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【コラム】法務人材少なすぎる問題(転職のお話)

【Co-WARCサイトオープン】

WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

今日は嘆き悲しむ回です😭
昨年(2021年)、私のところに法務人材又は法務マネージャークラスの人材について相談が来た件数…なんと11社🙄(覚えている分)
人材紹介などに関わっていないただの法務の私のところに11社もの会社さん(実際にはCEOや管理部門長など)が「うちの法務をやってくれませんか?」または「法務の人材の知り合いいないですか?」という相談をしてくださいました。
ほぼ月1社ペースです。
2021年は法務不足が顕著な年だったのだろうと思います。
まぁ毎年不足しているので、ボジョレ・ヌーボーみたいなもんですね。

そのうちの何社かはWARCの人材紹介事業部(WARC AGENT)にお繋ぎしたり、SYNCA(シンカ、管理部門特化型転職サイト)チームをご紹介しました。

気になったので、転職サイトの状況を聞いたところ、かの有名なダイレクトリクルーティングサービスですらベンチャーで活躍できそうな法務人材は少数とのこと🙄
これは危機的状況じゃないかと思いまして、弁護士や法務をやっている知人らに聞いてみたところ、何となく理由がわかってきました。

今日はそのお話をしていきたいなと思います。
※私の情熱がほとばしっている分野なので長くなります!


1.法務人材が抱える問題

まずお話したいのは法務人材全般が抱えている問題についてです。
特殊性と言い換えてもいいかもしれません。

多くのベンチャー企業にとっては、そもそも「法務」という職種がどういうものなのかを理解できる接点があまりありません😨
「顧問弁護士の劣化版か事務員みたいなもんだろ」という人までいます。
まぁ実際その要素はありますけど、それを言葉に出しているような会社で法務をやりたいと思う人がいるかな?と思います…
会社側として最初にやるべきことは、法務という職種への理解です😱
これがわかっていないと採用・定着は難しいと思うのです。

ということで法務の問題を述べていきましょう。
法務人材が抱える問題としては、以下の問題が挙げられます。

(1)法学難しすぎる問題
(2)日常的な学費がかかりすぎる問題
(3)企業内法務難しすぎる問題
(4)変な人が多すぎる問題
(5)存在意義を見出しにくい問題

他にも山程問題を抱えていますが、とりあえずこの5つを知ってほしいです。
一つずつ解説していきます。


(1)法学難しすぎる問題

まずなんと言っても法学難しすぎる問題があります。
今はもう違う大学も出てきていますが、昔は理系の医学部と文系の法学部はどちらも大学内最高の学力を有する者が集まる学部でした。
しかし、司法制度改革という史上最高レベルの間抜けな改革が行われた結果、現在では法学部志望者が減り、法学徒の最高到達点である司法試験受験生の数を激減させてしまいました。
受験生の数は、全盛期と比べると10分の1にまで減少しています。
高い学力を有する優秀な人材が法学系に進まないという事態が既に数年前から発生しているのです。
一部の進学校では法学部に進学しようとしている優秀層に対し「法学部だけはやめておきなさい」と進路指導をしているそうで、深刻な事態だなと思っています。
このような状況が、そのまま弁護士の質の低下にも繋がっています。

一方で、法学そのものの難しさは変わっていません
極めて広い範囲を網羅する法学という学問は、一生をかけても終わりが見えないほど広い学問です。
そして、ビジネスにおける法学分野(通称ビジネスロー)は尚のこと難易度が高く、身につけられる人間が超少数しか存在しません。

法学は、どんなに頑張っても、ある程度の知識を身につけるのに6~10年かかるので、よほどの物好きでもない限り歩み続けられない険しい道です。
6年で司法試験を受験できるレベル(合格は難しいけど一応受験はできるレベル)まで到達できれば相当早い方です。
世間一般でいうと秀才に属すると思います。
そこから企業法務として使い物になるレベルに到達するためには、最低でも2~3年かかります。。
そして、勉強を開始してから合計8~13年で企業法務として使えるレベルに到達できるような天才型の人たちは、法務部員なんてほぼしません。
弁護士として活動した方が圧倒的に儲かるからです。

その結果、企業内で法務を行える人間が転職市場には少数しかいないという事態が発生しているのだと思います。
残念ながら、これが解決される見込みはありません。
前述のとおり、法学部への進学者及び司法試験受験生が減り続けているからです。

ただ、全く存在しないかというとそうではありません。
年齢層が高くてもいいのであれば、一部います。
この人達の多くは、司法制度改革前の司法試験(通称、旧司法試験)を目指していた人たちです。
今の司法試験と比べると鬼のような難しさの試験です。
彼らは今の時代なら楽勝で司法試験に合格していたであろう人たちだと思います。
そういう方々が企業の法務部員として働いて、現在はビジネスローの専門家といえるほどの経験者となっています。
年齢でいうと40代~50代くらいになっているでしょうから、そのあたりの人材であればベンチャーでも採用できる可能性はあると思います。
しかし、この年齢層はベンチャーとは相性が非常に悪いです。
年収帯がまず合いませんし、法務業務のスピード感もベンチャーでは全く通用しないスピードだと思います。
更に言うと、ベンチャーの文化が合わないという人が多いです。
平たく言えば、よくも悪くも堅すぎる(ベンチャーが緩すぎる)のです。


(2)日常的な学費がかかりすぎる問題

上記のとおり、法務部員として十分な活躍ができるようになるには、早くても10年程度の月日がかかります。
法学部で4年間、ロースクールで2年間、実務で4年間ほど経験を積んでやっと法務部員として生きていけるかなという感じです。

しかし、若手(20代前半~20代後半)のほとんどの人たちは法務という職種に就くことができません😨
司法試験の合格率は2割くらいなので、受験を継続しない人たちはその時点で社会に放たれるのですが、社会は大変厳しい世界なのでそういう不合格者を法務として採用してはくれません。
その結果、全然若手が育たないのです。

転職市場に優秀な法務人材が少ないのは、そもそも市場全体として育てる土壌がない点にも原因があります。
というか、育てる気すらないでしょう。
ほとんどの企業では、即戦力法務がほしいので、実務経験を3年以上求めがちです。
その3年の実務経験…どうやって得るんだよという問題があるのです。
多くの企業が新卒法務を採用していないので、実務経験を得られるのは極めて運の良い一部の人間だけです。
それ以外の人たちは法務とはほとんど関係がない職種に行くのです。
なお、多くは公務員試験を受けて公務員になります。

更に言うと、ロースクールを卒業した人たちの多くは卒業時点で25~28歳くらいです。
新卒社会人というには年齢が行き過ぎています…
通常の修士卒とは異なり、新卒時に司法試験が控えているため、普通は就活なんて一切できません。
その結果、よほど器用に就活と司法試験受験をこなさない限り、第二新卒として企業を受けることになります。
こういう人達を受け入れてくれる企業はとても少ないです。

それでも尚諦め切れない法務大好き人間は、自費でビジネスローを学び続けることになります。
しかし、このときの書籍代は月に1~3万円程度かかります。
私自身、未だにそれくらいの書籍代が毎月かかっています。
高いときは月に5~8万円くらい書籍代に使います。
知人弁護士らに聞いてみたところ、月に平均3万円程度の費用が書籍や勉強系の費用でかかっているそうです。
法学系の専門書は平均4,000円くらいしますので、それを月に2~5冊読むとそこそこ費用がかかるのです😨
それに加えてビジネスローの場合は経営学系の勉強も必須になってくるので更に費用が嵩みます。

しかも、法律は常に改正されるので、数年ごとに学び直さないといけません。
法学という特殊性から、常に本を読み続けないといけないのです。
本を読まなくなった法務はその時点で成長が止まるので、人材としては使えなくなっていきます。
この費用を自己負担で出し続けられる人はあまり多くないでしょう…
ましてや法務以外の職種に就いている人が自己負担で学び続けるのは無理があります。

法学書が山程置いてある図書館の近くに住んでいるなどの特殊事情がない限り、日常的な学費がかかりすぎるので、法務人材は今後も増えないと思います。
一般企業で法務をやっている人たちの成長が鈍いのも、勉強する人が少ない+書籍代がかかりすぎるからです😨
書籍代補助の制度がある会社はとても少ないので、結果的に自社内で実際に使う部分しか学ばない人が多くなります。


(3)企業内法務難しすぎる問題

続いて、運良く企業内法務の職種に就けた場合のお話をします。
企業内法務の職種にありつけた人材は、企業法務分野を目指す人たちの中でも1割にも満たない程度だと思います。
多くの人は法務とは全然関係ない仕事に就きます…

そして、企業内法務を実際にやってみると、さらなる難問にぶち当たるのです🤣
それが、企業内法務難しすぎる問題です。

運良く法務として社会人デビューを果たすと、今まで学校で学んだ「法学」というジャンルと「法務実務」というジャンルが全く別物だということに気付かされます😨
イメージでいいますと、法学部やロースクールで学んだことの8~9割は全く使わないという感じです🤣
そもそもビジネスローの大半が試験に関係ない法令ばかりなので、多くの場合は一から学び直す必要が出てきます。
法学の根底に流れる概念や思考法は大変役に立つのですが、知識としてはほぼゼロスタートといっても過言ではないでしょう。

ベンチャー経営者の方から時々「弁護士資格持ってる法務を雇ったんだけど全然使えなかった上にすぐ辞めちゃったんだよね」という相談を受けますが、その理由はおそらくここにあります。
弁護士実務(訴訟実務)企業内法務実務(主に予防法務実務)には大きな乖離がありまして、企業内法務の腕を磨く場合、弁護士としてはほぼ役に立たない知識を学び直さないといけなくなるので、弁護士さんにとってインハウスで働くことにメリットが感じられにくいという状態になりやすいのです。
弁護士さんはいつでも独立してやっていけるので、結構すんなり辞めます🙄

その上、法務という職種は会社の事業によって適用法令がガラッと変わります。
ゆえに、コングロマリット型(多角化が進んでいる会社)の企業の法務になってしまったら、とてもじゃないですが1年で学び切ることは不可能となります😨
そのため、最初の1~2年はインプット型の勉強で手一杯になることが多いです。
2年で一通りの知識をインプットできたとしたら、その人はとんでもない努力家です。

しかし、そういう努力を他人からは理解されません
褒められることもなければ、気づきもされないでしょう。
法律という分野の難しさを理解してくれている人は社内にほとんどいませんから、法務は基本的に理解されにくい職種です。
法務に対する理解があるのは、法学に知見のあるCEOが経営する企業レベルの高い方々が多く在籍している東証一部上場企業の法務部くらいでしょう。
そのため、ベンチャーの法務は、最初は猛烈な孤独感を抱くと思います。
経営陣が法律分野を軽視しているタイプだとしたらもう絶望的です…。

ベンチャーの法務があまり定着しない理由もおそらく上記のような特殊性にあります🤔
ベンチャーでは、スピードが命です。
多少グレーな部分があってもリスクを取るのがベンチャーの通例です。
そのため、契約書チェックやリーガルチェックでもスピードが求められます。

でも、経験の浅い法務又は経験はあるけど自分の知識の浅い分野の論点が含まれるチェックの場合、どうしても時間がかかります。
1~2週間は調査してから回答したいという法務が普通でしょう。
大手企業の法務の皆さんはその程度の時間をかけてチェックしていることが多いです。
場合によっては1ヶ月かけて調べているという部署もあるほどです。
上場企業だからしょうがないところはありますが…長い。
場合によっては顧問弁護士の力も借りて調査を行うので、さらに時間がかかります。

しかし、そんな悠長な時間感覚ではベンチャーではやっていけないと思います🤣
結果、ベンチャーの法務に残された選択肢は3つです。

  1. いろいろ諦めてリスクを取る(リスクを取るのは法務)

  2. 文句を言われてもしっかり調べてから回答する

  3. 死ぬほど勉強してスピードを上げる

1と2は、どちらにしてもストレスが溜まることになります。
この辺りのバランスが取れずにベンチャーを去っていく法務人材は跡を絶ちません。
私の知り合いにもすでに数名…
気持ちは痛いほどよくわかります。

そして3の場合は、やればやるほどベンチャーにいる理由がなくなります
3ができるような法務部員なら、ほぼ確実に東証一部上場企業の法務に行けると思いますし、その方が報酬も高く、法務への理解もあり、福利厚生も充実しています。
なおかつ、大手の方が規模の大きな法務実務が学べますし、知的好奇心がくすぐられるような素晴らしい実務経験が積めます。
その結果、優秀な人材ほど大手に行きます🙄
ついこの間も私の知人がベンチャーから超大手に転職しました。
ベンチャーの頃より働きやすくなった上に、報酬が倍近くまで上がったそうです。
そりゃ転職しますよね。。


そして、より企業内法務の難易度を高めているのが内部統制上の問題です。
通常、契約書チェックは法務完結で法務だけの視点で法務だけのために行われるようなものと考えられています。
しかし、それは大きな間違いです🙄
弁護士を含め、企業内法務の多くの人が誤解していますが、法務はあくまでも内部統制の中の一機能にしか過ぎません
契約書というものは、その後の経理、財務、IR、総務、労務、人事、事業部等に派生的に影響を与えます。
そのため、経理的に問題がないか、財務的に問題がないか、適時開示は必要か、株主総会や取締役会は必要か、人事や労務に影響を与えるか、事業部にとって交渉しやすい内容か……
などの総合的な判断が必要となります。
場合によっては様々な部署に確認を取る必要があるので、社内のコミュニケーション能力が必要になってきます。

これらの調整及び判断ができるようになるためには、法律学の知識だけでは到底足りません。
財務・会計の知識はもちろん、経営全般に関する総合的な理解が必要なのです。
そうなるとさらに法務の難易度は跳ね上がります😨

そこまで努力できる人材が大量にいる…はずがないんです。


(4)変な人が多すぎる問題

これは法学系あるあるなのか、法律系職種あるあるなのかわかりませんが、法務にはちょっと変わった人が多いという特徴があります🤣
変人の数なら公認会計士も負けてない!という声がどこかから聞こえてきそうですが、この点に関しては法務の圧勝でしょう。
愛すべき変人であれば微笑ましい話になるのですが、残念ながらそうではありません。
仕事に支障をきたすような感じの変な人が多いのです。

私の感覚でいうと、8:2くらいの割合で変わった人たちなので、人格的に普通の人ならもうその時点で法務として採用したいと考えてしまいます。
法律知識なんて別に勉強すればいいだけなので後からでも教えることができます。
その会社に必要な法律知識を要点だけかいつまんで学ぶだけなら、優れた上司がいることを前提とすれば1~2年もあれば習得できます。
しかし、性格的な問題に関してはどうしようもないのです😒
私も稀に見る変人なので人のこと言えないですが、とにかく法律系の世界に生きる人は変わり者が多いです。

妙な選民意識がある方、権利意識が異常に強い方、マジで働かない方、完全主義・完璧主義が過ぎて周りを困惑させる方、感情の起伏が極めて激しい方、何でもかんでも議論し始める方、どうでもいい小さな論点に異常な執着を見せる方、そもそものコミュニケーションが取りづらい方……
などなど。
この問題のせいで、さらに活躍できそうな法務人材の母数が減るのです😨

とある会社では、法務人材が毎年辞めてしまって全然定着しないという問題を抱えていますが、それは完全に法務マネージャーのせいです。
どう考えても問題があるのですが、いかんせん能力が高く、代わりが居ないので残すしかないそうです。
部下がほぼ毎年のように入れ替わっているので、けして健全な状態ではないです。

法務部の中にそういう人が一人でもいると、他の法務部員にとっては地獄になるのでなかなか人が定着しない、見つからないという問題が発生します😱
この点も大きな問題だなと思っています。
ちなみに、法務人材の横の繋がりで「あの会社の法務部長はマジでヤバいから転職は絶対しない方が良い」という噂もよく入ってくるので、会社としても放置するのは得策ではありません。


(5)存在意義を見出しにくい問題

上記のとおり、法学は基礎の習得すら難しく、時間もかかります。
それでいて社会人になった後も日常的な学費がかかり、かつ、企業法務に就職できたとしても様々な勉強をし続けなければなりません。
ただ、その苦労を理解してくれる人はとても少ないので、段々と「なぜ自分は法務をしているのだろうか」という気持ちになってきます。
その上さらに、最後はその分野の専門弁護士には勝てないという現実が突きつけられるので、心が折れます。
仕事柄法務の仲間が多いもので、よく相談を受けるのですが、結果的に彼らの多くが法務から離れていきました😭

法務知識を活かせる別の仕事に転職するのです。
弁護士資格を持ったとある友人は、5年ほど法務として頑張っていたのですが、会社の方針に愛想を尽かして大手の経営コンサル会社に転職しました。
また、法務を10年経験したとある友人は、社会人大学院を修了後に内部監査に転職。
他にもM&Aアドバイザーに転職した人、弁護士事務所に転職した人、電子契約SaaSの営業に転職した人など、何人もの法務人材が法務から離れていきました。

企業の中で法務として頑張り続けるのはなかなか辛いものがあるのだろうと思います。
その結果、優秀な法務人材が更に減るのです。

上記のような問題が複雑に絡み合って、市場に法務人材が少ないという問題が発生しているのだろうと推測します。
低レベルな私なんかに相談が来るほど深刻な状態なのでしょう。

ただ、これはあくまでも一般的なお話です。
ホワイトで有名な東証一部上場企業、その他ホワイトベンチャー企業などでは優秀な法務人材をすぐに採用できています。
まだ名前をあまり知られていないベンチャーでは採用が難しくなってきているというだけです。


2.企業が取りうる選択肢

優秀な法務人材が少なくなってきているという問題は何となくわかりました。
私の仮説が正しいかどうかは置いておいて、とりあえず少ないのだということは事実としてあるでしょう。

次はその問題にどう対処するかです。

この点について、私の私見を述べていこうと思います。


(1)社内法務の役割を限定する

最も手っ取り早い方法としては、社内法務の役割を限定すると良いと思います。
例えば、社内法務の役割を法務「事務」に限定する方法が考えられます。
具体的には、契約書の誤字脱字チェックと契約書管理等に徹してもらうのです。
弁護士が作成した契約書雛形の変更は原則許さず、仮に変更された場合は顧問弁護士にチェックしてもらうようなフローにしてしまうのです。
社内法務は事務に徹して、難しいことは顧問弁護士に頼るという一般的な中小企業の体制です。

これならば法務人材に困る事はまずないです。
法務スペシャリストは市場に少ないですが、法務事務ができる人は大量にいますし、比較的簡単なので誰でもできます。
ビジネス実務法務検定2級程度の法律知識があれば十分なので、3~6ヶ月程度勉強すれば新卒でも活躍できると思います。

簡単な法務事務だけで回るように仕組みを作っておけば、かなり楽に採用を進めることができますし、突発的な退職があっても補充しやすいです。
また、法務チェックの点も顧問弁護士が行うのでクオリティを担保できます。
若干コスト(費用と時間)は多少かかるかもしれませんが、全然問題ない範囲かなと思います。

重要なリーガルチェック(新規事業のリーガルチェックなど)ではいずれにしても弁護士を頼ることになるので、日頃から顧問弁護士と蜜に連絡を取る体制の方が逆に低コストになるかもしれません。
ハイクラス人材を転職市場で採用しづらいベンチャーに特にオススメな方法だと思います😁
IPOを目指す場合でも、重要なところはすべて顧問弁護士を頼るスタイルでいけば、中級レベルの法務(実務経験3年程度)がいれば十分行けると思います。
顧問弁護士さんもいっぱい報酬もらえてWin-Winです。


(2)ハイクラス人材がほしいなら条件を良くする

一方で、CEOの意思決定として社内の法務体制を強化するという決定を下すのであれば、ハイクラス人材が必要になってきます。
ここでも、どこまでのハイクラス人材を欲するかで話が変わってきます。
経営全般を理解できるほどの法律専門家となると年収でいうと1,000万円以上が普通です。
分野にもよりますが、金融系の法律に強い法務専門職だと1,200万円~1,500万円くらい出さないと見つからないと思います。
そうなるとほぼ弁護士又は10年以上の経験がある法務専門家でしょう🤔

さらに、人材のマネジメントまでできてほしいとか、法務部の体制構築までやってほしいとなると…
人材の数が極端に少なくなっていきます。
弁護士さんの多くが自由人ですし、チームプレイが苦手な人が多いので、マネジメントは不得手です😱
そもそも誰かと一緒に頑張ろうと思っていたら士業なんて目指さないでしょう(笑)
独力で食っていくぜ!というタイプが多いのです。

マネジメントまでできるハイクラス人材を社内に連れてこようと思うのであれば、原則として条件を良くしないといけません。
しかし、条件を良くすれば良くするほど会社にとってはリスクがある行為になるので、採用活動が長期化しやすいです。
ハイクラス層の獲得を本気で検討する場合は、CEOの信頼できるエージェントに頼むか、お知り合いを通じて出会った人の中で選ぶのがいいかと思います。

そのうえで、口説き落としましょう🤣
専門職も人間なので、誰かに頼られたり必要とされたら弱いです。
誠心誠意、相手に思いをぶつけ続けていれば、採用も成功すると思います。
なお、法務専門職に刺さりやすい条件は以下のような条件です。

・学費補助(大学院の学費等)
・書籍補助(月に○万円まで書籍購入自由)
・法務事務スタッフの採用権限付与(自分の好きな人を採用できる)
・完璧なリスク管理でなくて大丈夫(完璧なんてそもそも無理)
・リモートワーク可(弁護士だと特に重要)
・フルフレックス(弁護士の多くは朝が苦手なので刺さる)
・過度な勤怠管理をしない(自由人なので)
・組織的遵法精神の高さ(条件というか文化)
・固定報酬(業績連動報酬はあまり好かれない傾向)
・服装自由
・社用携帯支給
・執務室あり(個室)
・社内での弁護士業務OK(プリンター等も使用OKにする)
・その他子育て系の福利厚生(特に女性弁護士さんには重要な制度)

上記の条件を見ていると、法務の中で人気のある会社さんは上記の条件の多くが揃っているなぁという印象です🤔
ベンチャーでもできる条件いっぱいあると思うので、検討してみるといいかもしれません。
なお、上記条件は公認会計士等を社内に呼び込む際にも刺さると思います。


(3)弁護士がほしいなら複業OKにする

会社によっては、どうしても弁護士がほしいという場合もあると思います。
その場合は、複業OKにしましょう。

弁護士にとって、インハウスで働くということは、かなり大きなリスクを伴います。
弁護士の主な能力は訴訟対応力なので、弁護士の多くはその点にブランクができることをとても嫌います。
そのため、弁護士事務所と並行してインハウスをやれるようにしてあげると良いでしょう。

弁護士事務所で週1~2日ほど訴訟をやって、残りはインハウスという風に自由に働けるような状態にしてあげると良いかと思います。
そういう条件を整えるだけで応募数は倍以上になると思います。
実際、以前私が弁護士採用を手伝った会社では、その条件で提示したらいつもの5倍程度の応募がきました🤣
弁護士にとって、訴訟ができなくなるというのはそれほど死活問題なのです。

この点を理解してあげるだけでも法務人材を採用しやすくなるでしょう。
ただし、週2日程度法務部長がいない組織はかなり危険度も高いので、弁護士さんはあくまでもスペシャリスト採用で、マネージャーは別に置いた方がいいかもしれません。


(4)とにかくたくさん会う

最後に最も重要なことがあります。
それは、とにかくたくさん法務人材と会うということです。

とある会社のCEOから法務人材の相談を受けたときに「何人に会ったんですか?」と聞いたら「もう10人に会ったんだけど良い人いないんだよね」と仰っておりました。

少なっ!🙄

法務を本気で獲得したいなら、100人くらい会いなさいよと思っています。
少なくとも100人くらいにCEO直でスカウト文を送るくらいの活動はしないといけません。
そして、多くの場合、転職市場に優秀な法務人材は出てこないので、現時点で法務として活躍している方や弁護士さんをダイレクトでスカウトしに行く方が打率は高いです。
なので、知人の知人、敏腕のエージェント、転職プラットフォーム、ダイレクトリクルーティングサービス、Facebook、LinkedInなど、あらゆる手段を講じて法務系人材に会いまくることが大事だと思います。

ベンチャー企業の場合にしか使えないかもしれませんが、経営管理部門特化型のダイレクトリクルーティングサービスの「SYNCA(シンカ)」もご活用ください。


様々なサービスを複合的に利用して、100人くらい会って話を聞くと、法務人材の分布がわかってきます。
どのレベルの人が多いのか、どの分野の専門家が報酬が高いのかなどが大体わかってきます😁
そういう知識がさらに法務人材の獲得可能性を高めます。

まずは行動あるのみです!
そして、気が合う法務人材と出会ったらとにかく誘いましょう(笑)

「一回オフィス遊びに来て!」
「今すぐ転職とかじゃなくていいから、オフィスのメンバーと会って感想聞かせてよ!」
「お試しでいいから1ヶ月業務委託で働いてみない?」

くらいのアグレッシブさで攻めていきましょう🤣
そのくらい本気で採用していい職種です。
CFOやCOOを採用するときに燃やした情熱と同じくらいの本気度で取りに行った方が良い職種だと思っています。


おわりに

今日は法務人材がなかなか見つからないという悩みをよく聞くので、少しでもお役に立てればという気持ちで記事を書いてみました😁
参考になれば幸いです。

これからも法務人材に困ったらいつでも声かけてください。
たまたま転職を考えている友人がいれば紹介しますし、WARCの人材紹介部門とお繋ぎすることもできます。
法務のスペシャリストは母数自体がとても少ないので、採用できるかどうかは運次第・条件次第・頑張り次第になりますが、私は法務業界がこれから良い方向に向かって行ってくれることを心から願っているので全力サポートです!

また、今まさに法務部員として悩んでいる皆さん。
いつでも相談してください。
そして、転職するなら、SYNCAをお使いください!
ベンチャー企業の経営管理部門(法務含む)に特化した転職サイトなので、お役に立てると思います。


ではまた次回😁

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この記事は、株式会社WARCの瀧田が担当させていただいております。
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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/harukazutakita/

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