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【京都・葵祭】~優雅なる王朝絵巻~


風薫る5月。
まぶしいばかりの新録に街全体が包まれて
京都では≪葵 祭≫が開催されました。
京都三大祭りの一つに数えられる葵祭(あおいまつり)。
古くは『賀茂祭』または『北の祭り』と呼ばれ
千五百年もの歴史を紡(つむ)いできた由緒ある祭礼です。


その起源は古く
すでに古墳時代後期の欽明天皇の時代(540―571)には
賀茂の神の祟りをおさめようと 馬に鈴を掛けて走らせ
五穀豊穣を祈っていたと伝えられております。


平安中期の宮廷貴族間では
単に『祭り』と言えば ≪葵 祭≫ をさすほどに有名で
紫式部の源氏物語(第九帖『葵』の“車争い”)の中でも
葵祭の興味深い場面が登場いたします。


平安時代以降、葵祭は国家的な行事として位置づけられてきました。
数ある日本の祭りのなかでも、稀少となった王朝風俗の伝統が
現在まで色濃く残されている葵祭こそは、絶賛されるべきものです。


京都市観光協会の【京都市公式】京都観光Naviによる写真を使用



賀茂祭が『葵 祭』と呼ばれるようになったのは
江戸・元禄4年に祭りが再興されてからのこと。
内裏寝殿の御簾(みす)をはじめ
勅使や供奉者の衣冠から牛車や牛馬に至るまですべて
下鴨・上賀茂両神社の神紋である二葉葵の葉を桂(かつら)の小枝に
絡ませたり、挿し飾っていたことに由来するものです。


さて葵祭の見どころは
なんと言っても『路頭の儀』(ろとうのぎ=行列)ですね。
例年通り、本日の5月15日午前10時30分――。
京都御所 ≪建礼門≫ の前を出発地点とします。
勅使を中心とする『本列』と、『斎王代列』の2つで構成されている行列は
平安時代の宮廷装束に身を包んだ総勢500余名の人々と
馬36頭、牛4頭、牛車2台、輿1丁による大規模集団。


京都御所から下鴨神社、下鴨神社から上賀茂神社まで
合計約8㎞の道のりを、しずしずと巡行するのです。
遠く東山や北山の峰々を眺望しながらの
それはまさに優雅な王朝絵巻そのもの。


もしも皆様がこの場所に、同席なさっているならば
時空間のひずみに落ち込んで、遠い過去へタイムスリップしたかのような
錯覚から逃れることは出来ません。


各種装束の、淡い自然な色調でまとめられた
色彩感覚の素晴らしさはもとより
歴史教科書や、博物館展示物や、観光ガイドの写真だけでは
想像も出来なかったリアルな感動を
誰もが体験できることでしょう。


葵祭に先立つさまざまな前儀として
5/1日の競馬足汰式、5/3日の流鏑馬神事、5/5日の歩射神事
5/12日の御蔭祭…等々。
なかでも5/4日の『斎王代女人列御禊神事』(=みそぎのぎ)は人気の的。


京都市観光協会の【京都市公式】京都観光Naviによる写真を使用

雅楽の調べに導かれた斎王代(さいおうだい)が
『御手洗池』(下鴨神社)或いは『ならの小川』(上賀茂神社)に
両手を浸し身を清め、さらなる女人列の面々が
形代 (かたしろ) で罪・穢れを祓(はら)う厳かなる儀式…。


本当は、もともと穢れのない清純な乙女たち。
仮想空間内の役柄でさえなければ
これ以上のどこを清める必要があるのでしょうね。


この御禊神事は、下鴨・上賀茂両神社において
1年交代で執り行われております。
今年、令和6年度は下鴨神社でした。


ちなみに『斎王』とは賀茂神社に巫女として奉仕するために
皇室から差し出された未婚の皇室女性(内親王)のこと。
時代の流れと共に斎王の制度は廃止されたものの
現在では『斎王の代わり』…と言う意味の
≪斎王代≫が、葵祭での役柄を務めるに至っております。


毎年4月になると、京都ゆかりの寺社・文化人・実業家などの
御令嬢が推薦などで選出される次第。
もちろん斎王代様がお召しになられる御衣装は
きらびやかなる 十二単(じゅうにひとえ)。


五衣裳唐衣(いつつぎぬものからぎぬ)も
白のお化粧も、お歯黒も、例えようのない麗しさ!
その お姿を身近でご覧になられた方々は
なんという幸運な人でありましょうか。


京都市観光協会の【京都市公式】京都観光Naviによる写真を使用


私にも、ゆかりのある 葵 祭…。
それは古色蒼然さと新しさを併せ持った
稀にみる神秘的な祭礼なのです。

どうか皆様、千五百年にわたる悠久の歴史を刻みつつ
日本の尊い伝統文化を受け継いできた ≪葵 祭≫ を
ごひいきに、よろしくお願い申し上げます。
             令和6年5月15日、建礼門 葵



🔶せっかくですので、京都を代表する歌を4曲紹介します🔶
   ついでに旅の歌をもう1曲……。

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♬BGM1曲目『京都慕情』/渚ゆう子
♬BGM2曲目『加茂の流れに』/かぐや姫
♬BGM3曲目『京都の恋』/渚ゆう子
♬BGM4曲目『女ひとり』/デュークエイセス
♬BGM5曲目『大いなる旅路』/小椋佳
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♬京都慕情 渚ゆう子

♬加茂の流れに かぐや姫 


♬京都の恋 渚ゆう子


♬女ひとり デュークエイセス


♬大いなる旅路 小椋佳


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