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「物語コーポレーション」のユニーク経営

「物語コーポレーション」の話題を聞くことが多くなっている。特にチェーングルメ系を扱うテレビ番組でその話題を聞くことが多い。きっと積極的にテレビ露出を図っているのだろう。
私が初めてこの企業のことを知ったのは、カンブリア宮殿のプロデューサーをしていたとき、2010年のことだった。制作スタッフが持ってきたリサーチ資料を見たとき、「物語コーポレーション」という企業名に正直気乗りがしなかった。
しかし経営についての話を聞くとこれはユニークと思い、すぐに番組で紹介することとした。
まずユニークなのは、当時の経営者。時代は飲食、特に焼肉屋、ラーメンの会社に就職したいと思う者がまだ少ない時代、会社説明会に訪れる学生には経営者自ら自身の就活失敗話をする。そして自らの意思で就職したい者に来てほしいと訴える。
経営の基本は、任せる経営だ。担当者に全てを任せ、決定権を与える。そこに魅力を感じて就職希望者が集まっていたし、離職率も飲食にしては低かった。
当時は「焼肉きんぐ」が経営の中核になって、「丸源ラーメン」がそれを支える形になっていた。
その後、創業社長は退き、若いスタッフを経営者に指名した。そのあたりもいい選択だ。他業種展開も積極的に進め、コロナを乗り切れた。

最近は「丸源ラーメン」も好調らしい。ファミリーターゲットに特化したラーメンという業態はレッドオーシャンにも関わらず、低価格を維持しつつ店舗数を増やしている。これもまた素晴らしい。幸楽苑、日高屋の勢いがちょっと落ちている中、ロードサイド中心に頑張っているのは頼もしいところ。
都市型ではなく郊外型なので、残念ながら東京では馴染みは薄い。他業種展開しているサブブランドもまだ馴染みのないものが多く、「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」以外はほとんど知られていない。色々と手を伸ばしてみて、ネクストを探している状態である。
しかしまだ企業としてはポテンシャルがあるということでもある。グローバル展開を含めて次の一手が見つかったとき、物語コーポレーションの新時代が訪れるのだろう。

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