寺地はるな「いつか月夜」ほっこりとする小説
父を亡くしてなんだかよくわからない不安を感じ始める平凡なサラリーマンの男性。その不安が「黒いモヤモヤ」として出現する。それを「モヤヤン」と名づけるエピソードにまず心を掴まれる。
不安を紛らわすために「夜の散歩」に出ると、会社の同僚に出会う。しかも子供と一緒にいる。自分の子供ではなく、一緒に暮らしていた男性の連れ子。男性とはもう別れている。いやあおもしろい。
とにかく登場人物が皆、魅力的だ。それぞれに個性があり、背景があり、そして秘められた想いや事情がある。
誰にも「色々なこと