見出し画像

日野瑛太郎「フェイク・マッスル」チョコザップが人気の理由も納得できる

これが江戸川乱歩賞受賞作なのか?というのが最初の感想。実にライトでポップ。個人的には全然アリの作品で、けっこう楽しめたが、果たしてこの章の歴史の中ではいかに評価されるのか。
3度の最終候補を経ての受賞ということなので、間違いなくきちんと書ける作家の人。ただ、文体、ストーリー共にチョット軽い感じがどう受け止められるのか。テレビがYouTubeに淘汰されたように、ミステリもライトなものに収束していくのかもしれない。それが時代だ。

突然マッチョになったアイドル。ドーピングが疑われるが、本人は沈黙を貫く。主人公のは、その疑惑を追う週刊誌の記者。アイドルが立ち上げたジムに潜入し、ことの真実を探っていく。
マッチョ業界のトリビアも知ることができ、そのあたりも興味深い。なによりストーリーテリングが軽快で気持ちいい。流れるような物語が実に読みやすい。
まさに令和ならではのミステリ。ジム活動しながら読むにも、オーディオで聴くにも良さそう。
<8月中旬発売予定>

プルーフ表紙なので、装丁は違うはず

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?