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「おっさんずラブーリターンズー」がどんな結末になっても

昨夜、「おっさんずラブ‐リターンズ‐」第6話が放送された。放送前から同性カップルの結婚をテーマにした文章をnoteに書き連ねて、リアルタイムで視聴後、深夜に再びnoteを更新した。
自分の病み上がりの体に無理をさせたのではないかと心配になったが、朝起きるとすっきりとしていた。
見る前より、明らかに回復している。
いちばん好きなドラマとはいえ、ここまでの効力があるとは思わなかった。
もちろん医学的根拠はないので、良い子は真似をしないように。

私は深夜に書いたnoteを見直し、再びパソコンの前にすわる。
今までにない感情に満たされる。
私はどんな結末になっても、「おっさんずラブ」を愛しぬく。
ようやく心からそう思えるようになったのだ。


幸せは時に他者の悲しみをともなう

春田(田中圭さん)と牧(林遣都さん)の恋愛、そして結婚生活は、複数の人物の悲しみの上に成り立っていて、だからこそ尊い。
悲しみの大きさを測ることはできないが、もうひとりの主役(ヒロイン)である、春田の元上司、黒澤武蔵(吉田鋼太郎さん)は、片思いとはいえ純愛を貫き、愛する春田の幸せを願って離れた。
その離れた日から武蔵は「時が止まっている」と話す。

彼は春田に愛を捧げるために妻と離婚をして、春田がボロボロになった時は一年かけて彼を救った。2018年の連続ドラマは武蔵の自己犠牲とも呼べる恋愛感情を追求したとも言えるだろう。

一方、見ている人の多くは春田と牧が結ばれることを望み、最終回の前話では武蔵に対するいら立ちを露わにする視聴者もいた。
あの日、武蔵の幸せを願ったおっさんずラバーはどれほどいただろうか。

「春田さんには牧さんしかいない」

これはリターンズ6話での、春田と牧の後輩であるマロ(金子大地さん)のセリフであり、そこに自分の気持ちを乗せた人も多かったのではないだろうか。
一方、私は異なる感情を抱いた。
「春田と牧がいっしょにいてくれたら」と2018年からずっと思っていた私は、あることに気づいたのだ。

私は今まで黒澤武蔵の幸せを願ったことがあっただろうか。

私がそれをなぜ避けていたかと言うと、武蔵の年齢が高く、30代で私と同年代の春田の相手役として見ることができなかったからだろう。そのために勝手に「武蔵と春田はありえないよね」と結論付けていた。酷い話である。

考えないようにしていた「武蔵が幸せになる方法」

「春田を牧から奪わないで」
いつも武蔵を見るたび願った。
私は、武蔵も主要キャラであり、「おっさんずラブ」がラブコメであるなら、彼もまた自らの望む幸せを手に入れるべき存在であることを忘れ去っていたのだ。

2019年の劇場版は、元カレの牧に振られた、武蔵の部下の武川政宗(眞島秀和さん)と結ばれる未来をほのめかす描写があった。ただそれは食事に例えれば、余り物をくっつけようとする展開でもある。

「おっさんずラブ-リターンズ‐」では、このふたりは第6話の春田の結婚式でようやく共演はしたが言葉はまだ交わしていない。
数年前に武蔵が早期退職したことも相まって、武蔵と政宗の恋愛のフラグはなかったものとされている。

「おっさんずラブ-リターンズ‐」で、家政夫となった武蔵と共に映像に映る回数が多いのは春田と牧である。
そして、もうひとり。
春田と牧の家の隣に住む菊之助、略して菊様(三浦翔平さん)と武蔵の関わるシーンが、回を重ねるごとに増えていったのだ。

リターンズで武蔵と距離を近づけているのは

武蔵はひとりでいることを寂しいと感じる人物だ。
そのため、菊様と結ばれて武蔵に幸せが訪れるのではと期待したが、一部の視聴者は武蔵と菊様のカップリングを好ましく思っていない。
菊様の長年の想い人、和泉(井浦新さん)がいるからだ。

菊様はおかか専門のおむすび屋の店主である。しかしその実態は現役の公安警察であり、和泉は公安のOBで、かつてバディを組んでいた先輩だ。
長い間和泉に片思いをしている菊様だが、和泉はその想いに気づかず、心は死んだ恋人の秋斗(田中圭さん/一人二役)にとらわれている。ようやくその恋人のことを忘れたと思ったら、今度は春田に対して恋心を抱くようになる。

失望した菊様は、「このまま和泉の弟ポジションに甘んじるわけにはいかない」と第6話で家を出る。直後、ひょんなことから次の住まいが決まるまで武蔵と同居することになる。

そして、私にとって第6話最大の名シーン「ぬか床ズラブ」を繰り広げる。

ぬか床ズラブ

このぬか床のシーン、私のこれまでの記憶を辿ってもおっさんずラブでもっともエロい。
腕まくりをして糠床に手を入れ、かき混ぜる音がする。そして菊様の両手が武蔵の手を包み込むかたちになり、ふたりは「あ」と言う。
性描写の比喩なのではないかと思うほどのエロさで、本来、最大の名シーンは春田と牧の結婚式のはずなのに、私はこのぬか床ズラブを繰り返し見ていた。ちなみに私はBL好きではなくおっさんずラブ好きである。

ぬか床ズラブは、SNSでも瞬く間に話題になった。制作陣の演出には心から感謝したい。

武蔵の、春田への想い。
その結実が不可能なら、武蔵は新しい恋で春田を忘れるしかないのではないか。

ただ和泉の存在も大きい。

和泉と菊様エンドも大歓迎、だけど

今後、和泉が菊様の存在の大きさを自覚するシーンはあるようで、これを機に和泉と菊様が結ばれる可能性はある。

私は和泉も好きだ。
ここまで武蔵×菊様を推しすぎたので念のため書いておく。
和泉は非常に繊細で心やさしく、春田への恋心を自覚しても、春田と牧の幸せを願う気持ちが勝って、春田に贈りたかったバレンタインチョコを潔く捨てる男だ。
彼の恋人だった秋斗が和泉をかばって死んだ過去は、悲しすぎて言葉にならない。

和泉はどうすれば幸せになれるのかと考えると、菊様と結ばれる結末も大歓迎である。
想いが報われて泣く菊様の美しさを想像するだけで、菊様ヲタの主婦としてはドキドキする。

ただ、私は自分が制作陣なら、新キャラと新キャラをくっつけるだろうか?
それなら新しくドラマを作ったほうが早いのではないだろうか。

そしてインターネットでは和泉の元恋人である秋斗生存説が飛び交っている。私はすがるような気持ちでその生存説を信じたい。

和泉と秋斗。
武蔵と菊様。
牧の元カレで恋愛迷子になっている政宗と最終回で急に登場する美青年。(※想像)
ちず(内田理央さん)も最終回近くで何かあるかもしれない。

いろいろな予想ができる。

ラブコメの法則で考えると


第6話で春田と牧の関係性はもう崩れないと認識した。
それでは、だれが武蔵の春田への想いを断ち切るのか。
何より、私たち牧春、春牧ヲタは、「おっさんずラブ」のヒロインは武蔵であり、武蔵もまた春田や牧と同様に「おっさんずラブ」によって幸せを手に入れるべき存在だということを忘れていないだろうか。

私は忘れていた。

「おっさんずラブ-リターンズ-」は武蔵が自分にとっての幸せを手に入れ、春田への想いに決着をつけるドラマであると信じている。

※ネタバレなし 6話ラストと7話予告に関する私の見解


コメディとはいえ、「おっさんずラブ」はシリアスな設定も盛り込むことがある。
2019年の劇場版では新入社員のジャスティス(志尊淳さん)の過去、リターンズでは秋斗の死がそれに該当するだろう。
秋斗は生存説を信じたいところではあるが、私はこの6話ラストと7話予告によって「どんな結末でも受け入れよう」という決意に至った。

コメディだしありえないよね。
という、楽観的な見方もある。
ただ「おっさんずラブ」ならなくはない……。
という、悲観的な見方もある。

どちらにせよ、私の価値観では、その結末に至るまでの登場人物の幸せのほうが大切だ。

残り3話。
しっかりと見届けたい。




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