ふかや まもる

テレビ局でテレビ番組を作って、はや40年・・・ 銭湯と立ち食いソバはサイコー!本に音楽…

ふかや まもる

テレビ局でテレビ番組を作って、はや40年・・・ 銭湯と立ち食いソバはサイコー!本に音楽、映画、舞台・・・人生には楽しいことばかり!

記事一覧

映画「Lowlifes」ちょっと新しい田舎ホラー

「田舎ホラー」と呼ばれるジャンルがある。のどかな田舎を訪れると、なぜか恐ろしい目にあってしまうという不条理なホラーだ。昔でいえばヒッチコックの「サイコ」、トビー…

1

志駕晃「ちょっと一杯のはずだったのに」割と普通のミステリ

映画化もされた「マホを落としただけなのに」の作者の旧作。 この作者はラジオ局の人だけあって、時代に敏感な作品を描いている人というイメージがあったが、これは割と普…

映画「密輸 1970」夏の定番、アノ方も出ています!

いやあ、韓国映画ってホント、底力がすごい。懐かし映画の鉄板、海女映画ジャンルでこんなに素晴らしい仰天のアクションを映画を作り上げてしまうとは・・・ 夏の海女映画…

東大カルペ・ディエム「外国人しか知らない日本の観光名所」格好のリサーチ資料

仕事で海外向けのコンテンツを作ることになり、色々とリサーチしている。 特に、日本人にはそれほど知られていないのに、外国人に不思議と人気のアイテム、スポット、ショ…

木爾チレン「二人一組になってください」流行のデスゲーム小説

「デスゲーム」という小説のジャンルがあるようだ。昔からサバイバル系として映画や小説で人気のジャンルだが、日本では小説や映画の「バトル・ロワイヤル」のヒットが躍進…

Netflix「地面師たち」かなり面白いノワールもの

原作は、五反田の積水ハウス地面師事件を題材にしたノンフィクション。詐欺のスキーム、積水ハウスの社内事情など。実際の事件にかなり忠実に則したストーリーになっている…

鷹匠 裕「聖火の熱源」オリンピック中継は1秒も見ていませんが・・・

ちょっと変わったif系小説。 とある事情で2028年のロスオリンピックが開催不可になる。そのままオリンピックは中止かるのかか、延期するのかか・・・そんな中、東京での代…

一穂ミチ「恋とか愛とかやさしさなら」生理は全てを超越する

芥川賞直木賞の記事を読んでいたら、覆面作家の話が出ていた。今回のノミネートのうち3人が顔出しNGの覆面作家だったという。直木賞の受賞者である一穂ミチさんもその一人…

河﨑秋子「銀色のステイヤー」動物と北海道を書かせたら当代一の才能

前に「世界馬紀行」という6分のミニテレビ番組を担当したことがある。競馬馬を育てている各国の牧場を紹介するという番組。私は他の仕事で忙しかったので実際のロケに同行…

「物語コーポレーション」のユニーク経営

「物語コーポレーション」の話題を聞くことが多くなっている。特にチェーングルメ系を扱うテレビ番組でその話題を聞くことが多い。きっと積極的にテレビ露出を図っているの…

映画「バッドボーイズ RIDE OR DIE」懐かしIP復活が流行

つい先日、Netflixで「ビバリービルズ・コップ」の新作が公開され、「ゴーストバスターズ」のリブートも公開された。やはり強いIPにはつい縋りつきたくなってしまうのだ…

真下みこと「かごいっぱいに詰め込んで」令和のハートウォーミングストーリー

セルフレジが普及し始めた頃、「スローレジ」が話題になったことがある。セルフレジに対応できない高齢者や障害者が、後ろに並ぶ人に焦らされることなくゆっくりと清算でき…

結城真一郎「やらなくてもいい宿題」

最近話題の結城真一郎の新作は、小学校5年生が対象のジュブナイルだ。さすが開成中学卒業生作家、受験で習う「旅人算」とか「つるかめ算」とか、そして「ニュートン算」も…

映画「犯罪都市 PUNISHMENT」マブリー版"刑事はつらいよ"

このシリーズも、はや4作目。3作目はちょっとダレた感じがあったが、4作目にしてまた面白さが復活している。これって意外にも息の長いシリーズになっていきそうな気がす…

日野瑛太郎「フェイク・マッスル」チョコザップが人気の理由も納得できる

これが江戸川乱歩賞受賞作なのか?というのが最初の感想。実にライトでポップ。個人的には全然アリの作品で、けっこう楽しめたが、果たしてこの章の歴史の中ではいかに評価…

穂波了「月面にアームストロングの足跡は存在しない」そんなにSF臭くないので大丈夫

今年、アポロ11号を題材にした映画が公開された。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は、「アポロ11号は月面に到着していない」という有名な都市伝説を題材にした映画で、…

映画「Lowlifes」ちょっと新しい田舎ホラー

映画「Lowlifes」ちょっと新しい田舎ホラー

「田舎ホラー」と呼ばれるジャンルがある。のどかな田舎を訪れると、なぜか恐ろしい目にあってしまうという不条理なホラーだ。昔でいえばヒッチコックの「サイコ」、トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」なんてのが「田舎ホラー」の代表。日本でも「犬鳴村」というトンデモ系の「田舎ホラー」がシリーズ化されている。
最近ではアリ・アスターの「ミッドサマー」が印象に残っている。アメリカの大学生が、スウェーデンの留学生に

もっとみる
志駕晃「ちょっと一杯のはずだったのに」割と普通のミステリ

志駕晃「ちょっと一杯のはずだったのに」割と普通のミステリ

映画化もされた「マホを落としただけなのに」の作者の旧作。
この作者はラジオ局の人だけあって、時代に敏感な作品を描いている人というイメージがあったが、これは割と普通のミステリ作品。ちょっととんがったものを期待すると期待は裏切られる。

ラジオのディレクターが、自分の恋人でもあるラジオハーソナ李ティー殺害に容疑者にされてしまう。そのドタバタの中での謎解きでストーリーは展開していく。
結末はギリギリ納得

もっとみる
映画「密輸 1970」夏の定番、アノ方も出ています!

映画「密輸 1970」夏の定番、アノ方も出ています!

いやあ、韓国映画ってホント、底力がすごい。懐かし映画の鉄板、海女映画ジャンルでこんなに素晴らしい仰天のアクションを映画を作り上げてしまうとは・・・
夏の海女映画、でもお色気は全くない。その代わり、痛快な海女アクションが炸裂する。そして夏の定番、サ○も登場、もう言うことはありません。

時代は1970年代、ちょいダサファッションがいい感じだ。
工場ができたせいで仕事にあぶれた海女たちが、海底に沈めら

もっとみる
東大カルペ・ディエム「外国人しか知らない日本の観光名所」格好のリサーチ資料

東大カルペ・ディエム「外国人しか知らない日本の観光名所」格好のリサーチ資料

仕事で海外向けのコンテンツを作ることになり、色々とリサーチしている。
特に、日本人にはそれほど知られていないのに、外国人に不思議と人気のアイテム、スポット、ショップなどを探している。
例えば東銀座にある「花山うどん」は、そこまでの味ではないが、開店前から長蛇の列だ。それもほとんどがアジア系の外国人。どうも日本政府観光局のSNSで紹介したことが一つのきっかけになったらしい。それを見て来店した外国人が

もっとみる
木爾チレン「二人一組になってください」流行のデスゲーム小説

木爾チレン「二人一組になってください」流行のデスゲーム小説

「デスゲーム」という小説のジャンルがあるようだ。昔からサバイバル系として映画や小説で人気のジャンルだが、日本では小説や映画の「バトル・ロワイヤル」のヒットが躍進の大きな引き金になった。
韓国の「イカ・ゲーム」もそうだが、みんなで競い合ったり殺し合ったりして、最後の一人になれば生き残れる。そのストーリー展開にはリアリティがない分だけ惹きつけられるものだ。
この小説もそんな「デスゲーム」の一つ。クラス

もっとみる
Netflix「地面師たち」かなり面白いノワールもの

Netflix「地面師たち」かなり面白いノワールもの

原作は、五反田の積水ハウス地面師事件を題材にしたノンフィクション。詐欺のスキーム、積水ハウスの社内事情など。実際の事件にかなり忠実に則したストーリーになっている。
実際の事件では、五反田の土地にあったのは古い旅館で、土地の所有者は売買のいざこざの間に亡くなっている。事件はさらに複雑なのである。
ちなみに冒頭のつかみである事件も、新橋・マッカーサー道路近くの有名な地面師事件。

1時間弱×7本のミニ

もっとみる

鷹匠 裕「聖火の熱源」オリンピック中継は1秒も見ていませんが・・・

ちょっと変わったif系小説。
とある事情で2028年のロスオリンピックが開催不可になる。そのままオリンピックは中止かるのかか、延期するのかか・・・そんな中、東京での代替開催が決定になる。2021年の東京オリンピックは無観客開催だったので、国立競技場をはじめとしたせっかくのスポーツ設備もフル稼働できなかった。そのリベンジをというわけだ。
物語は、スポーツマネージメント会社の社長を中心に展開する。彼は

もっとみる

一穂ミチ「恋とか愛とかやさしさなら」生理は全てを超越する

芥川賞直木賞の記事を読んでいたら、覆面作家の話が出ていた。今回のノミネートのうち3人が顔出しNGの覆面作家だったという。直木賞の受賞者である一穂ミチさんもその一人だったが、受賞を機にマスク姿を解禁した。この匿名性、今どきである。承認欲求が肥大化している現代だからこそ、真っ当な精神の持ち主であれば個人情報を秘匿して匿名であることを選択する。一穂さんのマスク姿、個人的には好感爆上がりだ。
そしてこの新

もっとみる
河﨑秋子「銀色のステイヤー」動物と北海道を書かせたら当代一の才能

河﨑秋子「銀色のステイヤー」動物と北海道を書かせたら当代一の才能

前に「世界馬紀行」という6分のミニテレビ番組を担当したことがある。競馬馬を育てている各国の牧場を紹介するという番組。私は他の仕事で忙しかったので実際のロケに同行することはなかったが、ある程度構成を決めたところでニューヨークに住むカメラマンに撮影を依頼し、まとめてロケをしてきてもらう。その素材を送ってもらい、日本でディレクターが編集して番組に仕上げるというちょっと変わった制作体制の番組だった。
その

もっとみる
「物語コーポレーション」のユニーク経営

「物語コーポレーション」のユニーク経営

「物語コーポレーション」の話題を聞くことが多くなっている。特にチェーングルメ系を扱うテレビ番組でその話題を聞くことが多い。きっと積極的にテレビ露出を図っているのだろう。
私が初めてこの企業のことを知ったのは、カンブリア宮殿のプロデューサーをしていたとき、2010年のことだった。制作スタッフが持ってきたリサーチ資料を見たとき、「物語コーポレーション」という企業名に正直気乗りがしなかった。
しかし経営

もっとみる
映画「バッドボーイズ RIDE OR DIE」懐かしIP復活が流行

映画「バッドボーイズ RIDE OR DIE」懐かしIP復活が流行

つい先日、Netflixで「ビバリービルズ・コップ」の新作が公開され、「ゴーストバスターズ」のリブートも公開された。やはり強いIPにはつい縋りつきたくなってしまうのだろう。こんどは「バッドボーイズ」が復活だ!
シリーズ初作は1995年で、その後8年、13年で新作が作られ、今作はちょっとスパンが短く4年後に作られることとなった。

ストーリーはシンプルだ。
亡くなった上司に汚職疑惑が持ち上がる。2人

もっとみる
真下みこと「かごいっぱいに詰め込んで」令和のハートウォーミングストーリー

真下みこと「かごいっぱいに詰め込んで」令和のハートウォーミングストーリー

セルフレジが普及し始めた頃、「スローレジ」が話題になったことがある。セルフレジに対応できない高齢者や障害者が、後ろに並ぶ人に焦らされることなくゆっくりと清算できるレジが地方のスーパーなどで設けられたというニュースだ。
その際にフランスの「おしゃべりレジ」も話題になった。店員と楽しくおしゃべりしながら会計できるというこのシステム、コロナ明けでコミュニケーションに飢える世代に人気になったという。
この

もっとみる
結城真一郎「やらなくてもいい宿題」

結城真一郎「やらなくてもいい宿題」

最近話題の結城真一郎の新作は、小学校5年生が対象のジュブナイルだ。さすが開成中学卒業生作家、受験で習う「旅人算」とか「つるかめ算」とか、そして「ニュートン算」も登場する。それかをわかりやすく物語の中で説明してくれる。いわば学習ミステリなのだ。
男子小学生の主人公の学校に女子転校生がやってくる。そしてちょっとした経緯で、彼女から問題を出され解答しなければならないことになってしまう。
その問題は算数の

もっとみる
映画「犯罪都市 PUNISHMENT」マブリー版"刑事はつらいよ"

映画「犯罪都市 PUNISHMENT」マブリー版"刑事はつらいよ"

このシリーズも、はや4作目。3作目はちょっとダレた感じがあったが、4作目にしてまた面白さが復活している。これって意外にも息の長いシリーズになっていきそうな気がする。

今回のテーマは、IT犯罪、中でも最近話題のオンラインカジノだ。
オンラインカジノについてはあまり知識がなかったが、つい先日、NHKの番組で特集されていて、ちょっと知識を得た。。
基本はカジノにリモートで参加するイメージだ。いくつかの

もっとみる
日野瑛太郎「フェイク・マッスル」チョコザップが人気の理由も納得できる

日野瑛太郎「フェイク・マッスル」チョコザップが人気の理由も納得できる

これが江戸川乱歩賞受賞作なのか?というのが最初の感想。実にライトでポップ。個人的には全然アリの作品で、けっこう楽しめたが、果たしてこの章の歴史の中ではいかに評価されるのか。
3度の最終候補を経ての受賞ということなので、間違いなくきちんと書ける作家の人。ただ、文体、ストーリー共にチョット軽い感じがどう受け止められるのか。テレビがYouTubeに淘汰されたように、ミステリもライトなものに収束していくの

もっとみる
穂波了「月面にアームストロングの足跡は存在しない」そんなにSF臭くないので大丈夫

穂波了「月面にアームストロングの足跡は存在しない」そんなにSF臭くないので大丈夫

今年、アポロ11号を題材にした映画が公開された。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は、「アポロ11号は月面に到着していない」という有名な都市伝説を題材にした映画で、月面着陸のフェイク映像を作るドタバタを描いているらしい。未見。
この小説もアポロ11号を題材にしている。月軌道のプラットフォームに滞在する6人の宇宙飛行士は「実は、アポロ11号は月に行っていない。この事実を隠蔽するために月に行ってアーム

もっとみる