~『恋とそれとあと全部』発売記念~住野よる インタビュー
今回は、住野よる先生の最新作である『恋とそれとあと全部』についてインタビューを行いました。ぜひご覧ください。
――本日はよろしくお願い致します。
住:はじめまして、住野よるです。よろしくお願いします。
――今回のインタビューでは、『恋とそれとあと全部』についてお話をお伺いできればと思います。まず、住野先生が今作で最も大切にしたことは何でしょうか。
住:自分自身をきゅんきゅんさせるようなものを書くことです。デビューしてから約八年が経ち、年齢も重ね恋愛ストーリーに感動しなくなる自分を感じていました。そんな自分を感動させるようなものを書ければ、他の誰かもきっと感動してくれるはずだと考えました。
――「自分自身をきゅんきゅんさせるようなものを書く」ですか。住野先生にとって「きゅんきゅん」とは何でしょうか。
住:小説を読んで得るきゅんきゅんについてであれば、心が幸福にざわざわとして、まるで自分が対象となるシーンの言葉や行動を受け取ったかのように落ち着かなくなる状態です。
――今作には小説を通して遊ぶという想いも込められていますよね。こちらについて、先生のお考えをお伺いしたいです。
住:小説が読者さん達にとっての娯楽であってほしいと考えています。読めば教訓や学びもあるかもしれませんが、そんなことは二の次で、まずは小説を退屈な時の遊び相手のように感じてほしくて小説を通して遊ぶという表現を使っています。
――ありがとうございます。そんな『恋とそれとあと全部』では、「めえめえ」と「サブレ」というふたりの若者を主人公に物語が描かれていますね。私も実際に読んでみたのですが、まず、登場人物のニックネームが可愛らしくて心を魅かれました。登場人物の名前についてはどのような想いがあるのでしょうか。
住:住野よる作品にはよくニックネームを持った人物が登場します。小学校であだ名が禁止されるなどの事情も大変よく分かるのですが、一方で僕は愛着や特別な関係性を感じる呼び名が好きです。また、本名というものに大きな価値を感じていないということもあり、よく名前を隠したりニックネームをつけたりしています。
――ありがとうございます。今作では物語を通して片想いのもどかしさが描かれているように感じたのですが、特にめえめえの心情描写がとてもリアルで共感できました。今作で描かれる片想いについて、先生の実体験を基にお書きになった場面もあったりするのでしょうか。
住:意識的に実体験を基にした部分はありません。むしろサブレの方が作者の考え方や感じ方に似ているなと感じています。ただ、もちろんめえめえ達にも作者の要素は何かしら入っているのだろうなと思います。
――最後にお伺いしたいのですが、先生にとって片想いとは何でしょうか。
住:恋と呼ばれるものの中で、片想いより美しいものなんてないと思っています。くっついた後のことなんて知ったことじゃありません(笑)片想いにだけ、相手が自分を好きでいてくれるかどうか分からないというのに抱いている大きな恋心が存在し、そこにしかない価値を感じます。
住野よる先生、ありがとうございました!
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https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916606
~『恋とそれとあと全部』発売記念~住野よる インタビュー
企画・製作
早稲田大学英字新聞会 ザ・ワセダ・ガーディアン
協賛
株式会社文藝春秋
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