012年、インド


忙しすぎて劇場で見れなかった映画。ようやく見れました。2時間以上あったけど、おもしろくて大満足。

インドの中流(という設定だけど、ファッションは上流っぽい)家庭の専業主婦シャシは、料理上手の良妻賢母。ただし、英語が苦手。昔は、ヒンディー語しかしゃべっちゃいけない学校に通っていた設定。そもそも、インドは1990年台後半まで、女性に教育はいらないって考え方が主流だったとのこと。これ、私の叔父の口癖でもあって、ものすごく主人公に感情移入してしまいました。

主人公のシャシはお母さんで、とってもお料理上手。だんなさんは彼女を愛しているけれど、彼女が外で評価されることを喜ばず、「俺だけのために料理をつくれ」というタイプ。娘は現代っ子で英語ペラペラ、反抗期まっさかり。英語ができない母をバカにした態度をとります。

シャシの日常は、彼女がニューヨークに住む姉の娘の結婚式の準備のため、一人でニューヨークへ行くことで急展開。慣れない土地で、飛び交う英語がわからない疎外感や失敗の中、シャシは一大決心して英語教室に通いだします。この教室がまたマイノリティーというか、ニューカマーたちの集まりですごくいい味を出しています。中国人、パキスタン人、フランス人、メキシコ人……etc. 先生もゲイでキュート。みんな、それらしくて笑ってしまいました。

見ているうちに昔、日本語を教えていた夜間学級を思い出しました。まさにあんな感じで、いろんな生徒がいて、みんな和気あいあいして、励まし合って、教えている方も楽しくて、いい思い出ばかり。

背景になるニューヨークの街も、ポップなのにクラシカルで素敵だし、待ち往く人たちがとてもやさしいし、なによりシャシが美人。インドの国民的女優さんということだけど、なんと50才!? どう見ても30代にしか見えません。色とりどりのサリーがとても素敵ですし、彼女が着るとゴージャス。シャシの努力を支えてくれる大学生の姪っ子も美人で賢いです。

脚本と監督は30代のインドの女性監督。お母様が英語のできない方で、そのお母様のイメージで作った映画だそうです。

土曜の夜に夫と見て、次の日は娘と見て、それでもまた見たくなるいい映画でした。最初の英単語羅列のたどたどしい会話から、だんだんちゃんとした会話になっていく過程も、すごく自然です。そして楽しい音楽。そして、ラストは必ずハッピーエンドのインド映画バンザイ。ああ、大画面で見たかったなあ。

追記:主演女優、シュリデヴィさんが2018年2月に亡くなったとのこと。ご冥福をお祈りします。

邦題:マダム・イン・ニューヨーク(原題:English Vinglish)
監督:ガウリ・シンデー
主演: シュリデヴィ、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンドほか
製作:インド(2012年)134分



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