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結城真一郎「やらなくてもいい宿題」

最近話題の結城真一郎の新作は、小学校5年生が対象のジュブナイルだ。さすが開成中学卒業生作家、受験で習う「旅人算」とか「つるかめ算」とか、そして「ニュートン算」も登場する。それかをわかりやすく物語の中で説明してくれる。いわば学習ミステリなのだ。
男子小学生の主人公の学校に女子転校生がやってくる。そしてちょっとした経緯で、彼女から問題を出され解答しなければならないことになってしまう。
その問題は算数の問題だが、そこにはちょっとしたトリックがあって、一筋縄では解くことができない。正しく答えれば、彼女への質問に答えてもらえる。

中学受験の時、「〇〇算」には苦労させられた。しかし中学校に入ってみれば、それらのほとんどは方程式で取れるということを学ぶ。
その時は「なんでこんな無駄なことを…」と思ったが、大切なのは「〇〇算」で解を得ることではない。その考え方を身につけることが大切なのだ。その解法が何かに直接役に立つことはない。しかし何かの場面でその考え方が生きてくることは間違いなくある。
人生なんて100の無駄なことの積み重ねで、何かの折にその1つが生きればいい、そんなものだ。

個人的にはジュブナイルは好き。子供の頃に読んだポプラ社の江戸川乱歩は本当に面白かった。それが今の読書週間の元を作ってくれたことは間違いない。
大人になって読む江戸川乱歩は、実はなかなかのグロとエロだ。それを巧く子供向きに翻案してくれたことの功績は大きい。
人気作家のこのジュブナイル、読む子供の何かの刺激になればいいと願う。

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