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和歌山紀北の葬送習俗シリーズ

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#習俗

和歌山紀北の葬送習俗(24)埋葬

和歌山紀北の葬送習俗(24)埋葬

▼まず、このページには死体に関する描写・写真があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。

▼また、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

▼このシリーズも、いよい

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和歌山紀北の葬送習俗(12)通夜

和歌山紀北の葬送習俗(12)通夜

▼シリーズ12回目にしてようやく通夜を取り上げます(いつになったら完結するのでしょうか…)。通夜という行事の内容は、今も昔もさほど変わりません。通夜のデフォルトは、喪家と近親者が徹夜で遺体とともに過ごすというもので、徹夜=「夜を通す」=「通夜」なわけです。喪家でない限り、通夜の細部を体験することはできません。すなわち、夜のはじめに参列して焼香することは本来の通夜ではありません。それは、通夜のごく一

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和歌山紀北の葬送習俗(13)湯灌①

和歌山紀北の葬送習俗(13)湯灌①

▼まず、このページには死体に関する描写があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。

▼「ユカン(湯灌)」とは、納棺する前に遺体を丁寧に拭き清めることをいい、「ムクユ(無垢湯)」と呼ぶ地域もあります。本来の湯灌は、現代の葬儀屋がサービスのオプションとして提供しているものとは全く異なります。ぶっちゃけて申し

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和歌山紀北の葬送習俗(14)湯灌②

和歌山紀北の葬送習俗(14)湯灌②

▼まず、このページには死体に関する描写があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

▼今回は、前回『和歌山紀北の葬送習俗

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和歌山紀北の葬送習俗(15)死装束

和歌山紀北の葬送習俗(15)死装束

▼このページをご覧のマニアックな方、経帷子(きょうかたびら)などという単語を子どもの頃にご存じでしたか❓ 管理人は、そんな単語を大人になるまで一度も聞いたことがありませんでした。ということで、今回は死装束を取り上げます。

▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はあ

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和歌山紀北の葬送習俗(16)納棺

和歌山紀北の葬送習俗(16)納棺

▼まず、このページには死体に関する描写があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

▼湯灌が終わり、死装束が着せられると

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和歌山紀北の葬送習俗(17)墓穴掘り

和歌山紀北の葬送習俗(17)墓穴掘り

▼まず、このページには死体に関する描写があります。読み手に心的外傷を与える可能性があるので注意して下さい。学問的な文脈から述べるにすぎないものですが、一切の責任は問いかねます。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

▼墓穴を掘るのは、基本的にその集落の

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和歌山紀北の葬送習俗(18)本葬

和歌山紀北の葬送習俗(18)本葬

▼遺族にとって葬儀、葬式はバタバタしており、その舞台の装置や演出を事細かく観察するゆとりはありません。むしろ、他家の葬儀、葬式で気づくことが多いものです。今回は本葬を取り上げますが、あまり気づかず、あるいは見過ごしがちな項目に焦点を当ててみます。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町

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和歌山紀北の葬送習俗(19)出棺①

和歌山紀北の葬送習俗(19)出棺①

▼本葬でひととおり読経が終わって、いよいよ出棺です。出棺をめぐっても、さまざまな習俗がみられ、人の死が題材であるとはいえ、村落共同体に育った者としては懐かしく味わい深いものです。

▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

1.棺の蓋を閉める

▼ここ

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和歌山紀北の葬送習俗(20)出棺②

和歌山紀北の葬送習俗(20)出棺②

▼前回は、棺を屋内からオモテに出すまでの行為とその呪術的意味を検討しました。

▼今回は、出棺に伴う付随的な行為を取り上げます。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

1.出棺時の食事

▼出棺に際して遺族や会葬者が食事をする事例がみられます。このとき

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和歌山紀北の葬送習俗(21)野辺送り①

和歌山紀北の葬送習俗(21)野辺送り①

▼ノベオクリ(野辺送り)とは、葬列を組んで墓地まで歩くさまをいいます。ノオクリ(野送り)ともいいます。管理人はいわゆる「野辺送り」最後の世代で、学生服を着て葬列の中で言われるがまま墓地まで歩きました。管理人の故郷では、野辺送りの習俗は平成初年代頃に廃れたと思います。野辺送りは別段法律で規制されているわけではなく、あくまでも村落自治の一環です。しかも、これまでたびたび言及しているように、ここでいう村

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和歌山紀北の葬送習俗(22)野辺送り②

和歌山紀北の葬送習俗(22)野辺送り②

▼前回は、おもに野辺送りにおける野道具の順序に関するケースを検討しました。今回も引き続き、野辺送りの内容をいくつか取り上げます。

▼なお、登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられることから、掲出している市町村名にあまり意味はありません。

1.野辺送りのルート

▼野辺送りには集落単位で通過すべきルートが定められてい

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和歌山紀北の葬送習俗(23)引導渡し

和歌山紀北の葬送習俗(23)引導渡し

▼今年のお盆は、「十津川の温暖化」と「南海トラフ地震と井戸涸れ」などという理系テーマにドハマりしていたせいで、葬送習俗をすっかり忘れておりました・・・

▼さて、今週からふたたび葬送習俗に戻りたいと思います。

▼野辺送りの行先はもちろん墓地です。野辺送りの手続きはまだ終わっておらず、墓地に着いても葬列に加わっている者にはしなければならないことが残っています。今回は、墓地到着時の習俗を取り上げます

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和歌山紀北の葬送習俗(11)葬具と棺の調達

和歌山紀北の葬送習俗(11)葬具と棺の調達

▼今回は、葬具と棺の調達を取り上げてみます。葬儀、葬式で使う葬具と棺は、線香とロウソクを除いては日常生活で使うことはまずありません。普段見慣れない葬具や棺が目の前にあるという非日常的な光景は忘れがたく、また、凝った装飾や彫刻に満ちた祭壇は一種の「舞台装置」のようなものです。

▼登場する市町村名とその位置は『和歌山紀北の葬送習俗(3)死亡前の習俗』を参照して下さい。ほとんどの事例は全国各地にみられ

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