若林理央のエッセイ

2024年2月末、旬報社から『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』…

若林理央のエッセイ

2024年2月末、旬報社から『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』刊行予定。書店、Amazonなどで予約受付中。noteでは主に趣味でエッセイを書きます。最新の情報はX(旧Twitter)から。 3月8日(金)東京の本屋B&Bで刊行記念イベントを開催します。

マガジン

  • 記憶から消していた10代までの自分と向き合う

    思い出したくもない、10代までの自分を救うためのマガジンです。

最近の記事

主語デカ「フリーランス」

ひさびさのnoteのタイトルがこうなるとは。。 キラキラフリーランスを目指している方へ。 あなたの足元を見て。 這いずりまわったり意識を失ったりしているフリーランスがいる。 フリーランスというより文系フリーランスがいる。 文系フリーランスというよりフリーライターがいる。 フリーライターというより

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    • 「過ち」

      戻りたいなあ、と思った。ただいつに戻りたいか聞かれても答えられない。 小中高は戻りたくないし、大学は思い出しても楽しい思い出ばかりで今の私と比較してしまう。 でも、戻りたくない。きっと私は同じ過ちを繰り返すだろうから。 過ち? 過ちとはなんぞや。 生育環境なのか生まれつきなのかわからないが、生来持って生まれたものがあったからこそ、私は小さな過ちを砂山のように積んで、二度と来ませんようにと祈ったのだが、20代前半を除いてそれは幾たびも幾たびも来ている。 辛い話をすると、

      • ゆめ

        私はメモを書いていた。 たくさん書いて、疲れたので寝ると、夢のなかに遊園地があらわれた。 遊園地のコーヒーカップに乗り、ぐるぐると回る。 幼い日の私は、それが楽しくて仕方なかった。 いつしか遊園地の記憶は闇の中に消える。私はコーヒーカップから森に放り出された。夜の森のなかをさまよい歩き、泣いた。 いつのまにか大人になっていた。 「私は負けない」は気持ちを上げる時に使う言葉だが、私はよく負けている。 「強くなれ」は励ましのメッセージだが、私は弱い。 そんな言葉を自分に投げ

        • 復活!自分で自分にインタビュー

          わか:『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』、紙の単行本でも電子書籍でも読めるようになりました。そういうわけで、今日はよろしくお願いいたします。 りお:……あの……。 わか:はい? りお:今日は、「わか」こと若林理央さんのプライベートに関するインタビューです。インタビュアーは私です。取材企画書、読んだでしょ。 わか:自分で自分に取材企画書送って何が楽しいんですか?だいたいこの「自分で自分にインタビュー」は黒歴史として終わったはずです。 りお:そうですね。

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          喪失の意味を知る

          ※写真の画像は小柳とかげさん @coyanagi_tokageによるものです。 ※掲載許可をいただいています。 子どものころ、私はいろいろなものを持っていた。 たくさんの人が周りにいた。 5年、10年、20年…… 時は経ち、私の持っていたものや周りにいた人のほとんどは、私の目の前からいなくなった。 自分の意志であっても、そうではなくても、関係なく、私が「喪失」の意味を知ったのは30代を過ぎてからだったと思う。 大切なものもあった。失いたくない人もいた。 しかしそのころ

          エンタメで失恋したら脳内補完をしよう

          夢女子ではないので失恋という言葉はおかしいのかもしれない。 今回の記事は、「おっさんずラブ-リターンズ-」で、私の期待していたマイナーCP、黒澤武蔵と菊様について私が脳内補完で乗り越えたという内容だ。 ちなみに私はBL好きではなくOL好きだということは、はじめに言っておきたい。 とはいえ、まずは、 おっさんずラブ、帰ってきてくれて、ありがとう。 この一言に尽きます。 リターンズで動いたこころ春田と牧の幸せを願い、視聴を始めた1月。 5年前の連ドラ(以降、S1)に次いで劇場版

          エンタメで失恋したら脳内補完をしよう

          あなたに会いたくて、冬

          拝啓 3月8日(金)夜、本屋B&Bのイベントに来店でご参加の首都圏の皆様に、心より御礼を申し上げると共に、イベントの後の交流会でお話できますこと、とても楽しみにしております。 また既にご予定のある方、遠方にいらっしゃる方、配信にてご覧になると伺い、心より感謝しております。 そして行こうかと迷っていらっしゃる皆様、 「あの若林理央が初めて刊行記念イベントをしたの、ここなんだって。ヘフェリン・サンドラさんと吉田潮さんとトークしたらしいよ」 と、「あの若林理央」と呼ばれるように

          あなたに会いたくて、冬

          冬の黄色い花に捧ぐ

          退院してから今日でちょうど十年だと気づいたのは、窓の外で咲く小さい花を見た時だった。殺風景な冬の庭に咲く花は黄色。カラー診断によると私に合う色は黄色。あの花は「普通じゃない」。 自著の刊行はもうすぐで予約も始まっている。 私は「普通」とは何か、幾度となく考えてこの初の著書を書いた。刊行後もこの問いを追いかけようと思っている。 黄色い花は私に「そろそろ、十年前のことを書く訓練をしないとな」と思わせた。どのような形態になるだろう。小説かもしれない。エッセイかもしれない。これ

          冬の黄色い花に捧ぐ

          「おっさんずラブーリターンズー」がどんな結末になっても

          昨夜、「おっさんずラブ‐リターンズ‐」第6話が放送された。放送前から同性カップルの結婚をテーマにした文章をnoteに書き連ねて、リアルタイムで視聴後、深夜に再びnoteを更新した。 自分の病み上がりの体に無理をさせたのではないかと心配になったが、朝起きるとすっきりとしていた。 見る前より、明らかに回復している。 いちばん好きなドラマとはいえ、ここまでの効力があるとは思わなかった。 もちろん医学的根拠はないので、良い子は真似をしないように。 私は深夜に書いたnoteを見直し、

          「おっさんずラブーリターンズー」がどんな結末になっても

          「おっさんずラブ」と同性カップルの結婚

          最近、同性カップルのドラマを見ていると「日本は同性の法律婚ができない」という周知の事実を突きつけられる。 子どもができないからだろうか。 そうすると、私のように産まない人生を歩みたい女性たちも結婚してはいけないということになる。 私は産む、産まない、産めないを超えて互いの価値観を認め合い、自由意志で人生を歩むことをテーマにした書籍『母にはなれないかもしれない』を書いた。 (2月末発売、予約受付中) 自由意志で人生の大きな決断をする。 これは女性だけではなく、男性にも言える

          「おっさんずラブ」と同性カップルの結婚

          「おっさんずラブ」は私の心のばんそうこう

          スケジュール帳を開く。 「こんな夢を見た」 「朝、ヨガができなかった」 「今日も昼ごはんが食べられない」 「いきなり泣き出してしまう」 自分のその日の気持ちや行動をメモして、「ウツ」と記録する。 私には「ソウ」の日と「ウツ」の日がある。 私のこころの病気 東京にいたころ、東京の主治医に 「可能性があるね」 大阪に戻って、先週、大阪の主治医に 「そう認識してます」 つまり、診断を受けていたのに、私は見ないようにしていたのだろう。 双極性障害、昔は躁鬱病と呼ばれていたもの

          「おっさんずラブ」は私の心のばんそうこう

          私の人生の、とある記録

          ほとんどの人は、親しくしている人が不愉快になるようなことはしたくないと考えているはずだ。 ただ無意識のうちに、だれかを不愉快にさせているのだとしたら。 不愉快な気分になってしまった人は、どうやって気持ちを処理すれば良いのだろう。 3年ほど前、ある友人が「友達とその旦那さんのうちに呼ばれてるんやけど、行きたくないんよね」と言った。 既婚者の私は彼女の気持ちを慮ることができなかった。 「そうなんやね」と流してしまったことを未だに後悔している。 いま、私は子育て中の友人に「子連

          私の人生の、とある記録

          私がライフテーマにたどり着くまで

          「子どもがほしいなら、すぐに不妊外来に行ってください」 婦人科医に告げられたあの日のことを、何度振り返っただろう。 私はフリーライターなので、商業媒体で記事化もしたし、『私たちが「産まない」を選んだのは』というZINE(個人で制作した冊子)を出してそこでも言語化した。 だんだんと婦人科医に宣告された時は遠のき、5年経った今、私には子どもがいない。 不妊外来にも行っていない。 産まない選択をした人として生きている。 産まないつもりではいたけれど 私は子どもを産んだ人、産

          私がライフテーマにたどり着くまで

          サスペンダーの先輩

          26歳。 この年齢は、私にとって大きな意味をもつ。 上京。転職。ひとり暮らし。 たくさんの「初めて」を前に、楽しみより不安が募った。 家賃も高く物価も高い東京で、手取り20万円にもならない月給で生きていけるだろうか。 浮気性だった当時の婚約者との遠距離恋愛は終わるが、ずっと一緒にいられるだろうか。 新しい職場でうまくやっていけるだろうか。 結果としてすべて「No」だったので私の心配は的を得ていた。 そして大阪で務めていた企業では、部長は「東京に転勤したいんです」と私が

          サスペンダーの先輩

          生まれて初めて、イベントを開催しようと思った理由

          世の中にはいろいろな人がいる。 女性という枠組みをしても、それぞれが異なる人生を歩み、時に人生を選ばなければならない局面があって、それを乗り越えて今がある。 そのいろいろな女性たち全員と理解し合えるとは思っていない。 政治思想、女性を取り巻く背景、既婚か未婚か、子どもはいるか、 いないとしたらそれは授かることができなかったのか、 それとも自分の意志で子どもを産まないことにしたのか。 ほとんどの場合、聞くことはしない。 だけど私は、「垣根をはずして対話できる方法」をいつも考

          生まれて初めて、イベントを開催しようと思った理由

          あなたは友だち?

          プライベートで人と会っていると、ときどき気になることがある。 この人は、どうして今ここに私といて、会話をしているんだろう。 この人にとって、私は友だち?知り合い?仕事仲間? 私はよく自己開示をする。 何かを聞かれたら、それがハラスメント行為ではない限り、すべてを答える。 無理にそうしているわけではなくて、私にとってはなんでも答えたほうがラクなのだ。 私が自己開示をすると、相手も「ほかの人には言ってないんだけど」と話し始めることが多い。 私は口が堅いので、信頼してもらえてい

          あなたは友だち?